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子供を将来、帰国生として日本の大学に行かせるための心構えは?

さまざまな分野の専門家が読者の皆さんの質問にお答えします。

子供を将来、帰国生として日本の大学に行かせるための心構えは?

< 回答者|河合塾海外帰国生コース北米事務所 丹羽筆人さん>

海外帰国生大学入試は、海外の高校を卒業した場合に受験が可能です。大学によっては、帰国後に日本の高校を卒業した生徒も対象となることがあります。この入試は一般入試よりも仕組みが複雑です。選考は、TOEFLやSATなどの統一試験や高校での成績、つまり現地の成績と、大学が独自に行なう入試結果の双方によって行われます。その扱いは大学・学部によって異なりますが、大きく以下の3つに分けられます。

●現地成績重視型/海外成績を重視。現地の学習をしっかりやっていた人を進んで受け入れようという大学がこのタイプに当たります。例えば、学科試験のない完全な書類選考の大学です。第2次選考で面接が課されるケースもあります。
<慶大、早大(国際教養)、上智大(国際教養)など>

●入試成績重視型/大学で実施する入学試験を重視。海外の教育制度や教育水準がさまざまであるため、この方法が取られます。もっとも海外成績を全く無視している訳ではなく、大学によっては面接の参考資料にしたりしており、7、8割の大学がこの型になります。
<一橋大、早大、上智大、立教大、法政大、関西学院大など>

●現地・入試折衷型/海外成績を元に書類選考した受験生に対し、さらに自分の大学で実施する入学試験を課す方法。
<東大、京大、横国大(経済)、北大など>

帰国生入試の入試科目は、大学や学部によってさまざまですが、大まかに言えば、文科系では英語、小論文。理科系では英語、数学、理科、小論文が基本です。ほとんどの大学で面接が課されることも承知しておいてください。また、提出書類のひとつに挙げられている場合が多い高校の成績証明書は、書類選考や面接の参考資料となります。高校生活においては、できる限り良い成績を取ることはもちろん、クラブ活動やボランティア活動にどのように取り組んだかという点も重要です。

このように、帰国生入試合格のためには、進学を希望する大学・学部の入試の仕組みを十分に把握しておきましょう。そして、アメリカの高校での学習や活動に力を入れ、英語力の向上と共に、大学の入試や大学の講義の受講に対応できる日本語力の強化を図ることが必要です。つまり、受験の2、3年前から十分な準備をしておくことが望ましいのです。

(2008年11月)

河合塾海外帰国生コース北米事務所丹羽筆人さん 


河合塾で十数年間にわたり大学入試データ分析、大学情報の収集・提供、大学入試情報誌の編集などに携わる。米国移住後は、補習校・学習塾講師を歴任。現在はデトロイト補習校の講師を務めると共に、河合塾北米事務所のアドバイザーとして帰国生入試情報提供と進学指導を担当する。米日教育交流協議会代表。

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