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急に帰国が決まった時に、子供の学校のことで慌てずに済む心構えを教えてください。 |
< 回答者|河合塾 海外帰国生コース 北米事務所 丹羽筆人さん>
駐在員のご家庭においては、任期はあるものの急な辞令によって帰国しなければならないケースもあります。そのための心構えについてお話しします。
●小学生の場合/義務教育期間なので、公立校では必ず受け入れてもらえます。国私立では編入試験が行われることもあるので、希望校の状況をあらかじめ確認しておきましょう。編入試験のために学年相応の日本語力を身に着けておき、面接でも正しい日本語が話せるよう準備を。親御さんは、親子面接の準備が必要です。公立校編入の場合でも、同年代の子供とスムーズに会話できる日本語力は最低でも身に着けたほうが良いでしょう。子供は順応しやすいですが、そのほうがよりクラスになじみやすいからです。
●中学生の場合/公立校に編入して高校受験を行うか、中高一貫校に編入するという選択肢があります。前者は、帰国時期によっては帰国生枠ではなく一般入試を受験する必要も生じます。帰国生枠では、作文+面接、英語+面接で受験できる高校もありますが、多くは英語・数学・国語+面接が課されます。一般入試や一部の帰国生枠では、これに加えて理科・社会も課されます。特に、中高一貫校への編入を考える場合には、アメリカにいる間から、受験科目に対応できる日本語での学習を積んでおく必要があるでしょう。
●高校生の場合/義務教育ではありませんので、編入試験の受験が必要です。公立校の場合は都道府県ごとに、私立校の場合は学校単位で受け入れ条件が異なっています。帰国生受け入れを目的として設立された学校や、帰国生の受け入れ枠や特別体制を持っている学校以外では、ほかの都道府県からの転入者と同じ条件での受験を求められます。この場合、編入時期での当該学年の学力を要し、国語は古文や漢文の試験もあるため、事前の対策が必要です。高校の編入試験は受け入れ枠も小さく大変厳しいのが実情で、編入後の単位取得や卒業もなかなか大変です。特に高2の3学期以降に編入するタイミングでの帰国の場合、高校卒業までアメリカに残ることを考えたほうが良いかもしれません。そのほうが帰国生枠で受験できる大学の選択肢が広がるからです。
(2009年10月)
河合塾 海外帰国生コース 北米事務所 丹羽筆人さん
河合塾で十数年間にわたり大学入試データ分析、大学情報の収集・提供、大学入試情報誌の編集などに携わる。米国移住後は、補習校・学習塾講師を歴任。現在は、米日教育交流協議会代表・河合塾北米事務所のアドバイザーとして、在外子女を対象にした日本でのサマーキャンプ、帰国生入試情報提供と進学相談などを実施。また、デトロイト補習校の講師も務める。
Kawaijuku Educational Institution, North America Office TEL: 1-866-460-1023
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