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安定したリタイアメントを迎えるために必要な準備は? |
< 回答者|ファイナンシャル・プランナー 田口トレーシーさん >
その昔、真面目に働いていれば、家族を十分扶養でき、マイホームを買い、定年後の心配もなかった、という時代がありましたが、現代では共働きでも子供の教育費を払うのは苦しく、多くの民間企業には定年後の生活を保障してくれる年金制度もありません。勤労世帯の所得は、インフレと比較しても十分に上昇していないのに、大学の学費や医療費の高騰率は悪夢としか言いようがなく、今後は税金の高騰も予想されます。また財政赤字が膨らむ中、将来受け取るソーシャル・セキュリティーやメディケアにはあまり頼れなくなることも予想されます。
安定したリタイアメントを迎えるには、まず最初に現状を見直し、目標額を算出することが必要です。退職後に必要な金額を、インフレや税金を考慮して算出し、現状とのギャップを埋める計画を立てましょう。次に貯蓄方法。最も重要なのは、課税先送りの方法で貯めること。401k、IRA、SEPなどはすべて課税先送りで貯蓄できる方法です。利息に対して毎年所得税を支払うのと、課税先送りで貯めるのとでは、お金の貯まる速さに大きな差が出ます。そして、定期的に一定金額を投資信託などへ投資することは、「ドルコスト平均法」の利点を利用できることにもなります。また、Roth IRAを利用できる人は利用しましょう。これは税引き後のお金で貯蓄することになるので、将来使う時は非課税となります。控除できるものが少なくなる引退後は、税負担を最小限にすることはとても重要です。貯蓄型の生命保険も将来、貯蓄分を非課税で使うことができます。そして、住宅ローンの内容見直しを。金利の所得税控除の特典を最大限に利用しながら、最も効率的に元本を返済し、貯蓄効果を付加させる方法があります。
すでにリタイアしている方で、資金が最期まで続くかどうか心配な方、所得税の負担が大きいと感じている方、また、リタイアまでまだ時間があるが目標金額に到達できるかどうか不安な方は、一度専門家に相談を。年齢や資産状況により、いろいろな方法があるので、今からではもう遅いとか、困ったら州の生活保護に頼る、などという考え方はせず、気が付いた時に相談してみることが大切です。
(2010年10月)
ファイナンシャル・プランナー 田口トレーシーさん
渡米して約30年、会社経営や不動産業を経て、現在はファイナンシャル・プランナーとして活躍。各種投資から、保険、リバース・モーゲージ、税金対策そして相続計画まで、資産を増し、守り、残すための総合的なサービスを提供。毎月日本語セミナーも開催する。
Vista Financial Planning Group
TEL : 1-888-575-0275 www.tracytaguchi.com
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