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帰国生入試には小論文があるようですが、とても書けそうもありません。どのような勉強をしたら良いのでしょうか? |
< 回答者|河合塾 海外帰国生コース 北米事務所 丹羽筆人さん >
帰国生大学入試では多くの大学で小論文が課されていますし、高校入試や中学入試でも、小論文ではなくても作文が課されている学校が目立ちます。従って、小論文や作文の学習は帰国生入試受験生には必要不可欠です。ただし、日本語力に自信がない、何を書いて良いのかわからないなどの理由で苦手な生徒が多いですね。
まず、小論文にはテーマ型と課題文型があります。テーマ型は「○○について自由に論じなさい」という出題で、課題文型は文章を読んだうえで質問に答えるというものです。テーマ型の場合、○○に関する知識や関心がないと何を書けば良いのかわからなくなります。大学入試の場合、○○の部分は学部の専門分野に関するものであることが多いです。例えば、法学部なら裁判員制度、工学部ならロボットのような言葉が該当します。また、中学入試や高校入試の作文に目立つのですが、帰国生入試の場合「あなたが海外で学んだこと」というように、海外での生活体験について書かせるものもあります。課題文型で出題される文章は、大学入試では学部の専門領域に関するものが目立つ一方で、専門領域を超えた幅広い分野をテーマとした出題も見られます。また、課題文型の場合は課題文の読解力が必要です。グラフや図表、写真やイラストなどが使われる課題もありますので、それらを分析する力も必要です。
大学入試の小論文の対策としては、志望学部の専門領域に関して書かれた新書版や専門雑誌を読むと共に、新聞の社説やコラムなどを読む習慣をつけると良いでしょう。小論文を課す高校を受験する人も、新聞は読んでおくと良いですね。その他、小論文・作文両方の対策として、自分の住んでいる国や地域のことを知ること、生活していて疑問に思うことや感心したことをまとめておくこと、世界や日本の出来事に関心を持ち、それに関する自分の意見を持つことが大切です。小論文も作文も、自分の意見を表現する場なのです。
日本語力についてですが、小論文でも作文でも学年相応の漢字やボキャブラリーを使うことが望ましいので、教科書の漢字や語句を徹底的にマスターしましょう。また、表現力を身に着けるためには、多種多様な文章を読むことをお勧めします。その他、文章構成力など書き方を特訓したい場合には、参考書や問題集をやってみるのも良いでしょう。
(2010年11月)
河合塾 海外帰国生コース 北米事務所 丹羽筆人さん
河合塾で十数年間にわたり大学入試データ分析や大学入試情報誌の編集、国際教育事業に携わる。米国では補習校・学習塾講師を歴任。現在は、米日教育交流協議会代表・河合塾北米事務所のアドバイザーとして、在外子女を対象にした日本でのサマーキャンプ、帰国生入試情報提供と進学相談などを実施。また、デトロイト補習校の講師も務める。
Kawaijuku Educational Institution, North America Office
TEL.1-866-460-1023
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