シアトルの生活情報&おすすめ観光情報

アメリカで使っている携帯電話を日本滞在時に使用する方法は?

さまざまな分野の専門家が読者の皆さんの質問にお答えします。

アメリカで使っている携帯電話を日本滞在時に使用する方法は?

< 回答者|携帯電話販売店経営 長谷川健さん>

日本へ一時帰国をする際、その滞在中に携帯電話サービスを使う方法には大きく分けて以下の三つがあります。

(1) 国際ローミングを使う
普段使っているアメリカの携帯電話サービスによっては、アメリカで使っている携帯端末とSIMカードのまま、何もせずに日本で使える場合があります。簡単で理想的にも思えますが、実際にはなかなかうまくいかない場合も多いようです。例えばT-Mobileの場合、ウェブサイトに以下のように記述されています。

「(日本の)一部の地域ではサービスを利用できません。 当社(T-Mobile)は、ローミングパートナーのネットワークのパフォーマンスについて責任を負いません。」

ローミングとはアメリカの通信会社が日本の通信会社のネットワークを「借りて」提供するサービスなので、残念ながら、アメリカで使っている携帯電話でうまくいくという保証をしていません。特にサービスエリアには注意が必要です。また、国際ローミングが使えるサービスということは、普段からそのための料金を多めに払っていることになります。それに加えて、ローミング利用時に料金が発生することもあります。年に何度も日本へ行く方には良いですが、たまに一時帰国される方にはあまり向いていないかもしれません。

また、電話番号がアメリカの番号である点にも注意が必要です。例えば、一時帰国で日本国内にいる自分に向けて、日本国内の人が電話をかけてきた場合、電話をかけた人はアメリカへの国際通話料金が発生してしまいます。

(2) モバイルルータ、または日本の携帯電話をレンタルする
モバイルルータや、アメリカの携帯電話の代わりに日本用の携帯電話をレンタルするという方法もあります。こちらは、日本用なので確実に日本国内で使えるという利点があります。ただし、レンタル費用・各種補償・受取返却の手間など費用対効果はあまり高くないかもしれません。また、機器をレンタルするので、短い間にそれらに慣れるのはなかなか大変です。

モバイルルータをレンタルする場合、アメリカで使用しているスマートフォンやパソコン、ゲーム機などのWiFi機器からインターネットが利用できるようになります。しかし、ネット接続だけなので、電話番号を使った通話やテキストメッセージには使えません。スマートフォンでは、注意が必要です。また、インターネットは、常時接続ではなく、モバイルルータにつないでいる間だけです。例えば、誰かがLINEで連絡してきても、ネットに接続するまで、その連絡は届きません。

モバイルルータは、バッテリーがなくならないように定期的に充電して使いますが、少しでもバッテリーを節約するためにネット接続を自動切断するようになっています。

アメリカで使っている携帯電話を使わず、日本用のスマートフォンをレンタルする場合、実機で各種アカウントのセットアップを行うのはとても難しいです。セキュリティ上の理由で本人確認が行えず、結局ご自身のアカウントが使えないといったことがあります。そうなると、例えば、普段から使っている自分のメールアドレスやLINEのアカウントで必要な連絡ができなくなってしまいます。

(3) アメリカの携帯電話で日本旅行者向けのSIMカードを使う
SIMカードは、携帯電話に入っている1センチ四方程度の小さなカードです。通信会社から提供されたものを携帯電話に入れて使います。

最近は、海外から日本への旅行者向けに、いろいろな種類のSIMカードが販売されるようになりました。その中でのおすすめは、ドコモ、au、ソフトバンクなどの日本国内大手通信会社のSIMカードの商品です。より安定して使えます。ただし、SIMカードを販売しているのは別会社かもしれません。一方で、上記(1)と同様にローミングを使った海外の会社のものも売られていますが、日本で使えるとうたっていても、日本の大手と比べて通信が不安定である可能性が高いです。

どちらの場合でも、日本用のSIMカードはデータ専用が多いです(海外の会社のものには、どこかの国の電話番号が付いてくることもあります)。データ専用の場合、インターネットにはつながりますが、電話番号が無く、電話やテキストは使えません。SIMカードでデータ通信を正しく行うためには、通常、APN(アクセスポイント名)の設定が必要です。一度設定すれば記憶されますが、初回は少し手間がかかります。それでも、モバイルルータの場合と異なり、インターネットは常時接続です。各種アプリで本来のスマートフォンらしい使い方ができます。

データ専用SIMが多い中、ハナセル社のジャパンSIMカードは例外です。データ通信に加えて、アメリカの携帯電話で日本の電話番号が使えます。自分専用の日本の電話番号を持つことで、滞在中に役立つことが多いはずです。ジャパンSIMカードはハナセル社が販売しますが、SIMカードはソフトバンク社のもので、安定して動作します。

日本のSIMカードを使う場合、アメリカの携帯電話で使用しているSIMカードと入れ替える手間があります(入れ替えの必要がないデュアルSIM機種もあります)。SIMカードは小さくて失くしやすいので注意が必要です。また、アメリカの通信会社から携帯電話を購入した場合、その端末がSIMロックされている場合があります。アメリカで使っている携帯電話のロックを解除しないと日本のSIMカードは使えません。ロック解除については購入した通信会社へご確認ください。

一時帰国中も普段アメリカで使っている携帯電話を使いたい人は、端末代金が割高だとしても、最初からSIMロックが解除された「アンロック」の機種を選ぶのがおすすめです。

ハナセル ジャパンSIMカードのお申し込みはこちら

(2022年6月)

携帯電話販売店経営 長谷川健さん


ソフトウェア開発技術者として、マイクロソフト社でWindows 95などの開発を行った後、携帯電話の時代に向け顧客に技術的な手伝いをしたいと、ベルビューにて携帯電話店ギンガ・ワイヤレスをオープン。正規代理店では購入できない機種を取り扱うほか、携帯電話に限らずコンピューターの修理や相談にも応じている。

GINGA Wireless
1840 130th Ave. NE Ste 12, Bellevue, WA 98005
TEL. 425-503-0322
ウェブサイト:https://ginga.ws/