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アメリカでの日本人との付き合い方に悩んでいます |
< 回答者|カウンセラー 角谷紀誉子さん >
日本では友達が多かったのに、アメリカでは日本人とそれほど親しくなれず、話をしてもピンと来なかったり、孤独感を感じる人は多いようです。アメリカに住む日本人との上手な付き合い方のチェックポイントをお教えします。
① 日本での友達とは違う:日本では、学校や職場などで時間を掛けて友達になるため共通点が多く、その分つながりは深くなります。海外では「日本人同士」というだけが共通点であることが多く、「合わない部分」のほうが大きいのです。日本の友達との信頼度や親密度が「1」だとすると、アメリカでできる友達とはその半分もあれば上出来だと思ってください。
② 新しい人間観察の場:海外では、日本では会えないような人との出会いがあるので、視野を広げたり人間関係のスキルを伸ばすチャンスです。お互いの立場の違いをまず知ること。短期滞在か長期滞在か、既婚か未婚か、配偶者は日本人か外国人かなどの違いがわかると、「この人とは違って当たり前」という覚悟ができ、その上で「この人はおもしろい」と思えるのです。
③ つかず離れず:人付き合いは、あまり顔を出さないでいると孤立したり誘われなくなったりするし、あまりベッタリするとこじれることもあります。どれくらいの頻度で人と会うのか、どこまで自分の話をするのかは、人に左右されるのではなく、自分の感覚で決めることも大切です。
④ 自分をしっかりと持つ:日本の友達とのように「私もそう!」という感覚を求めても、海外ではなかなかピッタリ合う人は現れません。無理に相手に合わせるのではなく、考え方は違うけれど、お互いを尊重でき、良い時間が持てて「また会おうね」と思えるのが海外での良い友人関係です。その人と会うと、ひどく落ち込んだり疲れる、精神的に回復するのに何日もかかる、という場合は、新しい友達を開拓する時期かもしれません。「友達」だからといって、誰もがあなたにとって大切ではないし、人は変わっていくもの。友達は選びましょう。
⑤ 日本人以外の人間関係も構築する:アメリカ以外のほかの国から来た人と友達になると、日米に加えて3つ目の考え方や価値観が入ってくることと、日本人同士の面倒な付き合いに比べて気軽という利点があります。
(2012年9月)
カウンセラー 角谷紀誉子さん
ワシントン州認定臨床ソーシャル・ワーカー。サクセス・アブロード・カウンセリング社代表。著書に『在米心理カウンセラーが教える、留学サクセスマニュアル』(アルク社)などがある。オンライン、電話、対面カウンセリングで、駐在、留学、国際結婚、子育てなどの悩みに対応する。
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TEL : 206-418-0600 www.successabroadcounseling.com
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