第8回「クリスマス・パーティー」私が主催している歌の会「ケイ&ミュージック」は、12月11日にクリスマスパーティーを開きます。1年に1回ベルビュー・コミュニティー・カレッジのシアターで会を開催していますが、今回のクリスマス・パーティーはそのような大きなステージではなく、「こんな歌を歌ってみたいけどできるかしら?」みたいな軽いノリのパーティー。会員の方は今までチャレンジしたことがない歌、または好きな歌を選んでも歌います。演歌や歌謡曲を専門にしている人がこの日ばかりはシャンソンを歌ったり、普段歌わないような歌に挑戦して披露します。 もともとこのパーティーは、音楽好きの人が集まってクリスマス・パーティーをしたらどうか、という発想で始まったのですが、歌い手はやはりいろいろなジャンルの歌を歌えないといけない。ひとつの分野だけ、例えば演歌から泣き節ばかりではなく、人を勇気付ける歌や人生観の歌、アップテンポやスローな曲も歌えるようになってほしいということで、普段とは違う分野の歌に挑戦することもパーティーの目標にしています。ゆくゆくは大きなシアターで「ケイ&ミュージック・ディナーショー」を開催するのが私の夢なのですが、いわばその予行練習みたいな感じです。 歌には皆さんそれぞれ思い出があるだろうし、得意・不得意もあると思います。不得意だからといって避けていたらいつまでたっても歌えません。いろいろな歌を歌ってみて、「私がこの歌を歌ったら演歌っぽいって言われちゃったんですけど、全然違うジャンルなんですね」というのも、私はいいと思っています。要するに、その人の味で歌えばいいのですから。ジャズはジャズっぽく、Jポップスはポップスっぽく歌わなくてはいけないというのではなく、その人の味が出てくれればいい。ま、演歌のようにジャズを歌ったりしたらちょっと困りますが、でもそこにも自分のカラーが出ていれば、私はいいと思っています。 今回のクリスマス・パーティーではお客様にもカラオケを歌っていただくので5、6時間かかります。場所はシアトル・ダウンタウンの「ホリデー・イン」というホテル。会員の人達がそれぞれ友達を連れてきて、みんなでわいわいカラオケを楽しみます。最初は会員の人がミニ・ショー的なことをやりますが、その後はお客様とジョイントしてダンスをしたり、デュエットしたり……。 歌を習い始めた最初こそ、自分が歌って楽しければいいと思うものですが、それがだんだん人に聴いてもらいたい、感動を与えたいと思うようになります。何人かの会員の人から、「自分が歌ったことで感動して涙を流してくれた人がいる」と喜びの声を聞きますが、そのように人の心に触れる歌い方ができるようになったら楽しいですよね。 私はさまざまなジャンルの歌を教えていますが、日本の歌もアメリカの歌も、シャンソンでもポップスでも、歌はやはり感情移入が大切です。ある光景を思い出したり、想像したりして歌うと、英語だろうが日本語だろうが歌のジャンルは問われません。自分の夢や過去、さまざまな人生観が歌えるようになったら、声がかすれていようが関係ないのです。 最近、そんな「人生観」を歌う会員の皆さんが増えてきました。歌が上手くなってきたというより、“伝え方”が上手くなってきたのですね。以前の会員さんの歌は、人が聴いて単に「いいわね」というレベルでしたが、最近は歌に心が入って“語りかけている”という感じです。 クリスマス・パーティーのカラオケには英語の歌もあるのでアメリカ人の方も来ます。もしパーティーに興味がありましたら、ぜひご連絡ください(ケイ&ミュージック Tel.425-445-7897)。 灘 敬一: 15歳から芸能界入りし、プロ歌手として活躍。ニューヨークに渡って音楽活動に携わった後、シアトルに移り住む。現在は、歌の会「ケイ&ミュージック」を主催し、30名もの会員にマン・ツー・マンで歌のレッスンを行っている。
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