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小川正晃さん:オレゴン俳句会

 
ノースウエストで活動するグループや活躍している人にフォーカスしてお届けするこのコーナー。
今回は『オレゴン俳句会』の小川正晃さんをご紹介します。
俳句の面白さを多くの人に知って欲しい

▲ポートランドのシャクナゲ公園をメンバーと散策(一番右)

互いを切磋琢磨しあえる俳句会
『オレゴン俳句会』では、『互選』という方式でそれぞれの句を評価しています。まず、『兼題』という皆で決めた季語を使った2句と、自分が選んだ季語を使った『当季雑詠』3句を短冊に書いて持ち寄ります。それらを兼題と雑詠の別々のカゴに入れて混ぜ合わせ、ひとり5句ずつ取り出します。それから別の紙に清書して作者が誰かわからなくなったら、その紙を回覧して各人が良いと思った句を兼題、雑詠から選んで発表します。そして講評に移り、選句の理由や句の感想を述べたら、選ばれた句の作者に名乗ってもらい、質疑応答を行うのです。最後には全員の句を鎌倉在住の先生に送って添削していただき、次の句会で先生の選句結果と講評を発表しています。

最初は自分達の俳句を先生に提出し添削していただくだけだったのですが、それだと、お互いの句から学ぶ機会がないので互選にしました。結構これが好評で、会にも活気が出てきたように思います。私自身、頭に浮かんだ言葉を素早くメモに取るくらい、俳句作りに真剣になりました。今後はちょっと遠出して外で俳句を作る『吟行』にも挑戦したいですね。

俳句を通して気付いた自然を愛でる心
私達の俳句は“花鳥風詠”というのでしょうか、自然を歌い季語を必ず入れるという、いわゆる伝統俳句です。会社員時代は忙しく、季節の移り変わりや自然の美しさに気付く余裕もないという生活になりがちだった私ですが、俳句を始めてやっと自然に目を向けられるようになりました。ただ、その情景を五七五に収めるのが非常に難しいんですよ。まだ勉強不足で、つい見た物をそのまま句の中で説明してしまう時があります。例えば秋の季語の“月”を「色が澄んでいて、周りが静かで」と、くどくど描写する必要はないのですね。“月”という言葉の中に意味がすでに含まれていて、その一語でパッと情景が浮かぶからです。少ない言葉で情景を描くには、たくさんの句を作り、勉強することが必要でしょう。また短歌と違って、俳句では“うれしい”とか“美しい”といった感情を直接表現することはありません。それを言わずしていかに美しさや感激を表現するかに、俳句の面白さがあると私は思います。

会員は随時募集しております。若い方を始め、たくさんの方にこの俳句の面白さを知っていただきたいですね。
(取材・文/純子バイス)

北岡孝統さん
オレゴン俳句会 入会窓口担当 小川正晃さん
東京都出身。駐在員としてオレゴン州ポートランド市に移るが、個人的な事情で2000年から同市に永住。翌年8月に『オレゴン俳句会』に入会以降、会の窓口係として入会受付や問い合わせに応じている。

【 オレゴン俳句会 】
「オレゴンの自然を俳句で楽しむ」という趣旨で、2001年5月に設立。会員は約12名で、毎月第3、または第4土曜日に『Double Tree Hotel』内のレストランに集まる。会長は二宮康明さん、指導は真下ますじ先生。会費月$5。
入会の問い合わせは小川正晃さん(503-644-7792) 船木静江さん(503-452-0537)