【自然の中で喚起されたパワーが私の作品創りの原点です】 ▲“自然と人間の共存”というテーマで描かれた作品
病気を克服した後に出合った天職 アートとの出合いは今から10年前。元々私の職業は心理カウンセラーだったのですが、12年前に乳ガンを患い、自分のキャリアを断念せざるを得ない状況になりました。幸いガンは克服しましたが、その後自分が何をしたいのかわからず、悩んだ時期がありました。それでいろいろと模索し、自らの手でゼロから何かを作り出すことができるアートに興味を持ち始めたのです。
今から10年前、まずPCC(Portland Community College)に通っていくつかのアート・クラスを取り、彫刻や水彩画などを学びました。クラスではとにかく作業に没頭。作品ができ上がった瞬間はとってもハッピーな気分になり、その時に自分の進むべき方向が見えた気がしましたね。それからはアーティストとして気負わず、興味の赴くままに活動を続けています。現在は自宅兼スタジオで、主に水彩画とコラージュの作品を創っています。
作品は、レイク・オスウィゴ市で年に1回開かれるアート展示会やカルチャーセンターを始め、ゴージに近いトラウトデール市にある『Copper Leaf Gallery』で展示させてもらっています。実はニューヨークの『リンカーン・センター』でも6月16日から私のコラージュが展示されるんですよ。とても嬉しいし、エキサイトしています!
▲自宅兼スタジオで作業中のリンダさん
“自然と人間の共存”をアートを通して伝えたい 私は自然の持つパワーが大好きで、作品にもそれが強く表れています。ただ好きだからというだけでなく、自然と人間との共存を絵にすることで、“環境問題を考えよう”“世の中が平和でありますように”という私なりのメッセージを密かに込めているんです。人間と自然が一体になってハーモニーを奏でる、というテーマで11枚のシリーズ作品を描いてみたり、散歩の途中で見つけた美しい草花を写真に撮って絵にしたり、作品の題材は自然から喚起されることがほとんどです。海岸を歩いたり、滝の音を聞いたりしながら、心の奥底から沸き上がる声に耳を澄ます。そうすると作品のアイデアが浮かんだり、自分のスピリットがパワーアップした気になれるのです。
やりがいを感じる瞬間……それは一つひとつの作品ができ上がるたびに自分自身が成長しているのを感じる時かしら。作品創りは毎回がチャレンジ。悩み抜いた末に作品が完成した時は、今までに見たことがない新しい自分が必ずそこにいます。もちろん誰かが自分の作品を購入してくれたり、お褒めの言葉をいただいたりする時も嬉しいですし、『レイク・エリア・アーティスト展示会』で特別賞を2年連続で受賞した時も非常に光栄でした。いつもスタジオで孤独に作業していると、ときに他人のリアクションがとても恋しくなるのです(笑)。(取材・文/純子バイス)
リンダ・ムラーズさん Linda Mraz ウィスコンシン州出身。1985年にオレゴン州レイク・オスウィゴ市に移住。その後、PCCでアートを学び、現在は画家、コラージュ・アーティスト、ハープ奏者として活躍中。『オレゴン水彩画ソサエティー』『ナショナル・コラージュ・ソサエティー』『レイク・エリア・アーティスト』会員。作品はオレゴン州のトラウトデールにある『Copper Leaf Gallery』などで展示中。問い合わせは 1jmraz@comcast.net まで。
コメントを書く