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石丸アンさん:ポートランド太鼓

 
ノースウエストで活躍している人にフォーカスしてお届けするこのコーナー。
今回は『ポートランド太鼓』を主催している石丸アンさんをご紹介します。
【一度聞くと耳から離れない、魂までも揺るがす太鼓の音】

▲練習中のひとこま。アンさんとザックさんが指導にあたる

 

躍動感溢れる太鼓が私の日本観を変えた

私は日系4世ですが、特に日本との繋がりを感じていませんでしたし、日本の文化に興味もありませんでした。アイデンティティーは完全にアメリカ人なのに、外見が日本人に見えるということで日本語が話せると思われたり、日本のことに詳しいだろう、みたいな偏見に苛立ったこともあります。

私の中での日本観は、生け花や日本舞踊に代表されるように静かで礼儀正しく……という感じで、太鼓の存在もまったく知りませんでした。しかしある日、太鼓のパフォーマンスを見て、そのイメージが吹っ飛びました。うるさくて、躍動感に溢れていて、私のイメージしていた日本とはまったく逆(笑)! それで太鼓にすごく興味を持ったのです。学生時代は大学のサークルで太鼓を練習し、その面白さにどんどんハマりました。10年前にポートランドに初めて来た時も「また太鼓グループに入って太鼓を続けたい」と思ったのですが、当時ポートランドには太鼓グループがなかった。それで友人のザックと一緒に「じゃあ自分達で作ろう!」ということになり、10年前の8月に『ポートランド太鼓』を結成したのです。

▲コンサートにて。力強いエネルギーが伝わってくる

 

支えてくれている人達へ感謝を忘れないでいたい

『ポートランド太鼓』は特に先生がいたわけでもなく、地元の日系新聞でメンバーを募り、メンバー同士で教え合う形を取りました。当初は事務所も稽古場もなく、太鼓すら十分にない状態。しかし、縁があって日本の食料品店『安全』のオーナー兄弟と知り合い、彼らが車の修理工場だった建物を改築して、事務所兼稽古場を善意で作ってくださったのです。しかも太鼓まで寄贈してくださって! なので私達は彼らのことを敬意を込めて「太鼓ダディー」と呼んでいます。

彼らを始め、多くの地元の心優しい方達や団体に助けられ、10年かけてここまで来ることができました。9月24日から3日間にわたって10周年記念コンサートを開催するのですが、これまでの感謝の気持ちを込めて『On the Shoulders of Giants(巨人の肩の上で)』というコンサート・タイトルを付けました。

やりがいを感じるのは、やはり観衆の皆さんの反応を見る時かしら。特に初めて太鼓を見る人は、その凄まじい迫力と心臓まで届く振動やうるさい程の音に、驚きながらも感動しているのがわかるんですよ。しかも『ポートランド太鼓』は女性メンバーが多いので、それにも驚かれます。この秋は初心者向けのワークショップを行います。発声からバチの持ち方、フォームやパフォーマンスまで習えますので、興味のある方はぜひご連絡ください。
(取材・文/純子バイス)

リンダ・ムラーズ
石丸アンさん Ann Ishimaru

シカゴ出身。曾祖父が第二次世界大戦時にアメリカに移住した日系4世。スタンフォード大学の太鼓サークルで太鼓を学んだ後、19941年にポートランドに移住。友人のザックさんと共に、ノースアメリカ初のプロフェッショナル太鼓グループとなる『ポートランド太鼓』を立ち上げる。現在メンバーは約19名。毎年、定期的にコンサートやツアーを行い、5万人以上を動員。創立10周年にあたる今年、9月24日(金)~26日(日)Newmark Theatre (Portland Center for the Performing Arts / 1111 SW Broadway, Portlamd, OR)にて記念コンサートを開催する。詳細はウェブサイトなどで確認を。

【ポートランド太鼓 Portland Taiko 】
3230 NE Columbia Blvd., Portland, ORウェブサイト:www.portlandtaiko.org