第2回 国際人の命名(迷名)ナビ 子供の命名にはとても苦労しました。海外に住む日本人として子供の名前は当然「国際的&日本的」でありたいと思う上、画数や姓名運も多少気にしたりと、出産までの9カ月間は悩みに悩みました。 日米両用の名前の場合、女の子はナオミ、エリカ、アリサなど完全に英語名ながら、日本語でも自然な名前が数多くあります。ベタな日本人でも「梅宮アンナ」っぽいシャレた“ダブル(※)の芸能人風”の響きになれるのが利点です(←キャシー中島の例は無視)。しかし、男の子となるとケン&ジョージぐらいしか思い浮かばず、ちょっと間違えると“アクション・スター”っぽい響きも。ケンはすでに知り合いに5人ほどいるし、ジョージで思い浮かべるのは山本譲二、ジョージ・ブッシュ、キュリアス・ジョージなどちょっと微妙? ほかに思い付く名前はやっぱり「ショー・コスギ」や「オダギリ・ジョー」のアクション・スター系ばかりでした(知識がないだけか?)。 我が家は夫婦共に日本人なので、「和風で英語でも発音しやすい名前」が絶対条件。ある日、某人気育児雑誌に『命名事典』なる付録が付いていたので即購入しました。最近は個性的な名前を好む親が多いらしく、実際の命名例の一部にちょっと驚き。例:キャラものが好きなので「貴亜来(きゃら)」。京都が好きなので「古都里(ことり)」。自分の愛車から取って「知美亜(シルビア)」。常用漢字なら何でもあり!?という世界でした。 気を取り直して「国際的な“イメージ”の名前」の覧に目をやると、登夢(トム)&真久寿(マックス)、美来乃(ミラノ)など、親のどちらかがアメリカ人なら良いけれど、コテコテ日本人夫婦にはちょっと“ハイカラ”な名前が目白押し(というよりヤンキー入ってる系)。さらに女の子には心愛(ここあ)、百香(もか)、男の子には亜斗夢(あとむ)に藍望(らんぼう)など、「こ、国際的ていうか、単なる外来語!?」と軽い目まいを覚えました。 あと国際人としてミドルネームを付けるかどうかも迷いました。日本の戸籍には当然ミドルネームはないので、戸籍上はファーストネームと一緒になります。例えば姓名が「出来杉・マーガレット・よしこ(仮)」なら、「マーガレットよしこ」が戸籍上のファーストネームとなり、公的書類はすべてその名前で表記されます。つまり日本の保険証にそう表記されていれば、病院の待合室では「次の方、出来杉マーガレットよしこさぁーん!」と呼ばれることに!? じゃ日本の学校はどうなる!? 小心者の自分はそんな小さなことまでも気になってしまい、さらなる不眠の日々が続きました。 娘の時はすんなり決定した名前も、息子の時は最後の最後まで悩みました。気に入った名前があっても、本やウェブサイトで検索した漢字や画数に納得がいかなかったり、アメリカ人が全然発音できなかったりで試行錯誤。結局難産の末「陸玖(りく)」に決定。これなら英語はRickで良いし、和風だし、と出産前にはすっかりその気でした。 しかし、当日まさかの却下。母胎から出て来たばかりの息子を抱いて「お前はリクなんだよ~」と呟いた瞬間、息子の右眉が上がり「それちょっと違うんじゃない?」の表情をした!?ような気がしたのです。動揺した自分は、悩みに悩んで結局妻に相談。 「よしこちゃん、やっぱり名前違うかもー(汗)」、妻:「何をいまさら……(疲)」。結局またひと晩寝ないで、まったく新しい名前を考えたのでありました。 妻:「ひと晩で思い付くなら今まで悩んだ9カ月間はいったい……(呆)」、夫:「命名はインスピレーションも大事ってことです……(多汗)」。 (注)※ダブル(double):「日本人と外国人の間に生まれた子供」を指す言葉として使われる。二重のルーツや文化を持つことなどに由来。 |
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