第12話 同性結婚Q&A Part.1先月あたりから、アメリカ各地で同性結婚に対する動きがものすごく活発になって、普段ならこういうニュースはすべて欠かさずにチェックしている僕も、ちょっと気を抜いていたら情報に取り残されてしまいそうな勢いです。ゲイの僕だってそうなんだから、ストレートの人たちはもっと混乱しちゃってるかも。ということで、今回は同性の結婚を中心にしたQ&A集を作ってみました。 Q. アメリカで同性の結婚が認められるようになったの? A. 州や郡によって異なります。 サンフランシスコでは、2004年2月に市長が同性の結婚にも証明書を発行するようにと通達を出し、これまでに何千といったカップルがサンフランシスコで結婚しました。しかし、カリフォルニア州では「結婚は男女間に限る」というDOMA(Defense Of Marriage Act)が適用されているので、州法に違反していることになります。これに対してサンフランシスコ市長は、「DOMAは“全ての人に同等の権利を与える”という州の憲法に違反している」として、真っ向から立ち向かう構え。しかし、同性結婚反対派は州法違反を訴え、3月11日に同性結婚の禁止命令が出てしまいました。サンフランシスコでの同性結婚の可否については、5月か6月に法廷で争われる予定です。 マサチューセッツ州では、2003年11月に州の最高裁が「同性の結婚を認めないというのは、“全ての人を同等に扱う”という州の憲法に違反したものである」という決断を下したので、今年の5月17日から同性の結婚が認められるようになる予定。 そして、お隣のオレゴン州のマルトノマ郡では2004年3月3日から同性のカップルにも結婚証明書を発行し始めました。オレゴン州にはDOMAは適用されていないし、1998年のオレゴン州最高裁判決によって性嗜好での差別が禁止されているとの理由からです。 Q. 保守派のブッシュ大統領はこれでOKなわけ? A. OKじゃないです。 サンフランシスコ市長が同性のカップルに結婚証明書を発行し始めてすぐに、「結婚は男女間のものとする」という条項を、国の憲法に追加すること(Constitutional Amendment)に賛成するという意向を表明しました。これに反発して、ロージー・オドネルがサンフランシスコで結婚したのは記憶に新しいと思います。 Q. いつ憲法が変わるの? A. まだ憲法の修正が決まったわけではありません。 国の憲法修正は多くの議員の賛成を必要とする、とても大きなプロセスです。ブッシュ大統領と同じ共和党の中にもゲイの議員が何人もいますが、彼らとしては「同性結婚は各州で可否は話し合われるべきで、国の憲法に修正を加えるのは間違っている」との考えなので、この憲法の修正はまず通らないだろうという考えの人もいます。 Q. ワシントン州ではどうなの? A. ワシントン州は1998年にDOMAが適用されてしまったので、同性の結婚を認めることは州法に違反することになり、シアトルのニッケルズ市長は「現段階では同性のカップルに結婚証明書を出すことはできない」との判断を下しています。 しかし、ほかの州で有効な結婚証明書を持っている場合には、結婚に関するすべての権限を与えるよう、シアトル市の政府機関に通達を出しました。つまり、シアトルに住んでいる同性のカップルがオレゴン州ポートランド(マルトノマ郡)で結婚証明書を発行してもらって帰ってきた場合、そのカップルには異性の結婚カップルとまったく同等の権利が、ニッケルズ市長の権限の届くシアトル市の政府機関で与えられることになります。 Q. ワシントン州在住の同性カップルはワシントン州で結婚できなくてもいいの? A.よくありません。 たとえ隣の州で発行された結婚証明書があることで、異性の結婚カップルと同等の権限が与えられることに.?なったとしても、それはシアトル市の政府機関のみで有効なこと。また、異性のカップルならばほかの州に行って結婚するなんて必要はないですよね。シアトル市に結婚証明の発行を拒否された6組の同性カップルはキング郡を訴えることになりました。この訴訟の結果によっては、DOMAが州法から削られる可能性もあります。そうなればワシントン州での同性の結婚にも光が見えてくることになります。 Q. 同性のカップルが結婚すると、具体的にどんなことが可能になるの? A.現在異性間の結婚に与えられているすべての権限が同性のカップルにも与えられることになります。つまり税金をカップルで申告できたり、病院などの“家族以外立ち入り禁止”エリアに入れたり、遺産相続ができたりします。 またパートナーが外国人の場合は、現在の異性間の結婚と同じく、パートナーのグリーンカードの申請もできるようになるでしょう。 Q. シアトルでは同性のパートナーシップは認められてるんじゃなかったっけ? A.Domestic PartnershipまたはCivil Unionという同性のカップルを支援する制度はありますが、これが結婚で与えられるすべての権利をカバーできるわけではありません。 たとえば異性カップルが結婚している場合、片方が会社で健康保険を受けていれば、そのパートナーも自動的に保険が適用されます。しかし、同性のカップルの場合、パートナーに健康保険費用を会社が払うときの税金分はカップルが払わなければなりません。これは異性間の結婚では不要なものです。 また同性結婚推進派の人たちは、「Civil Unionはまるで“Second-Class Citizen”に与えられる権利のようなもので、異性のカップルとまったく同等の権利が与えられない限り差別である」としています。 Q. もし、ひとつの州で同性カップルが結婚したら、他の州でもその結婚を認めなくちゃならないの? A.現在の段階では何とも言えません。異性間の結婚のように自動的に認められる可能性もありますが、州の文化にそぐわない結婚が認められなかったケースがこの100年以上の間にたくさんあります。たとえばいとこ同士の結婚や、叔父と姪の結婚。また男女間の結婚でも、片方が離婚してから1年以内の結婚が認められない州もあります。このため、各州によってまちまちになる可能性もあります。。 いかがでしたでしょうか? ゲイの結婚を考える時にいつも思い出すのが、ある日本人の女性のこと。アメリカでいい人に出会って、両親に会わせるために日本に連れて行きました。乗り気の両親は相手がアメリカ人だとは知っていたものの、実際に会ってみると黒人だったので急に態度が硬化してしまったそうです。今でさえ、こういう小さな“差別”はあちこちにあります。昔、白人と黒人の結婚が認められるようになった当時のカップルの苦労は、とても大変なものだったと思います。同性間の結婚と異種族間の結婚って、そんなに違うものなんでしょうか? 僕の周りに日本人とアメリカ人のカップルが多いからこそ、そんなことを考えてしまう今日この頃です。 来月は同性結婚から一歩戻って、“同性愛”自体に関するQ&Aを考えています。ゲイや同性愛に関する質問やQ&Aへの反論がありましたら、web@jeninc.com(タイトル:レインボー日記)までお寄せください。 |
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