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シアトル・サウンダーズ観戦ガイド-Go Sounders FC!

※このページは、2010年から2012年にかけて作成・掲載されたシアトル・サウンダーズ関連の記事を基に再構成したものです。

シアトル・サウンダーズFC元プロ・サッカー選手が、サウンダーズFCの情報を中心に、ワールドカップや世界のサッカー事情などを経験者の目線でお届け。

 

第1回 MLS参戦2年目、今季サウンダーズの見どころ

 

アメリカのMLS(メジャー・リーグ・サッカー) は、1996年から10チームでスタートを切りました。昨シーズン、シアトル・サウンダーズFCが加わり、今シーズンはフィラデルフィア・ユニオンが新加入。イースタンとウエスタン各8チームの全16チームで、MLSカップ優勝を目指して熱戦を繰り広げます。
2010年3月25日、シアトル・サウンダーズFC対フィラデルフィア・ユニオン戦で今シーズンが開幕。シアトルを世界に誇る「サッカーの街」にすべく、大きな使命をもって地域のサポーターと共にチャレンジしている我らがサウンダーズFCは、かつてコロンバス・クルーをMLSチャンピオンに導いたシギ・シュミット監督を08年に迎え入れ、攻守に安定した長期的なチーム作りを行っています。
攻撃のかぎを握るのは、名門アーセナル(英)で大活躍し、世界最高峰の実力を持つMFフレドリック・ユングベリ(元スウェーデン代表#10)で、抜群のボール・コントロールと戦術眼を駆使しゲームを組み立てます。そして、無類の勝負強さを見せつけるコロンビア代表のFWフレディ・モンテロ(#17※写真左の選手)は、南米選手独特のスキルとスピードで、相手ゴールに迫る実力者。守備では「ピッチ上の監督」と呼ばれるGKに、ヨーロッパの強豪クラブを渡り歩き、長年アメリカの守護神を務めたワシントン州出身のケーシー・ケラー(元アメリカ代表#18)が、キャプテンとして的確にチームを統率。そして私のイチオシは、右SBのジェームス・ライリー(#7)。玄人受けするクレバーな選手で、ボールがない時に相手のスペースを事前につぶす優れた読みや、相手のタイミングをずらす絶妙な攻撃参加で攻守を引き締めます。
最後に、12番目の選手であるサポーターですが、シアトルは最強で1年目にしてMLS観客動員数1位(平均約3万1,000人)に輝きました。今年のシーズン・チケット販売数も1月下旬の段階で3万1,000枚を超え、MLSで最も成功しているチームと賞賛されています。
世界一の競技人口を誇り、多くの人々に愛されているスポーツ、サッカー。ホーム・スタジアムのクエスト・フィールドには、本場ヨーロッパや南米のサッカー・スタジアムにいる錯覚を引き起こしそうな、アメリカのほかのプロ・スポーツでは味わえない、独特の雰囲気があります。ぜひ1度はホーム・ゲームに足を運び、世界中から集まった選手達や熱いサポーターと一体になり、応援歌を歌ったり、ゴールや勝利に目を輝かせながら喜びを分かち合い、心からサッカーお楽しみいただけたらと思います。

Wake Up Body!

いつも体に無理をさせて、ノー・メンテナンス、ノー・アテンションではかわいそうです。これからは、自分の体に愛情を持って生活しましょう。

今回は、体に愛情を持つためのお手軽で効果的な方法を紹介します。それは、自分の手を使って、皮膚、筋肉、骨、脳、眼球、内臓など、頭のてっぺんから足の先まで、あらゆる部位を意識しつつ、「いつもありがとう」「リラックス、ゆるゆる~」と話し掛けながらマッサージして、自分の体と対話してあげることです! そんなこと?と思われるかもしれませんが、まずは1週間トライしてみてください。全身の血液循環が良くなり、個人差はありますがコリや冷え性に効果も期待大。顔もゆるゆるしてあげて、みんな素敵な笑顔で過ごしましょう。

 

第2回 MLS開幕戦を白星で飾る

 

シアトル・サウンダーズFCは、フィラデルフィア・ユニオンとのMLS開幕戦で見事2対0の白星を飾りました。細かいミスや選手間の意図のずれが多少気になったものの、1勝をあげ幸先の良いスタートを切ったことと、ゴールを奪ったプレーは見応えたっぷりで素晴らしかったと思います。昨シーズンのプレーオフでレッドカードを受けたために開幕戦出場停止となった右SBのジェームス・ライリー(#7)がスタメンに戻ってくると、チームの攻守を引き締めてくれること間違いなしです。
さて、サッカーのだいご味は、何と言っても、入りそうでなかなか入らないゴールですが、ゴールを奪うためには、緻密な戦術と選手個々の高い能力が必要になります。今回はサウンダーズFCの記念すべき今シーズン初ゴールを戦術的に振り返りながら、攻撃に必要な要素に注目してみたいと思います。
前半12分、FWでプレーしたフレドリック・ユングベリ(#10)が相手陣内の右サイドでボールを持ち、左サイドのMFスティーブ・ザクアニ(#11)にサイドチェンジのパス。ボールを受けたザクアニは、シンプルにFWフレディ・モンテロ(#17)に縦パスを入れ、モンテロがボールをキープしている間に俊足を飛ばしオーバーラップ。モンテロは、得意の溜めプレーから、ザクアニとゴールラインの間のわずかなスペースに絶妙なパス。相手DFはモンテロに引き付けられ、ザクアニはフリーでゴールライン際に進入し、それをダイレクトで速いグラウンダーのクロス。そこには、守備的MFのブラッド・エバンス(#3)が中盤の底から長い距離のフリーランニングで、相手選手は誰もついていけないドフリー状態。左右、前後、左右、スピードの緩急を織り交ぜた圧巻のゴールは、ブラボー!!
攻撃には、以下のような要素が必要です。①ピッチの幅を使い、相手のプレッシャーが薄いところを攻めるサイドチェンジ。 ②ピッチの深みを使い、相手の背後をつくオーバーラップやドリブル突破、スルーパス、壁パスなど。 ③数的優位を作りプレイの選択肢を増やす溜めプレーやフリーランニグ、オーバーラップ、ポストプレー、そしてパス&ゴーなど。 ④相手DFが、ボールと選手を同一視野に入れることができない状況を作るクロスや壁パス、プルアウェーなど。 ⑤スピード、リズムの変化と駆け引き。
サウンダーズFCのゴールシーンは、ここに取り上げた戦術的要素が凝縮され、まさに絵に書いたような完璧なゴールでした。これから観戦される際は、ボールがあるところばかりを追いかけず、ピッチ全体を「戦術的な目」で見られたら、より深みが増してサッカー観戦が楽しくなることと思います。

Wake Up Body!

みなさん、ナンバという言葉をご存知ですか? ナンバ歩きと言われる歩き方は、江戸時代以前の日本では当たり前だったそうです。この歩き方の特徴は、右手が前に出る時に右足を前に出す感じで、左も手と足が連動します。この動きを行うことで、胴体部分のねじれ動作が少なく、内臓や筋肉に過度の負担が掛からない、体に優しい歩き方と言われています。階段を登る際に、右手の小指と右膝を糸で結んだ状態をイメージし、手に足を引っぱり上げてもらう感覚で登って、互いを感じてみてください。今回はエコな歩きの提案でした。

 

第3回 ワールド・カップ開催目前 特別編

 

世界中の人々を熱狂の渦に巻き込む、世界最大のスポーツ・イベント、ワールドカップが6月11日(金)から南アフリカで開幕します。
最多優勝5回を誇るサッカー王国ブラジル。世界一の守備力を誇りW杯連覇を狙うイタリア。パスサッカーで世界を魅了するFIFAランキング2位のスペイン。エースのクリスティアーノ・ロナウドがかぎを握るポルトガル。日本と同組で豪華布陣の強豪オランダ。そして、南米予選で苦しみ抜いたマラドーナ監督と世界一の選手リオネル・メッシが率いるアルゼンチンの逆襲なるか。記念すべきアフリカ大陸初の大会を制するのはどの国か、予想が飛び交っています。また、アフリカ勢の悲願をかけて、開催国南アフリカ、コートジボアール、ガーナ、カメルーン等のアフリカン・パワーも期待大。どの試合も見所万歳で楽しみは尽きません。
「W杯、ベスト4」という高い目標を掲げた我らが日本代表。W杯で目標を達成するために日本に何が必要か深く探っていきましょう。サッカーはその国の文化・教育を反映すると言われています。日本の教育は、基本的に対話型ではなく、先生から生徒に向かっての一方通行型です。そして、テストに出題される部分を正確に覚えることで成績の優劣が付きます。一方、欧米や南米などの国では、生徒同士の対話を先生が上手く誘導し発展させ、興味を持ったことに対して深く探求する、発展型の教育が主流だと思います。それが証拠に、日本が過去最高のベスト16に進出した2002年の日韓W杯では、フランス人監督フィリップ・トルシエ氏(現FC琉球総監督)が、徹底した組織プレーを実践。選手個々が自由な判断でプレーするのではなく、チームとしての決め事を遂行する、日本人に合った一方通行型を取り入れました。
これまで日本サッカー界は、ヨーロッパやブラジルのサッカーを手本としてきました。彼らが行うサッカーの特徴は、状況に応じて選手間でコミュニケーションを図り、ハイプレッシャーの状況においても瞬時に自らが判断し、有利な試合運びをします。しかし小さいころから、いわゆる指示待ち教育を受けている我々日本人は、コミュニケーションと状況判断、決断力をいちばん苦手とします。
これまでの取り組みから、中村俊輔、遠藤保仁、中村憲剛など、発想豊かでスキルフルな選手が日本代表の主力としてプレーする時代になりましたが、強化試合などを見ると、残念ながら発想力や瞬時の状況判断がうまく絡み合わず、理想とする結果につながっていません。
表面的には成長しているように見える日本サッカーですが、強豪国の物真似や崇拝ばかりでは彼らを決して上回ることができません。「うまいより強い」をモットーに、スター選手集団から強い選手の集団に変革した原監督率いる読売ジャイアンツが、着実に結果を残しているように、日本人の特長を生かしたチームを作り、トルシエ氏が行ったような組織プレーの徹底と、それを最後までやり切れる心身の強さを持った選手が必要不可欠です。日本が近い将来世界一を目指すのであれば、最高レベルの組織力と個の判断力の融合が必須で、選手達が大きな影響を受ける教育制度の変化も必要とされるでしょう。ワールドカップを通じ、それぞれの国の特徴を探ってみるのも面白いのではないでしょうか?
さて、シアトル・サウンダーズですが、7月18日(日)にセルティックFCとの国際親善試合の開催が決定しました! 午後1時キックオフ。かつて日本代表の中村俊輔が大活躍したスコットランドの強豪に、サウンダーズFCがどのような戦いを挑むのか? そして、元日本代表の水野晃樹も契約の最終年を迎え、セルティックで勝負のシーズンになりますが、クエスト・フィールドで彼のドリブル突破を見られることを期待しています。

 

第4回 逆襲なるか、サウンダーズFC

 

シアトル・サウンダーズFCは4勝6敗3分、勝ち点15、8チームのウエスタン・カンファレンスで6位、総得点14、総失点17という成績(MLS、6月10日現在)で、今シーズンの連勝は1度もなく、いま1歩波に乗り切れない状況が続いています。
成績とは裏腹に、サウンダーズFCの戦い振りはとても攻撃的で、常にボールを保持しボールポゼッションでは他チームを圧倒しています。その証拠に総シュート数は、リーグ随一160本のシュートを放って、現在勝ち点32。首位のLAギャラクシーのそれをも上回りますが、決定力となるとその差は歴然です。
独走態勢に入っているギャラクシーは、144本のシュートで22ゴールを奪い、総失点も4と、攻守共にMLS屈指、試合運びが抜群に安定しています。決定力においては、イースタン・カンファレンス3位のトロントFCが非常に素晴らしく、サウンダーズFCの約半分、82本のシュートでサウンダーズFCを上回る15得点と、MLSで最高の決定力を誇っています。
サウンダーズFCがプレーオフ進出を果たすには、決定力をアップさせることが大切です。今後の課題としてポイントになるのは、現在チャンスメイクに専念している感がある、エースのMFフレドリック・ユングベリ(#10)が、ゴール前で仕事をする機会をいかに増やすか。彼は現在のところまだ無得点で、ゴール前に侵入する回数がとても少ないと感じます。そして、もうひとつは、得点源のFWフレディ・モンテロ(#17)とコンビを組むFWの補強。モンテロ自身の出来も、ここまで5得点とまずまずですが、ほかのFW登録の全選手の合計得点が1点しかない状況で、このままでは全く怖さのないチームになってしまいます。クラブは、すでに新しいFWの獲得に乗り出してしているようですし、残り17試合、まだまだプレーオフ進出のチャンスは十分あるので、今後の決定力アップと新FWの活躍に期待しましょう。
さて、ついに6月11日、サッカーファンにはたまらない、待ちに待ったワールドカップ南アフリカ大会が開催しました。開幕戦は、開催国南アフリカ対メキシコが顔を合わせましたが、両チーム共に攻撃的な戦いをし、非常にスピード感のある見応えのある試合となりました。7月11日まで、我らが日本代表の戦いや、注目のスペイン、ブラジル、オランダ、イングランド、アルゼンチン、ポルトガルなど、優勝候補の試合も含めTVの前から離れられませんね。優勝国がどこになるのか楽しみです。

Wake Up Body!

私は、心身統一合気道を学んでいますが、そこで教えていただいた「氣」を意識した瞑想を日常生活に取り入れ、毎日を過ごしています。愛犬を連れ、緑の木々が茂るトレイルを散歩途中、立ち止まりリラックスして目を閉じ、丹田(へそ下約5センチ)を意識し、そこから球体がどんどん大きくなっていくイメージをします。その球体が無限の宇宙まで大きくなったら、そこから今度はどんどん小さくして、最後は丹田の位置で半分、半分、半分と無限に小さくします。これを数分ですが毎日行うと、とてもエネルギーがわいてきます。ぜひお試しください。

 

第5回 2010 FIFAワールドカップを振り返る

 

世界中を熱狂させたワールドカップ・南アフリカ大会は、スペインの初優勝で幕を閉じました。
スペインは、グループ・リーグ初戦のスイスに破れましたが、そこから見事にチームを立て直し、オランダとの決勝は、延長戦の末、アンドレアス・イニエスタの決勝ゴールで勝利を掴みました。

イニエスタは1984年生まれの26歳、スペイン代表、所属クラブのFCバルセロナでも攻撃を牽引する素晴らしい選手で、私のいちばん好きな選手でもあります。

身長170センチと、我々日本人と比べても小柄で、決してフィジカルが強いわけでもなく、スピードがあるわけでもありません。そんな彼が世界の超一流選手として活躍できる理由として、以下4つの特徴が挙げられます。

①非常に頭が良く、状況判断の速さがずば抜けていること
②卓越したボール・コントロール能力
③リラックスして力みがない、相手選手に動作を読ませない身体操作
④圧倒的な運動量の多さ
上記のような事柄は、日本人選手も学べる点が非常に多いと感じます。

そして、「W杯、ベスト4」という目標を掲げて臨んだ我らが日本代表。初戦の対カメルーンは1-0で勝利、2戦目の対オランダは0-1で敗北、3戦目の対デンマークは3-1で勝利し、グループ・リーグを突破。しかし決勝リーグの対パラグアイ戦ではPK戦まで持ち込むものの負けを喫し、結果はベスト16でしたが、それぞれの戦いを通じ、日本の良い部分と今後の課題も見つけることができました。

日本は、大会前の強化試合で4連敗を喫したことで、ある意味吹っ切れた部分がありました。それは、普通にプレーしたのでは、世界の強豪から勝利することは難しいということです。

ワールドカップが始まる前、私はこのコラムに、日本が勝つためには「徹底した組織プレーとそれを最後までやり切れる心身の強さを持った選手が必要不可欠です」と書きましたが、そこへは十分到達していたように思いました。

本番では、理想を捨て現実主義に徹し、岡田監督以下選手全員がひとつの方向を向いて動き出し、全員で徹底した組織守備を行い、相手より走ることで、カメルーンとデンマークに勝利し、準優勝のオランダを苦しめました。決勝トーナメントでは、パラグアイにPK戦の末破れましたが、日本の運動量は最後の最後まで落ちることはありませんでした。
実際にFIFAが公表したデータによると、日本のグループ・リーグ3戦の総走行距離は、出場32チーム中2位(331.45キロ)で、中でも遠藤保仁の33.224キロは、世界でも最高クラスの運動量、日本の中盤を支えました。そして、2ゴールを決めた本田圭佑も32.489キロ走り、日本で2番目の運動量を誇って、大会前の「できれば守備はしたくない」というコメントを覆し、攻守に大貢献しました。そして、チームワークとフリーキックという日本の武器を世界に知らしめることができたと感じます。

今後の課題としては、運動量と組織守備を維持しながら、試合で生かせる個々のスキルと判断の速さを向上させ、チームでのボール保持率を上げることで、もっとたくさんのチャンスを作り出すことが可能になるでしょう。そして、次のワールドカップ・ブラジル大会では、ベスト8、4が近づいてくると期待します。

ワールドカップを通じ、日本人のあきらめない心、相手に食らい付いていく姿勢に感動し、勇気をもらった熱い1カ月でした。

 

第6回 ユングベリ放出と補強でバランスを取り戻したサウンダーズ

 

エースのフレドリック・ユングベリをシカゴ・ファイアーに放出し、急務だった攻撃陣の補強。先のワールドカップでベスト4に進出したウルグアイ代表のMFアルバロ・フェルナンデス(#15)を獲得し、攻守バランスが飛躍的に向上、両サイドのスピードを生かした攻撃力が格段にアップしました。ここ最近(8月12日現在)の公式戦では、8戦無敗、6勝2分け、11得点3失点と、安定感が増してきたのがわかります。

ユングベリは、サウンダーズを牽引してきましたが、今年の彼のプレーは、チームのバランスを崩すという大きな問題が浮かび上がっていました。まず、FWでプレーするにはゴール前での仕事が少なく得点源にならない。MFでプレーすると、ドリブル突破やスルー・パスでチャンスを演出するも、運動量が少なく守備にかかわれない……。シュミット監督も、彼を生かせるフォーメーションを模索し続けましたが、結局ベターな解決策を見つけることができませんでした。だからと言って、最高年俸を払っているスーパースターをベンチに座らせておくことは難しい。戦術面と経営面から分析し、彼の放出を決定したと推測されます。

新たに加入したブレイズ・クフォ(#9)は、スイス、カタール、ドイツ、オランダの各リーグで実績を残し、これまでのクラブやスイス代表で200得点以上ものゴールを量産してきた経験豊富なFWです。今年のワールドカップでは、優勝したスペインをグループ・リーグで破ったスイスの10番を付け大活躍し、7月に移籍して来ました。189cm、84kgの体格と確かな技術を生かしたプレーでゴールに迫ります。

突出した得点能力を持つクフォとフレディー・モンテロ(#17)が2トップを組み、左サイドMFスティーブ・ザクアニ(#11)と、ユングベリに替わりレギュラーに定着した右サイドMFサンナ・ニヤシ(#23)の若いスピードスターが、両サイドを何度も駆け上がり、前線のふたりに絡む攻撃力は迫力満点。それを証拠に、7月のMLS月間MVPには、5試合で2得点3アシストの活躍をしたモンテロが選出されました。また、ふたりのMFのスピードと運動量は、速い攻守の切り替えとプレスに生かされ、守備にも安定感をもたらしています。MFの中央には、けがから復帰したオズヴァルド・アロンソ(#6)も無尽蔵のスタミナで攻守に貢献しています。

スーパースターを放出して、「全員が走るサッカー」を選んだシュミット監督の決断。チームは生まれ変わり、ウエスタン・カンファレンス4位に浮上してきました。躍動感あふれるスピード・サッカーで、後半の巻き返しに期待大です

 

Wake Up Body
バランスを取ったり、体幹の力を腕に伝えたり、重心移動などの際に重要なカギを握るのが肩甲骨。その肩甲骨周辺をほぐすストレッチのひとつを紹介します。
まず、両手両足を地面に付け、ひじを伸ばしましょう。肩甲骨を意識しながら、そのまま腕を外回し、内回し、さらに肩甲骨を左右に広げたり、中央に寄せたり。また、その状態で平行四辺形を描くように前後左右に背中をスライドすると肩甲骨が動きます。肩甲骨の稼動域が広がり、ほぐれてくると、首や肩の辺りが軽く感じられるようになりますよ。

 

第7回 サンダーズFC、クラブ世界一を目指して!!

 

アメリカのメジャーリーグ・サッカーチームは、MLS(北米のリーグ戦)とUSオープン・カップ(カップ戦、日本の天皇杯に相当)を同時に戦っていますが、サウンダーズFCには、もうひとつの戦いが繰り広げられています。

昨年度のUSオープン・カップ優勝チームのサウンダーズFCは、北中米カリブ海(CONCACAF)サッカー連盟主催のCONCACAFチャンピオンズ・リーグにアメリカのクラブを代表して参加しています。この大会には、北中米カリブ海の各国リーグやカップ戦の優勝クラブ16チームが参加。4つのグループに分かれてホーム・アンド・アウェイ方式で予選リーグを行い、最終各グループ1位の4チームが準決勝に進出、来年4月下旬の決勝まで長丁場でチャンピオンを決定します。私も旧サウンダーズの一員として、チャンピオンズ・リーグ前身のチャンピオンズ・カップに出場しましたが、真剣勝負の国際試合で、グアテマラでの戦いは非常にタフだったことを今も思い出します。現在、グループCで最下位(9月15日現在)と苦しい状況のサウンダーズFCですが、チーム一丸となっての盛り返しに期待! 優勝すると、2011年に日本で開催されるFIFAクラブ・ワールド・カップの出場権を獲得できます。この大会は、6大陸王者と開催国の国内リーグ(Jリーグ)優勝チームが一堂に会し、クラブ・チームの世界王者を争うもので、サウンダーズFCがクラブ世界一になることも夢ではありません。

一方、ディフェンディング・チャンピオンとして臨んでいるUSオープン・カップは、9月1日に行われたチーバスUSAとの準決勝戦を3対1で快勝し、10月5日に行われる決勝戦に駒を進めました。対戦相手はコロンバス・クルー。サウンダーズFCのホーム・スタジアム、クエスト・フィールドで行われることが決定し、地元の熱いサポーターと共に2連覇を祝福できる最高の舞台が整いました。コロンバス・クルーと言えば、サウンダーズFCのシュミット監督の古巣。監督本人も「相手のコーチング・スタッフや多くの選手のことを知っていて、エモーショナルになる」とコメントしています。非常に激しい戦いになることは確実です。

そしてMLS。終盤を迎えサウンダーズFCは、プレーオフ進出のワイルドカード当確ラインギリギリで、激しい争いを繰り広げています。今後も連敗は許されない状況が続きますが、前号でもお伝えしたように的確な選手補強とけが人の復帰で、質の高い選手がそろいました。サウンダーズFCのプレーオフ進出の可能性は非常に高く、MLS初優勝の期待がますます高まります。

世界一、2連覇、MLSチャンピオンとビッグ・タイトルに手が届くところにいるサウンダーズFC、今後の一戦一戦すべてに注目したいですね。

 

Wake Up Body
前回は肩甲骨のストレッチ法をご紹介しましたが、今回は下半身のかぎを握る“股関節”のストレッチ法です。両足を伸ばして地面に座り、左足の膝を曲げながら、真っすぐ伸ばした右足と左ももが直角になるようにし、左膝も直角にします。そして上半身をできるだけ垂直にキープしながら、まず左右にゆっくり10回程度動かします。その次に上半身を前後に動かし、左右前後終了後、同様の手順で逆足の股関節ストレッチを少しずつ行います。3セットを目安に行って、下半身の互いを感じてみましょう。

 

第8回 祝!USオープン・カップ優勝、残すはMLS制覇!

 

チーム創設1年目の昨年、サウンダーズFCはUSオープン・カップ決勝の地ワシントンDCで、ホームのDC・ユナイテッドを2対1で破り初優勝を飾りました。そして今年も決勝進出。10月5日、クエスト・フィールドに強豪コロンバス・クルーを迎え、大いちばんの決戦が行われました。

キックオフ直後からボールをキープして、試合をコントロールしたサウンダーズFCは、前半24分に一瞬のスキをつかれ、左サイドからの先制を許します。しかし3万人を越える熱狂的なサポーターの大きな後押しを受け、反撃を開始。同38分、ゴール前の混戦のこぼれ球に反応したMFソーンナ・ニヤーシ(#23)が右足を振り抜き点を入れ、試合を振り出しに!

後半に入って均衡を破ったのは、またもやニヤーシ。FWフレディー・モンテロ(#17)が右サイドから上げたクロスを、MFスティーブ・ザクアニ(#11)がヘディングシュートを放つと、ボールはゴールバーに直撃しゴール前に落下。誰よりも早く反応したニヤーシが詰め、貴重な勝ち越しゴールを奪いました。若干21歳のガンビア人、常にゴールを狙い続けたニヤーシは、決勝戦2得点の大活躍でしたね。その後もコロンバス・クルーの反撃をしのぎ、2対1で接戦を制したサウンダーズFCは、USオープンカップ2連覇を達成。96年の歴史を誇る同大会史上、連覇を達成した初のMLSチームとなりました。

一方、MLSリーグでは、9月9日以降1カ月無敗。リーグ終盤は安定した戦いを見せ、熾烈なプレーオフ進出争いも、10月9日にアウェーで行われたカンザスシティー・ウイザード戦に2対1で勝利し、進出を決めました。

MLSのプレーオフは、ホーム&アウェーのトーナメント方式で行われますが、私はサウンダーズFCにとっては非常に有利だと感じています。なぜなら、2連覇したUSオープン・カップですでに実証済みですが、このチームは短期集中のトーナメントで絶大な力を発揮します。それに加え、昨年優勝したレアル・ソルトレイクのように後半勢い付いたチームが、一気にプレーオフを制したケースもあり、長丁場のリーグ戦とは違い、チームの勢いや瞬発力がかぎを握っているからです。

USオープン・カップで大活躍したニヤーシとザクアニ、両サイドMFのスピードと運動量、モンテロの得点能力とテクニック、途中加入したFWブレイズ・クーフォー(#9)のヘディングの強さと経験など、選手の長所を存分に生かしたサイド攻撃で、チャンスを作り出すのと同時に、中央の危険な位置でボールを奪われにくいリスクの少ないサッカーが浸透してきたサウンダーズFC。USオープン・カップに続き、MLS初優勝に手が届くのか? ますます期待が高まりますね!

 

Wake Up Body

最近徐々に気温が下がってきましたが、冷え性の方には特に辛い季節になってきましたね。そこで、冷え性に効果が期待できる、ふくらはぎをほぐす簡単なエクササイズをご紹介します。まず、仰向けに寝そべり、どちらかの一方の膝を立て、その膝の上にもう一方の足のふくらはぎを乗せます。そして、少し圧力をかけながら前後に擦り、自分の膝でふくらはぎのマッサージを行ってみましょう。ふくらはぎのヒラメ筋と腓腹筋をほぐし血液とリンパ液を上半身へ循環させることで、冷え性緩和につながります。

 

第9回 2010年全試合終了、来シーズンのさらなる飛躍に期待!

 

MLSプレーオフ、西地区準決勝の対戦チームは、デビッド・ベッカムとランドン・ドノバンという英米のスターが率いるLA・ギャラクシーということで、サウンダーズFCの選手やサポーターは、いっそうの気合を込めて試合に臨みました。

第1戦は10月31日。ハロウィーンにもかかわらず、クエスト・フィールドに3万5,000人のサポーターが詰め掛け、サウンダーズFCも序盤からエンジン全開でした。しかし前半38分、ギャラクシーのFWバダルが30ヤードのロング・シュートを豪快に叩き込み、先制点がもたらされました。サウンダーズFCは、その後も攻撃し続けましたが、10人で守備を固めるギャラクシーからゴールを奪うことができず、0対1で敗れました。そして背水の陣で臨んだ11月7日の第2戦、ロサンゼルスのホーム・ディポ・センターで輝きを放ったのは、アキレス腱断絶の大けがから復帰したベッカム。前半19分、右コーナーキックから、そして同27分にはフリーキックからピンポイントクロスでゴールを演出し、全得点に絡む大活躍。経験を生かした渋いプレーと勝負強さは圧巻でした。一方のサウンダーズFCは、試合終盤にスティーブ・ザクアニが1点を返しましたが、2試合合計3対1でギャラクシーが西地区決勝に駒を進め、サウンダーズFCのMLSは全試合を終了しました。

3月下旬に開幕したMLS、序盤のサウンダーズFCは、攻守のバランスが悪く波に乗り切れませんでしたが、思い切った方向転換を図り、エースのフレドリック・ユングベリを放出して攻守が安定、今年は悲願のMLS制覇かと期待が高まりました。しかし、彼らの前に立ちはだかったのはギャラクシー、ベッカムの世界屈指の精度を誇るキックが勝敗を決めました。

来シーズンに向け、サウンダーズFCの強化ポイントを挙げるとすれば、守備を固める相手に対して、セットプレーからゴールを奪うオプションが欲しいところですね。スピードを生かした速攻で、相手を崩すパターンが浸透してきましたが、自陣に引いて守る相手に対して、攻め手不足という課題が見つかったプレーオフの戦い、来シーズンのさらなる飛躍に向け進歩が必要です。

今年は、日本代表が大活躍したワールドカップやサウンダーズFCのUSオープン・カップ2連覇など、シアトルの日系サッカー・ファンにとっては、非常にエキサイティングな1年となりました。来シーズンは、ポートランドとカナダのバンクーバーの2チームもMLSへ新たに加わり、ノースウエストのサッカーがますます熱くなりそうです。このコーナーも、MLSシーズンが終了する今月でひとまず終了となりますが、この連載を通し世界中の人々を魅了し続けるサッカーの素晴らしさを少しでも感じていただければ、大変うれしく思います。ありがとうございました。

Wake Up Body

身体を簡単に柔軟にしたり、バランスを良くしたい方に、とっておきの方法をご紹介します。まず、頭をまっすぐにした状態から上下(上下を見る動作)にゆっくり動かします。例えば、上に動かしたほうが楽だと感じたら、頭をまっすぐした状態から上に頭を動かしながら、両手で頭を下へ押し返す力(抵抗)を加えて3秒間保ち、3秒後に一気に全身を脱力させます。これを4セットほど行うと、先ほど楽だと感じなかった、頭を下に向ける動作が楽になります。この方法は全身どこの部位でも応用でき、パートナーと一緒に行えばさらにバリエーションを増やすことも可能です。

 

第10回 サウンダーズFC、今季チームの見どころは?

 

昨年のチームをベースに、名より実を優先した補強を行ったシアトル・サウンダーズFC。ポートランドとカナダのバンクーバーからライバルも新たに加わり、いっそう熱いシーズンになることは間違いありません。

開幕に先立ち、サウンダーズFCは、3月9日に昨季のMLSを制したコロラド・ラピッツをホームに迎え、最後のプレ・シーズン・マッチを実施。その模様を取材してきました。両チーム共、シーズン開幕に備え、戦術の確認や新戦力との連携を実践で確かめるためベスト・メンバーで参戦。今季のチームの特徴を知ることができました。

まず、40歳の守護神、GKのケーシー・ケラー(#18)の存在感は際立っています。センターバックには、新加入のジェフ・パーク(#31)とコロンビアの名門デポルティーボ・カリから獲得したジョン・ハートド(#34)。ふたり共、空中戦や競り合いが非常に強く、特にハートドはセットプレーから先制点も決め、今シーズンの武器となる予感を漂わせています。

昨シーズン後半から大活躍したサーニャ・ニヤーシがラピッツに移籍したことで懸念されていたのは、今期残留したスピード・スター・コンビのひとり、スティーブ・ザクアニ(#11)へのマーク。予想通り、この試合ではマッチ・アップしたラピッツの日本人DF木村光佑に抑えられました。

チーム全体のスピード感は昨年よりやや劣っていますが、新たに「連動」というスタイルのサッカーを目指していることが、スウェーデンからエリック・フリーバーグ(#8)を補強した狙いだと感じます。彼の広い視野とクリエイティブなプレーを中心に、ボールと人が連動して動き続けることで、相手のマークを拡散。それにより、空いたスペースに後ろから選手が関わってくるという、非常にアクティブなサッカーが可能になります。この試合では、後半から彼が入ったことで、ボールと人が活発に動き出し、相手ゴール前では、トリッキーなパスでFWフレディー・モンテロ(#17)の得点をアシスト。サポーターにサッカーの新たな楽しさも示しました。エースのモンテロも、新戦力と噛み合い2得点1アシストと活躍! 昨年のチャンピオンを3対1で制覇しました。

そして行われた、3月15日の開幕戦。相手は、昨年のプレーオフで行く手を阻まれた宿敵LAギャラクシー。クエスト・フィールドでの1戦は、残念ながら1対0で負けを喫しましたが、シーズンはまだ始まったばかり。今後のゲームに期待しましょう。

Wake Up Body / 股関節のストレッチ
股関節は、家に例えると土台と言われます。股関節を常に調整し安定させることで、全身のバランスアップにつなげていきましょう。やり方は簡単です。長座の姿勢で地面に座り、片足の膝を内側に曲げもう一方の足の腿の上に乗せます。そして、息をゆっくり吐きながら前屈を40秒行い、その後左右の足を入替えて行います。 この方法は、大腿の裏、ハムストリング(大腿の裏を縦に沿う筋肉群)と臀部を効果的にストレッチすることができます。

 

第11回 サウンダーズFC、4月に入り徐々に調子アップ!

 

開幕2連敗の後、2引き分けというスタートを切ったサウンダーズFC。得点源として期待されているFWフレディー・モンテロ(#17)が手首のけがで欠場を余儀なくされたうえ、昨季途中加入してプレーオフ進出に貢献した元スイス代表のFWブレイズ・クーフォー(#9)の引退などが続き、選手と戦術の変更を強いられ調子が上がらない状況が続きましたが、4月9日にホームでシカゴ・ファイヤーを2対1で破り、ようやく復調の兆しが見えてきました。

従来の4-4-2から4-3-3にシステムを変更して臨んだシカゴ戦は、今シーズン新加入したジャマイカ出身のFWオブライエン・ホワイト(#13)が1得点1アシストと全得点に絡む活躍。アルゼンチンの名門リバー・プレートからやって来たプレーメーカーのマウロ・ロザレス(#10)も期待に応え、1アシストと大活躍しました。この両者にスティーブ・ザクアニ(#11)と新加入のスウェーデン人MFエリック・フリーバーグ(#8)が効果的に絡むことで、コンビネーションとスピードがもたらされ、サウンダーズFCの代名詞とも言うべき、「サイドアタック」を十分機能させていました。攻撃に関しては、試行錯誤を経て改善されてきたと同時にモンテロがトレーニングに復帰し、明るい材料がそろってきました。

一方の守備ですが、まだまだ改善の余地があります。シカゴ戦では、GKケーシー・ケラー(#18)が決定的なピンチを神がかり的なセーブで防ぎ、失点を1に抑えましたが、相手選手のスピードにDFが置き去りにされる場面が目立ち、ピンチを招きました。カバーリングの徹底や選手の組み合わせの変更などの対策が急務です。守備の建て直しは必要ですが、開幕4戦未勝利からのこの1勝により、選手達には持ち前の明るさが戻ってきました。

そして先日のトレーニングではサッカーから1歩離れ、全選手参加のソフトボール大会を開催。リフレッシュ効果はもちろん、このようなチーム・ボンディングを行うことで、チームメイトの新たな側面を知る良いきっかけとなり、絆をより深める意味でも非常に有効だったと思います。何よりチームの雰囲気が結果に影響を及ぼすことを熟知している、名将シュミット監督のマネジメント能力の高さがうかがい知れます。読者の皆さんも試合観戦をする際、自分が監督になったつもりで監督の目線でピッチ全体を見渡してみてください。チームの雰囲気や向かうべき方向性を感じることができると思います。時には監督目線での観戦を楽しんではいかがでしょうか。

Wake Up Body / 股関節のストレッチ(2)
前回に続き、体の土台である股関節を中心にした調整で、ますます元気になりましょう。仰向けに寝そべり左右どちらかのひざを曲げ、かかとがすねの裏に着くようにし、ひざの前面の大腿四頭筋を40秒間伸ばします。その後反対の足も同様に40秒行い、両足を終えたら、今度は両膝を折り曲げ正座の状態から背中を地面に少しずつゆっくりと近付けていきます。両足の大腿四頭筋から腹部、腰、背中までを連動してストレッチすることで、股関節がバランス良く調整されます。

 

第12回 けが人続出のサウンダーズFC、ポートランド・ティンバーズと対決!

 

4月22日、突然の悲劇がサウンダーズFCを襲いました。FWフレディー・モンテロ(#17)がけがから復帰し、ベスト・メンバーで臨んだコロラド・ラピッツ戦。モンテロの今期MLS初ゴールで、1対0の勝利を収めたものの、チームの看板選手とも言うべきMFスティーブ・ザクアニ(#11)がラピッツのミュラーからタックルを受け、脛骨と腓骨を骨折する大けがを負ってしまいました。それに加え、モンテロ不在の間、FWとして攻撃を牽引していたオブライエン・ホワイト(#13)が足の血液凝固の摘出手術のため戦列を離れることに。このふたりの離脱は今後の戦いに大きな影響を及ぼす可能性があります。

5月に入るとサウンダーズFCは、DCユナイテッドに2対1で破れ、続くコロンバス・クルーには1対1で引き分けました。そして、アウェー2連戦を終了し3勝3敗4分という成績で、今期MLSに加入してきたノースウエストのライバル、ポートランド・ティンバーズと14日にホームで対決。ティンバーズは、彼らのホームゲームでは4戦全勝している一方、アウェーでは3敗1分といまだに未勝利ですが、この試合では、両者お互いに負けられない気持ちがぶつかり合いました。サウンダーズFCは、アルバロ・フェルナンデス(#15)のゴールで先制しましたが、粘るティンバーズも追いつき、1対1でタイムアップ。初のダービーは引き分けという結果になりました。

さて今回は、ちょっと視点を変えたサッカーの楽しみ方をお伝えしたいと思います。日本のJリーグやヨーロッパのプロ・クラブでは、日頃のトレーニングを見学したり、リザーブ・チームの試合に通ったりと熱心なサポーターが存在しています。彼らは無名の若手選手を応援し、その選手がスターになっていく過程を自分のことにように楽しんでいるのです。私が現役時代にドイツの名門、ベルダー・ブレーメンに滞在し、リザーブ・チームでトレーニングを行った際にも、週末のリザーブ・リーグの試合では近所の子供からご老人まで熱い視線を送り、試合後はスタジアムに隣接するパブで、若手選手の成長振りを熱く語っていたことを思い出します。

実はMLSにもリザーブ・リーグが存在していることをご存知ですか? サウンダーズFCのリザーブ・チームのスケジュールをチェックして観戦に行き、未来のスターをいち早くチェックしてみてはいかがでしょうか。観戦はなんと無料です!

また、サウンダーズFCの選手達の中には、フェイスブックやツイッターを使い、自ら積極的にコミュニケーションを図っている選手もいます。皆さんも自分流のサッカーの楽しみ方を発見し、よりいっそうサッカーに興味を持っていただければ、サッカーにかかわる者として大変うれしく思います。

Wake Up Body / これなら簡単! 縄跳びエクササイズ
皆さんは、縄跳びが得意ですか? 縄跳びは、長時間続けることで有酸素運動になるし、短時間に早く跳ぶことで瞬発力も向上できる万能なエクササイズです。そのほか、小気味良く跳ぶことでリズム感を養い、膝を深く曲げず地面から効果的な反発を受ける習慣が身に着くので、方向転換を多用するスポーツのトレーニングには最適です。頭に血が上りやすい方は、丹田(へそから3~5センチ下辺りにある1点)を意識して跳ぶことで、精神コントロールにもつながり、心身共に健康になりますね。

 

第13回 歴史に残るバンクーバー・ホワイトキャップスとの一戦

 

6月11日、バンクーバー・ホワイトキャップスをクエスト・フィールドに迎えた一戦は、世界にインパクトを与える一戦となりました。
試合は序盤からホームのサウンダーズFCが優勢に進みましたが、前半28分にサウンダーズFCのオズバルド・アロンソ(#6)が、ペナルティー・エリア内でホワイトキャップスのDFカミオ・サンベッツォを倒しPKを与えました。そしてFWエリック・ハスリに決められ、先制を許します。
エンドが変わった後半も、積極的に攻撃を仕掛けるサウンダーズFC。しかし相手の粘り強い守りになかなかゴールを奪うことができず、こう着状態が続きました。そして59分にシュミット監督が、長身のFWネイト・ジャクア(#21)を投入し、空中戦で活路を見出す作戦に変更。それが功を奏し81分、ジャクアがヘディングで流したボールをマウロ・ロサレス(#10)がボレーで決め同点へ。監督の采配が的中します。その3分後、アロンソが相手のボールを奪いドリブルでひとりを交わし、左足を鋭く振り抜くと、ボールは地を這うようにゴールに決まり逆転! スタジアムは熱狂の渦に包まれました。

ところがホワイトキャップスは、まだゴールの興奮が冷めやらない85分、サウンダーズFC陣内に深く蹴り込んだボールをあきらめず、全力でプレスを掛けます。前半でPKを決めたハスリがアロンソのトラップ・ミスを奪い、なんとペナルティー・エリアの外、しかも角度のない場所から、逆サイドのゴール・ネットに突き刺さるスーパーボレーシュートを決めたのです。これで同点となり、プライドがぶつかり合ったダービーは2対2の引き分けとなりました。
ハスリのスーパーゴールは、サッカーの母国イングランドのスポーツ専門チャンネル「スカイ・スポーツ」でも取り上げられ、世界中にMLSダービーの盛り上がりを知らしめる、非常に価値のあるものとなりました。
ダービーと言えば、スペイン国内に留まらず、今や世界中の注目を集めるレアル・マドリードとバルセロナのナショナル・ダービーは、エル・クラシコ(伝説の一戦)と呼ばれ、1902年からの通算成績は、レアルの86勝、バルサの83勝、44引き分けでほぼ互角。1世紀以上もの間、激しい戦いが繰り広げられています。また、イタリアの超名門クラブ、インテル・ミラノとACミランは、ミラノ・ダービーで名誉と歴史を背負い、火花を散らしています。インテルに所属する日本代表、長友佑都選手のミラノ・ダービーでの活躍にも、これから期待していきたいですね。

Wake Up Body / 運動能力アップの秘訣は幼少期がかぎ!?
私は、サッカー・コーチという仕事柄、この15年の間に数百人の子供や大人とかかわってきました。その経験により、運動能力の高い低いは、幼少期にどれだけ体を動かしたかに深く関係していると感じています。幼少期は神経系の発達がもっとも進む時期で、この時期に走る、飛ぶ、投げる、蹴る、転がる、引っ張るなどの動きや遊びを多く経験すると、体からたくさん刺激を受け神経系の発達を促進するように思います。幼児がいるご家庭は、運動の楽しさを体験できる環境を作ってあげると良いと思います。

 

第14回 なでしこジャパン 女子ワールドカップ優勝!!

 

サッカーの女子日本代表、なでしこジャパンの戦いは、世界にセンセーションを巻き起こしました。女子ワールドカップ2連覇、そして今回ホスト国として3連覇を狙ったドイツを延長の末破り、準決勝はスウェーデンに完勝。決勝では世界ランク1位のアメリカに2度リードを許すも追いつき、PK戦の末、見事に世界一に輝きました。日本の女性達は、世界中の人々に突出した技術力と、パス・サッカーをベースとしたチームプレー、諦めない心、団結力の本当の素晴らしさを伝えてくれたと思います。

サッカーは、FIFA(国際サッカー連盟)が統括し、各年代の各種世界大会を行っています。日本は、最近特に存在感を示していますが、その背景にはプロ・サッカー・リーグのJリーグの発展と、日本サッカー協会の主導の下、幼児からユース年代の選手育成という、時間の掛かる作業をじっくり進めてきたことが挙げられます。6月にメキシコで開催された17歳以下のワールドカップでは、若き日本代表が堂々のベスト8入りを果たしました。昨年南アフリカで開催されたワールドカップでは、日本代表がベスト16に進出。その後、多くの選手がヨーロッパなどの強豪クラブに移籍し、活躍していることは周知の通りですね。

さて、ここからはサウンダーズFCの近況です。MLS開幕から不安定な試合運びが続きましたが、5月28日のレアル・ソルトレイク戦以来、9戦無敗(6勝3分、その内1点差の勝利が5試合)の好成績を残し、ウエスタン・カンファレンス2位(7月16日現在)に浮上しました。この9試合の戦いを分析すると、サウンダーズFCが放ったシュート数の合計が107本、相手チームのシュート合計が110本となっており、接戦をものにできるようになったことがシュート数にも表れました。得点源としては、エースのフレディー・モンテロ(#17)の存在感に加え、MFやDF、さらに交代出場した選手の得点が勝利に結び付き、チームの総合力がアップしていることが伺えます。

これから後半戦に入りますが、USオープン・カップ(カップ戦)やCONCACAFチャンピオンズ・リーグ(北中米カリブ海クラブ選手権)の試合がMLSと並行して開催され、試合数が増加するため、選手の消耗はより一層激しくなるでしょう。これからが本当のチーム総合力が試される時ですが、どこからでも得点が奪えるチームに生まれ変わったことで、悲願のMLS初制覇に向け、残りのレギュラー・シーズン13試合、そしてプレーオフの戦いに、さらに期待がふくらみます。

Wake Up Body / 小学校低学年期、集中力はなくて当たり前
前回は、幼少期に体を動かすことが将来の運動能力に関係してくるという話をしましたが、今回は小学校低学年期の話です。この年代は神経系の発達期で、体内にさまざまな神経回路が次々と広がっていきます。この時期の子供は集中力が長続きしませんが、これは神経回路にさまざまな刺激を与え、その回路をさらに張り巡らせようとし、多種多様な刺激を体が求めているからです。集中力がないのは自然の流れ、ゆとりをもって接してあげてください。

 

第15回 物事に取り組む姿勢、努力をふたりの選手から学ぶ

 

サウンダーズFC公式サイトの8/11付けニュース欄に、ロジャー・レベック(#24)についてのコラムが「Utility Man」というタイトルで掲載されています。彼は、私が旧サウンダーズ時代に共に戦った元チームメイトで、当時はエースとして数々のゴールを決めてきた純粋なFWでした。旧サウンダーズから3人の選手がサウンダーズFCに加入しましたが、世界各国の優秀な選手をそろえるチームの中で、旧メンバーとして唯一出場機会を得ている彼は、自分のスタイルを柔軟に変化させ、点取り屋のエースから複数のポジションをこなせるユーティリティー・プレーヤーとなることで、チームに貢献し活躍しています。

彼は、以前からトレーニングでも一切手を抜くことはなかったのですが、30歳のベテランとなった現在、さらに運動量が増し、どこのポジションで出場しても彼の動きは途切れることはありません。常に相手にプレッシャーをかけ続け、味方がボールを奪うと何十回でもゴール前まで走り込み続けます。そして、私が知る彼からは想像もできなかったのですが、今ではチーム事情に合わせサイドバックもこなし、シュミット監督からも信頼を勝ち取り、最近の6試合で先発出場。献身的なプレーに加えゴールやアシストでチームの勝利に貢献しています。

イングランド・プレミアリーグ・チャンピオンのマンチェスター・ユナイテッドをホームに迎え、6万7,000人以上の大観衆を前に親善試合が7月20日に行われました。サウンダーズFCは主力を先発出場させ、前半は互角の戦いを繰り広げましたが、一瞬の隙をつかれユナイテッドに1点を奪われます。後半に入り、選手の疲労を考慮しほぼ全選手を交代させたサウンダーズFCに対して、エースFWのルーニーを投入したユナイテッドは、後半に6点を奪い7対0で圧勝。3得点したルーニーは、スーパースターであるゆえんを随所に見せてくれました。サウンダーズFCのリザーブ選手に合わせるような軽いプレーは微塵もなく、奪ったボールを丁寧に味方につなげ、40~50メートルの全力疾走を繰り返します。ゴール前では相手の激しいマークを巧みに外して完璧なシュートを決める姿は、彼の能力に加え、常に質を追求し、ひとつのプレーも無駄にしないという高い意識が世界最高峰の選手へと導くかぎであると、改めて強い感銘を受けました。

今回取り上げたふたりのサッカー選手から、実りある人生を創造するうえで必要なことが学び取れます。

Wake Up Body / 「鬼ごっこ」エクササイズ
今回は、幼児から大人まで楽しめ神経系の発達に役立つエクササイズをご紹介します。それはずばり、昔ながらの日本の遊び「鬼ごっこ」です。鬼から逃げるためには、鬼を見て、判断して、駆け引きをしながら、走るスピードや角度を常に変化させる必要性があります。このストップ、ターン、急加速はもちろん、必要に応じて地面に伏せて隠れるなど、さまざまな複合動作の連続により、全身の神経をバランスよく発達させることができるのです。

 

第16回 サウンダーズFCの熱い秋

 

アメリカ・サッカー協会に登録している成人アマチュア・チームからMLSなどのプロ・クラブまでが、ノックアウト方式で全米ナンバー1を決めるUSオープン・カップ。10月4日に行われる決勝戦は、3連覇がかかるサウンダーズFCと、過去4度の優勝経験があるシカゴ・ファイヤーが激突します。サウンダーズFCは、ホームで戦う決勝戦で全米一熱いサポーターの後押しを受け、グリーク・アメリカンAAが87、88、89年に達成した以来の3連覇という、22年振りの快挙達成に期待が高まっています。

また、サウンダーズFCは、昨年のUSオープン・カップ優勝チームとして、北中米カリブ海(CONCACAF)サッカー連盟主催のCONCACAFチャンピオンズ・リーグでも、中米のクラブとしのぎを削っています。9月14日にコスタリカで行われた対C.S. ヘレディアノ戦では、エースのフレディー・モンテロ(#17)が2得点し、高温多湿の厳しいアウェーの戦いに2対1で勝利。グループ・リーグD組で3戦全勝し、首位に立っています。優勝チームは、世界クラブ・ワールドカップの出場権を得られるだけに、こちらも大注目です。

そしてMLS。サウンダーズFCは、ウエスタン・カンファレンスの9チーム中、勝ち点51で、2位(9月17日現在)につけています。8月27日に行われたイースタン・カンファレンス首位のコロンバス・クルーをホームに迎えた注目の一戦では、フェデラル・ウェイ出身のMFラマー・ネイグル(#27)がハットトリックを達成し6対2で圧勝しました。スピード感溢れる突破と得点感覚に優れた地元出身選手の活躍で、サポーターやプロを目指す地元ユース選手達にとっても、ますます魅力的なチームになっています。

どこからでもゴールを狙える今年のチームは、リーグ屈指の得点力を誇り、MLSでナンバー1の46得点(9月17日現在)。プレーオフ進出まで秒読み段階となっています。レギュラー・シーズン残り5試合、そしてプレーオフでの戦い方に注目が集まりますが、対戦相手や選手の疲労状態に応じて選手を使い分けできる点が今年のチームの特徴なだけに、シギ・シュミット監督の選手起用とゲーム戦術が最大のかぎを握っています。

USオープン・カップ、CONCACAFチャンピオンズ・リーグ、MLSと、すべてに優勝の可能性があるサウンダーズFC、これから熱い秋が始まります。そして熱いと言えば、サウンダーズFCのサポーターを忘れるわけにはいきません。現時点のMLSの公式戦ホーム総観客が55万人を超え、残りのホーム2試合を含めると、なんと60万人を超えると予想されます。平均観客数は、現時点で世界ランク40位となっており、世界の強豪クラブと肩を並べるほどの数字を残しています。

Wake Up Body / 走ることでストレスを軽減
ニュージャージー州のプリンストン大学が、ネズミを使った実験で、走る(運動)ことで生まれる細胞がストレスからの影響を受けづらくなるという研究報告を発表しました。またコロラド州のコロラド大学によると、3週間運動したネズミには、ストレスに対する脳の働きに大きな変化は見られなかった一方、6週間運動したネズミには変化が認められたそうです。誰もが少なからずストレスを抱える現代社会、長期的に体を動かす習慣を身に着け、自分の身は自分で守りましょう!

 

第17回 USオープン・カップ、3連覇! そしてシーズン最終章へ

 

10月4日、USオープン・カップ決勝戦当日。平日7:00 p.m.キックオフにもかかわらず、サウンダーズFCのホーム、センチュリーリンク・スタジアムには、USオープン・カップ史上最多3万5,615人の観衆が集まりました。

3連覇がかかるサウンダーズFCに対して、5度目の優勝を目指すシカゴ・ファイヤー。予想通り意地とプライドがぶつかり合う激しい試合となりました。0-0のまま延長戦突入の可能性も高まりつつあった後半32分、エリック・フリーバーグ(#8)が蹴ったコーナーキックからDFジェフ・パークス(#31)がヘディングで合わせ、それを相手GKが弾いたところに、絶妙のポジション取りをしていたフレディー・モンテロ(#17)がスライディング・シュート! 待ちに待った先制点にスタジアムは熱狂の渦に包まれました。その後も攻め続けたサウンダーズFCは、インジュアリー・タイムに入った後半51分、オズバルド・アロンゾ(#6)が相手選手4人をドリブルでかわし、ゴールに流し込むスーパープレーで試合を締めくくり、3連覇に華を添えました。

ウエスタン・カンファレンス2位で、MLSプレーオフ進出を決めたサウンダーズFCは、今シーズン限りで引退を表明したキャプテンでGKのケーシー・ケラー(#18)の功績を称え、MLSのレギュラー・シーズン、ホーム最終戦の10月15日をワシントン州知事とシアトル市長が「ケーシー・ケラーの日」と宣言。6万4,140人の大観衆が見守る中、サンノゼ・アースクエッグ戦が行われました。

試合はケラーが好セーブを連発しピンチを凌ぐも報われず、前半25分サンノゼに先制を許し苦しい展開となりましたが、シギ・シュミット監督の采配が的中し途中出場のふたりが同点ゴールに絡みました。後半37分マウロ・ロザレス(#10)のアシストからサミー・オチョア(#19)がゴールを奪い1-1。試合終了間際には、エースのモンテロが劇的な逆転ゴールを決め、2-1で勝利を収めました。この日、相手の猛攻を体を張って跳ね返し続けたケラーは、MLS週間MVPに選出。「今日の試合はワールドカップ以来もっともナーバス。6万4,140人の観客が失望したまま帰る姿を見たくなかった」と、米国代表歴最多102試合出場の42歳の大ベテランが、ほっとした表情で語っていたのが印象的でした。
USオープン・カップの王者となったサウンダーズFCは、選手層の厚さに加え守護神ケラーの安定感を武器にMLSプレーオフとCONCACAFチャンピオンズ・リーグの準々決勝に駒を進め、3冠達成の期待も大いに高まっています。

Wake Up Body / 冬場のランニングの注意点
前回は、走ることでストレスを軽減できるという研究報告をお伝えしましたが、今回は走る際の注意点について触れたいと思います。

早朝にランニングをしている方もおられると思いますが、これからの時期、室内と屋外の温度差が大きくなります。血管の収縮により、特に高齢者の方は心筋梗塞や脳卒中を引き起こす恐れもありますので、体温を逃がさない保温インナー、手袋、帽子などを着用して体温調整を行い、ランニングやスポーツを楽しんでください。

 

第18回 サウンダーズFC、MLSカップは逃すも大健闘!

 

2011年を締めくくるMLSカップ。ウエスタン・カンファレンス準決勝第1試合、シアトル・サウンダーズFCは10月29日、対戦相手のレアル・ソルトレイクのホームに乗り込みました。前評判では、攻撃力に勝るサウンダーズFCが圧倒的に有利と見られていましたが、試合開始からソルトレイクの激しく素早いチェックに苦しみ、ほとんどチャンスを作ることができません。リズムをつかめないサウンダーズFCに対して、ソルトレイクは素早いカウンターからゴールを脅かし、FWアルパロ・サボリオの2得点などで第1試合を3-0でものにし、サウンダーズFCにとっては予想外の、3点のビハインドを追う結果となりました。

11月2日の第2試合、3点差をひっくり返す以外、ウエスタン・カンファレンス決勝に進む道は閉ざされたサウンダーズFCは、ホームの大声援を受けキックオフから猛攻を仕掛けました。一方のソルトレイクは、FWをひとり残して全員が守備に回り、3点のリードを守り切る作戦で対抗。前半は何度も好機を作ったサウンダーズFCですが、シュートミスと相手DFの身を挺した守りにより、ゴールを割ることができません。無得点のまま後半に入り11分、ペナルティー・エリア内でFWが倒されたことにより得たPKを、MFオズバルド・アロンゾ(#6)が決めます。その5分後には、MFラマー・ネイグル(#27)が追加点を奪い、2戦合計2-3と1点差に迫り、残り時間は30分。しかしあと1点を奪うことができずタイムアップ。この結果サウンダーズFCの2011年は終了、同時にGKでキャプテンのケーシー・ケラー(#18)のサッカー人生に幕が下ろされました。

11月20日、MLSカップの決勝。ウエスタン・カンファレンスの決勝でレアル・ソルトレイクに3-1で圧勝したLAギャラクシーと、イースタン・カンファレンスの勝者ヒューストン・ダイナモがカリフォルニアで激突しました。ボールポゼッションで有利に立ったヒューストン・ダイナモですが、MFデビッド・ベッカム、FWランドン・ドノバン、FWロビー・キーンというMLS屈指のスター選手を擁するLAギャラクシーが徐々に実力を発揮、後半27分にキーンのスルーパスをドノバンがアウトサイドキックで決め1-0で勝利、6シーズン振り3度目の王者となりました。

サウンダーズFCは、残念ながらMLSの頂点には立てませんでしたが、USオープン・カップ3連覇という偉業を達成した記念すべきシーズンとなりました。そして今オフは、引退したケラーの穴を誰が埋めるのか? 選手補強に注目が集まります。来シーズンで4年目を迎えるチームにさらなる進化を期待しています。

(2011年12月)

 

第19回 今シーズン注目の選手達&2012年躍進のかぎは?

 

今シーズンのシアトル・サウンダーズFCは、米国代表のFWとして43試合出場12ゴールを挙げているエディー・ジョンソン(#7)や、元オーストリア代表のGKマイケル・ガスパーリング(#1)を獲得し、悲願のMLSチャンピオン、前人未到のUSオープンカップ4連覇を目指します。

まずは注目選手を紹介。DF陣は、昨シーズンのチームNo1ディフェンダーに選ばれたジェフ・パーク(#31)と、シギ・シュミット監督から「1対1の強さはMLSで屈指」と絶大な評価を得ているジョン・ケネディ・ハタド(#34)のセンターバック・コンビが中心となります。

MFには、昨シーズンのMLSオールスターやチームMVPに選出されたチームの心臓、キューバ代表のオズワルド・アロンゾ(#6)が守備的MFとしてチームを支え、昨年のMLSニューカマー・オブ・ザ・イヤーに輝いたマウロ・ロザレス(#10)がゲームメイクを務めます。アルゼンチンのリバープレートやオランダのアヤックスでプレーした経験と高度な技術を生かしてのチャンスメイクは必見です。

FWの中心は、昨シーズン18得点、11アシストを記録し、USオープンカップの最優秀選手に輝いたフレディー・モンテロ(#17)。新加入のジョンソンとの連携次第では、得点王も十分に狙える頼れるストライカーです。
昨シーズンからの中心選手と補強により、GKからFWの中心ラインはMLSでも屈指の選手がそろいました。昨シーズン、チームで2番目の9ゴールを挙げたウルグアイ代表MFのアルバロ・フェルナンデス(#15)、膝の大けがからの完全復帰が近いスピードスターのスティーブ・ザクアニ(#11)などが繰り広げるテンポの良いサイド攻撃が機能すれば、相手にとって脅威になることは間違いありません。

MLSに先駆け、3月7日(水)に行われた公式戦初戦CONCACAF(北中米カリブ海連盟)チャンピオンズ・リーグの準々決勝第1戦は、ホームでメキシコのサントス・ラグナを2対1で下したものの、続く第2戦のアウェーでは、6対1で破れ敗退が決まりました。ホームで快勝した後にアウェーで大敗という不安定な戦いぶりから、昨年引退しキャプテンとしてチームをまとめたGKのケーシー・ケラーに代わる精神的支柱が必要不可欠だと感じます。流れが悪い時にチームをまとめられるかが、2012年サウンダーズFCの躍進のかぎになるでしょう。

今シーズンの戦いは始まったばかり、今年のチームがどのように進化するのか? みなさんもスタジアムに足を運んで、自分の目で確かめてください。

(2012年4月)

 

第20回 フレディー・モンテロをキャプテンに、順調な滑り出し

 

シアトル・サウンダーズFCは、3月17日にホームのセンチュリーリンク・フィールドで今シーズンのMLS初戦を迎え、トロントFCを3対1で下し、順調なスタートを切りました。

この日、全得点を挙げ、ハットトリックを達成したFWデビッド・エストラーダ(#16)は、UCLA卒のプロ3年目。過去2シーズンは数試合しかプレーしていませんが、シュミット監督の開幕戦スタメン起用に見事に応え、スピードに乗った飛び出しで相手ディフェンス・ラインを突破し、次々とゴールを奪いました。

翌週3月23日のヒューストン・ダイナモ戦もエストラーダの得点などで2対1と勝利。しかしホーム3連戦の最終戦、3月31日のサンノゼ・アースクエッグ戦では、前半24分にサウンダーズのペナルティー・エリア内で交錯して、相手選手が転倒。レフリーは、アースクエッグにまさかのペナルティーキックを与えます。結局それが決勝点となり、残念ながら開幕3連勝を逃してしまいました。

4月7日、今シーズン初のアウェーの試合は、DCユナイテッド相手にスコアレスドローで終わり、開幕から2勝1敗1分となりました。4月11日現在、ウエスタン・カンファレンスで5位という順位ですが、例年に比べ比較的順調なスタートと言えると思います。

3月下旬のトレーニング・セッションを見学してきましたが、今シーズンからキャプテン・マークを付けてプレーするフレディー・モンテロ(#17)を中心に、非常に集中したトレーニングが行われていました。そして、不本意な判定で失点したアースクエッグ戦も、失点後に精神的な動揺などなく、敗れはしたものの安定した戦い振りだったので、懸念されたリーダー不在の心配はないと感じました。

エストラーダの活躍、モンテロのリーダーシップなど新たに進化し始めたチームに期待感が高まります。

最後に、今シーズンのMLS注目選手を取り上げます。コロラド・ラピッツに所属し、不動のサイドバックとして活躍している木村光祐に加え、Jリーグのザスパ草津から加入した山田晃平のドリブル突破にも期待大です。そして、バンクーバー・ホワイトキャップスに新加入したディビッドソン・純・マーカスは、日米両国で育ち、大宮、神戸、札幌などでJリーグ公式戦に130試合以上出場した経験豊富な選手。玄人好みのプレーも必見です。NYレッド・ブルズのテエリ・アンリは、元フランズ代表でMLSのシーズンオフにイングランド・プレミアリーグの強豪アーセナルに期限付きで復帰し古巣を窮地から救い、MLS開幕から5試合で7ゴール・4アシストと絶好調、世界のアンリから目が離せません。

(2012年5月)

 

第21回 現在ウエスタン・カンファレンス3位、チームの調子も上々

 

シアトル・サウンダーズFCは開幕から10試合を終え、7勝2敗1分け(5月13日現在)の勝ち点22点でウエスタン・カンファレンス3位と好成績。失点4という数字はリーグNo.1を誇り、1試合平均失点が0.4という鉄壁の守備を誇っています。今シーズンからサウンダーズFCのゴールを守り、ケーシー・ケラーの引退から生じる守備の不安を見事にかき消したGKマイケル・ガスパーリング(#1)でしたが、右臀部のけがにより2、3週間戦列を離脱中。その間、22歳の新星GKブライアン・メレーディシ(#35)が失点率0.29、シュート・セーブ率91%の高い守備能力を発揮し、チームに更なる安定感をもたらしています。

一方の攻撃陣ですが、FWのフレディー・モンテロ(#17)は、現在のところ彼にとっては若干少ない3ゴール1アシストという成績。しかしエースとして相手チームから常に厳しくマークされながらも、どんな体勢からでもシュートを狙う姿勢は生まれ持っての点取り屋という表現がよく似合います。圧巻だったのは、5月2日に行われた対LAギャラクシー戦。ハーフウェイラインを少し超えた辺りでボールを持つと、ゆったりしたドリブルから誰もが予想していなかったシュートを放ちます。ボールは弾丸ライナーとしてゴール左角に突き刺さり、35ヤードのロング・シュートで今シーズン初ゴール! 同試合では、同じくFWのエディー・ジョンソン(#7)がヘディングで初ゴールを決め、MLS屈指の実力派FWコンビがついに目を覚ましました。

今後、リーグ中盤戦に差し掛かる次の10試合では、ホーム3試合、アウェー7試合が組まれています。ホーム・チームはどこも地元サポーターの声援を受け、積極的に攻撃を仕掛けてくるので、まずは硬い守りでしっかりと試合を落ち着かせたいところ。素早い切り替えとサイド2トップの得点力を生かすカウンター攻撃で、勝ち星を重ねていくことが重要です。全米の移動と暑さへの対策をしっかり行いながら、夏場にトップに立つサウンダーズの姿を期待しています。
前回の記事では、NYレッドブルズのティエリ・アンリを取り上げましたが、またまたビッグネームのMLS移籍が報じられています。元ドイツ代表でイングランドのチェルシーでもMFとして活躍したミハエル・バラックに続き、元イタリア代表で同国を代表するゴールゲッター、ディ・バイオや今シーズン限りでACミランを退団するDFアレッサンドロ・ネスタの姿がMLSで見られるかもしれません。

(2012年6月)

 

第22回 ダービー・マッチ、カスケーディア・カップで盛り上がる!

 

サッカーの世界では、同じ街をホーム・タウンにするチーム同士や近隣のチームとの試合をダービー・マッチと呼び、ライバル意識をむき出しにして試合に臨みます。

ノースウエストの3大都市、シアトル、ポートランド、バンクーバーをホーム・タウンに持つ3チームの試合は、別名カスケーディア・カップと言われていますが、今シーズン初となるカスケーディア・カップ、シアトル・サウンダーズFC 対バンクーバー・ホワイトキャップスの一戦が、5月19日にバンクーバーで行われました。

試合は当初、ホームのファンの大声援を背に受け積極的にゴールに迫るホワイトキャップスが優勢。サウンダーズFCの右サイドを何度も崩してチャンスを作り、前半12分にゴールを生みました。前半にリードを許したサウンダーズFCですが、後半に入り挽回。前回紹介したMLS屈指のFWコンビ、フレディー・モンテロ(#17)とエディー・ジョンソン(#7)のコンビネーションが冴えわたります。ボールはモンテロから、右MFのチャンス・メーカーでけがから復帰したばかりのマウロ・ロザレス(#10)に展開。ロザレスは、GKが出られないスペースにパーフェクトなクロスを送り、フリーになったジョンソンが巧みなポジショニングで打点の高いヘディングシュートを決め、同点! その後はふたりのFWがチャンスを作りますが、相手GKの攻守に阻まれました。

耐えるホワイトキャップスは、フリーキックからゴールを奪い2対1とし、そのまま試合終了かと思われた90分、ジョンソンからのパスを受けたモンテロがカーブをかけたシュートを放ち、2対2の劇的な引き分けに持ち込んだのです。勝利を目前で逃したホワイトキャップスの選手達はピッチに倒れ込み、悔しさをあらわにしていました。一層白熱する今後のカスケーディア・カップに大注目です。

2014年開催のブラジル・ワールドカップを前に、世界中で熱い戦いが繰り広げられていますが、我らが日本代表は現在アジア最終予選を戦っているところです。米国代表も北中米・カリブ海予選を戦い、南米、アフリカでもワールドカップの出場枠を目指し凌ぎを削っています。一方ヨーロッパでは、ユーロ2012がポーランドとウクライナの共催で開催され、グループ・リーグの初戦からスペイン対イタリア、フランス対イングランドなどの強豪国同士の好カードが組まれ、世界中の人々の注目を集めています。

わが街のチームと国の代表の試合を堪能できるのが、サッカー・ファンにはたまりませんね。

(2012年7月)

 

第23回 USオープン・カップ決勝進出決定。MLSは残り15試合!

 

アメリカサッカー史上初の4連覇を目指し、今年のUSオープン・カップも勝利を重ねて勝ち上がってきたサウンダーズFC。決勝進出をかけ、チーバスUSAをホームに迎えて7月11日に準決勝戦が行われました。

試合の前日にシュミット監督は「カップ戦は常に一発勝負なので、リーグ戦とは違い1回でも悪い試合をしてしまうと取り返しがつかない」と語りました。周囲の期待によるプレッシャーからか、若干不安とも取れるコメントでしたが、選手達はキックオフから積極的なプレーを仕掛けます。チーム全員でしっかりとボールをつないで終始試合をコントロールし、最高のパフォーマンスを見せました。

前半31分にオズワルド・アロンゾ(#6)からのスルーパスに冷静に反応したエディー・ジョンソン(#7)が先制点。そして後半2分には、フレディー・モンテロ(#17)が倒されたことにより獲得したPKを、相手GKをあざ笑うかのようなゆるいキックでアロンゾが決めました。さらに終了間際に2点を追加し、見事4対1で圧勝。8月8日に行われるスポルティング・カンザスシティとの決勝戦に駒を進めました。4連覇達成に期待が高まります!

一方、今シーズンのMLSは、イースタンとウエスタンの両カンファレンス共に混戦続き。サウンダーズFCは、8勝5敗6引き分けで勝ち点30、得点23、失点19(7月11日現在)という成績を残しています。シュミット監督も「MLSでは、うまくいっていない部分もある」と認めていますが、悪いながらも粘り強く戦い、ウエスタン・カンファレンスの3位をキープしている状況。残り試合15のうち、14試合が同カンファレンス・チームとの対戦ということもあり、今後の勝敗次第では、順位の入れ替わりが最終節まで続くことが予想されます。

リーグ戦はカップ戦と異なり、リーグ前半で思うような戦いができなくても、試合の分析と修正の繰り返しによりチームを立て直すことが可能です。サウンダーズFCも含め、強豪プロ・チームや各国の代表チームには、チームや選手のパフォーマンスの分析を専門に行うスペシャリストを配置しています。試合はもちろん、日ごろのトレーニングにおいても各選手が動いた距離を測定し、ジョギングやダッシュの割合、方向転換の回数、パスの成功率、ボールが動いたエリアなどさまざまな情報を、映像や人口衛星を使ったシステムを使い収集。それを選手個々の心拍数と合わせてコンピュータ分析をし、数値化したデータや映像を監督や選手に届け、今後の改善ポイントを提案しています。サッカー界もハイテクを駆使し、観客には見えないところでも凌ぎを削って勝利を目指しているようです。

(2012年8月)

 

第24回 USオープン・カップは惜しくも準優勝、MLSも予断を許さず!

 

8月8日、USオープン・カップ4連覇をかけ、決戦の地カンザス・シティーに乗り込んだシアトル・サウンダーズFC。スポルティング・カンザス・シティーのスタジアムは、満員の1万8千人を超える観客が詰め掛けました。

前半はカンザスがペースを握り、ミドル・シュートで得点を狙います。一方のサウンダーズは、コーナーキックやカウンターから反撃をするという展開で、0対0でハーフ・タイムを迎えました。

後半も一進一退の攻防が続く中、試合終盤に差し掛かった84分、サウンダーズはペナルティー・エリア内で痛恨的なハンドの反則を取られたことによりPKを決められリードを許します。しかしその2分後には、DFのザック・スコット(#20)が、相手GKが1歩も動けない素晴らしいヘディングシュートを決め同点に! 執念で延長戦に持ち込みました。

延長戦では、カンザスの猛攻をGKマイケル・ガスパーリング(#1)の攻守でしのぎ、両者譲らず1対1のまま終了。PK戦になりましたが、3対2でサウンダーズが破れ、史上初の4連覇達成を惜しくも阻まれました。

レフェリーの判定に疑問も残りましたが、内容的にはまさに激闘と言うにふさわしい、激しい好試合を繰り広げ、シュミット監督も「終わったことは変えられない、次のMLSの試合に切り替えて、前に進むだけ」とコメント。全力を尽くした決勝戦に悔いを残さず、MLS王者を目指し戦いを再開しました。

MLSでは、7試合負けなしと7月になり調子を取り戻してきたサウンダーズですが、USオープン・カップ決勝から3日後の8月11日に行われた、ウエスタン・カンファレンス首位のサンノゼ・アースクエッグ戦では、疲労が溜まったエースFWのフレディー・モンテロ(#17)やMFマウロ・ロザレス(#10)をスタメンから外して臨みました。

試合は、後半71分に先制された後、ロザレスとモンテロを投入し猛攻を仕掛けます。ロス・タイムに入った92分、ロングスローからモンテロが押し込み同点弾に。そのまま引き分けかと思われた93分、コーナーキックからヘディング
シュートを決められ、粘りも及ばず2対1で敗れました。

今シーズンからワイルドカードが廃止され、各カンファレンス上位5チームがプレーオフに進出しますが、サウンダーズは、バンクーバー・ホワイトキャップスと勝ち点で並び、得失点差で上回り3位(8月13日現在)をキープしています。5位には、復調してきた昨年度の王者、LAギャラクシーが1ポイント差で迫っており、サウンダーズは両者と直接対決を残すだけに最終節まで予断を許さない状況が続きそうです。

(2012年9月)

 

第25回 サウンダーズFCは悲願のMLSチャンピオンを獲得するか。
女子チームにも注目!

 

今年の夏は、ロンドンオリンピックで日本の男女、サムライとなでしこ両チームが世界の舞台で活躍しましたが、女子の金メダルを獲得したのは、世界ランク1位のアメリカでした。ここシアトルには、そのアメリカ代表の中心で活躍する選手達がプレーするサウンダーズ・ウィメンという女子セミ・プロ・チームがあるのをご存知でしょうか?

代表チームでも絶対的な存在感を示し、なでしことの決勝戦でも好セーブを連発したGKホープ・ソロ、豊富な運動量とテクニックを兼ね備えたチャンスメーカーのMFメーガン・ラピーノ、エースのワンバックとツートップを組むスピードスターのFWアレックス・モーガン、次世代のゴールゲッターと期待が掛かるFWシドニー・レルーの4人が所属しています。現在はオフシーズンですが、世界のひのき舞台で活躍する彼女達のプレーを来シーズンはスタジアムでお楽しみください。

シアトル・サウンダーズFCは、8月11日のサンノゼ戦の敗戦の後、4試合を消化し、3勝1引き分けと、9月12日現在、ウエスタン・カンファレンスの2位に浮上しました。躍進のポイントは攻撃陣の勢いと、スティーブ・ザクアニ(#11)の復活です。まず、ツートップを組むフレディー・モンテロ(#17)は、4試合でハットトリックを含む4ゴール、相棒のエディー・ジョンソン(#7)は、MLSオールスター・ゲームでヨーロッパ・チャンピオンのチェルシーFC相手にゴールを決めた勢いを保ち3ゴール。決めるべき人がきっちり仕事をしています。そして、ひざの大けがから500日振りにスターティング・メンバーに戻ってきたザクアニが、復帰戦で持ち前のスピードを生かし、相手DFを振り切りアシストを記録。チームにとってスピードという武器が復活し、テクニックのモンテロ、高さのジョンソンと3本柱がそろいました。攻撃のバリエーションが増えたことにより、相手チームに守備の的を絞らせない好循環が起こっています。

得点ランクは、ジョンソンが13得点で4位、モンテロが11得点で5位タイ。アシスト・ランクでは、13アシストを記録しているMFマウロ・ロザレス(#10)が1位と、数字の上でもサウンダーズFCの攻撃陣の好調さを示しています。残り7試合、そしてプレーオフでの戦いも含め、豊富なタレントを擁する攻撃陣の能力を生かし、攻めきって勝つ姿勢を貫いて欲しいと思います。

この号で今シーズンのコラムは最終回となりますが、11月には悲願のMLSチャンピオン・カップをシアトルに持ち帰ってくることを期待しています。

(2012年10月)

木下 桂 Kei Kinoshita
1990年に川崎製鉄サッカー部(ヴィッセル神戸の前身)に入団。1997年にUSL時代のシアトル・サウンダーズに移籍し、2004年までプレーした。2005年アメリカサッカー協会のナショナル・トップコーチング・ライセンスを取得後、故郷のSC 鳥取(現ガイナーレ鳥取)に移籍し1年間プレー、翌年同チームの監督を務める。現在はAJサッカースクール(日米)代表としてグローバルな選手育成に情熱を注ぐと共に、健康作りのためのエクササイズ・イベントなどを実施している。 www.ajsoccer.com