シアトルやポートランドで活躍する方々に人生の転機についてインタビュー
■ 不動産会社宏徳エンタープライズの菅沼愛子さんは、70歳を迎える今年を、世代交代の年にしたいと言う。リタイア?と思いきや、 新たな計画があるそう。今、迎えた転機を伺った。 (2014年1月)
1944年生まれ。70年、夫の転勤に伴い、渡米。92年に不動産会社「宏徳エンタープライズ」を設立。99年、ワシントン州不動産協会のトップエージェントの1%に選ばれる。09年波瀾万丈な半生を綴った『降っても晴れても』(幻冬舎ルネッサンス)を上梓した。宏徳エンタープライズ(http://kohtoku.com)
実は、ここ4、5年「ゆったりした時間が欲しい」って、すごく思っていたのですが、でも、最近それは違うんじゃないかと思うようになって。
リーマン・ショックのとき、ピタッと不動産マーケットの動きが止まって、収入が途絶えた時、企業として存続させるためには常に利益を生むことが求められるわけでしょ、考えることを止めたらすべてが終わってしまうって思ったんです。ですからこの状況下でどうするのか、どう進みたいのか、いろいろな事を考えているうちに、考えることそのものが大事なことだって思うようになりました。
70歳に突入する年を迎え、常に頭でなにかを考え思考錯誤しながらも新しいものに目を向けながら年を重ねる生き方って大切かなって思ったりしましたね。それって老化と戦う事にもなりますものね(笑)。
– 次世代へのバトンと 新しい自分の役割
幸い、弊社エージェント代表である息子の秀夫も有能なアシスタントに恵まれ、秀夫の家内も子どもに手がかからなくなって時間ができたから、公私共に私の手伝いを、してくれていますので最近は時間配分も変わってきたんです。ですから今までは不動産会社を背負ってきたけど、これとは違う形のビジネスを考えるのが今後の私の役割。不動産売買は現在も秀夫が殆ど手がけていますがこれを期に、世代交代のときかなと思っています。
バトンタッチをして、これから何をするか。宏徳では「買ったときからの長いお付き合い」と言う言葉通り問題があると飛んで行ったり、アドバイスしたり、問題が起きてから対処のお手伝いをしていたのですが問題が起きる前にするべきことをアドバイスさせて頂く。売買以外にビジネスの1部門として構築していけたらいいなと思っているんです。例えば、予算が4万ドルあるとき、どこを直せば効果的にリモデルできるか適切にアドバイスしたりです。
– 長年の経験だからこそ できるアドバイスを
不動産のオーナーになったら、いろんなことに関わらないといけないですよね。保険、水回り、屋根、ペンキ、庭、池、床下。メンテナンスってお金がかかりますけどそれにより不動産価値を下げないことは財産を減らさないことになります。長い目で見れば家のメンテナンスは貯金と同じだと思うのですよ。何もしてないと、売るときに、慌てて大金をかけないと売れるコンディションにならない。でも、こまめにお金をかけておくと、売るときに10万ドル高く売ることができるかもしれませんから。人と家って共通点がありますよね。人間も家も置き去りにされると、どんどん歳をとってしまいます。
多くの日本の方は、家を買うと買ったきりで、ただそこに住んでるだけのような気がします。一方、なんでこんなリモデルをしたのかな~?っていう無駄なリモデルも時折り見かけます。いい加減な業者もたくさんいますからね。
特に私どもから家を購入して下さった方々に無駄なお金を使ってほしくないです。いい加減な業者を使うリスク、多少高くてもいい業者を使う利点などを伝える、無料セミナーを開いたりしていくことも、14年の意義あるスタートになるかもしれませんね。アドバイザーは私。それが70歳の私の転機です。
▲ 正直であることがモットー。顧客にも包み隠さず何でも話すので、驚かれることもしばしば。
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