シアトルやポートランドで活躍する方々に人生の転機についてインタビュー
■ シアトルで、各国のリーダーや学生が社会貢献やリーダーシップを学ぶプログラムを提供するNPO「iLEAP」。日本人向けプログラムのマネージャー、エリクセン恵さんに転機を伺いました。(2016年2月)
東京育ち。日本の大学を卒業し、生涯学習教育の企画運営に携わった後、渡米。バーモント州SIT Graduate Institute卒。国際教育学修士。大学院卒業後はシアトル市内のカレッジで留学生を対象とした教育プログラム運営や、リーダーシップトレーニングを手がける。2012年、iLEAPにボランティアとして参画した後、現職に。www.iLEAPJapan.org
大学在学中の2001年、NYに留学し、渡米直後に起きた911テロは大きなインパクトでした。事件後、多人種に対する差別を見たり、自分が外国人留学生である弱さを感じて怖くて。自国を離れ他国にいる人の辛さや心許なさが分かり、将来はそんな人たちをサポートしたいと思うようになりました。
卒業後は生涯教育関係の仕事に就職。外国語や海外に関する講座の企画運営に携わるうち、自分も再び海外へ出たいと思うようになったのですが、どうすれば海外に行けるのかも分からないまま日々を過ごしていました。ある時、アメリカ人の先生に「なんで恵はまだ日本にいるの?」と聞かれて答えられず、自分は「海外に行きたい」と口にしているだけなことに気付かされて一念発起。この一言が転機となり、バーモントの大学院に進学し、国際教育を専攻しました。
卒業にはインターンシップが必修で、在学中に出会った現在の夫のすすめもあり、バーモントよりも大きく国際的な街で、彼の出身地でもあるシアトルへ来ました。
シアトルでは、カレッジの留学生オフィスと、米政府が運営する海外からのスタディーツアーを調整する団体でインターンをしました。いずれもアメリカに来る外国人を迎えるもので、卒業後もシアトルのカレッジの留学生オフィスに就職しました。
– 夫の一言で、 門を叩いたiLEAP
もっと小規模なところで仕事の幅を広げたい思いや、大学院で教育と併せて学んだ、どうしたら社会がより良くなるか?などの社会正義にも興味があり、しばらくしてカレッジを辞めたのですが、職探しが大変で…。悶々とする時期が1年近く続きました。
するとある日、夫に「君はいろいろできるのに、家にいても誰も君を知らないまま。誰も家のドアをノックしてくれないよ」と言われ、ハッとさせられました。これも転機です。ボランティアでも何でもいいから外へ出ようと決意し、連絡をしたのが、リーダーシップや社会起業に興味のある人へ向けトレーニングを行うiLEAPです。インターン時代に創設者の名刺を頂いていたのを思い出したんです。運良く、日本の団体を受け入れる時期で、毎日ボランティアをすると2週間後には一緒に働きませんか?と声をかけてただきました。創設者夫妻は、人に「教える」ではなく、人の可能性を「引き出す」と言っていて、私と同じ言葉を使う人と出会えたことがうれしくて幸せでした。
今、私は、日本人へ向けたプログラム全体の企画、個別のアドバイス、参加者のインターンの受け入れ先探しや日本の組織とのパートナー構築など、日本に関連する事の全てに関わっています。
– 卒業生がもたらす iLEAPの今後と活力
おかげさまで卒業生が増え、彼らが活躍することで、iLEAPの認知度が日本で上がってきています。プログラムを育てるのはもちろん、iLEAPの卒業生から、日本帰国後の経験を経て再びiLEAPで学びたい声が挙がってきており、卒業生向けプログラムもできたらいいですね。卒業生から「iLEAPがきっかけで、今こんなことをしています」とメールが来たり、空港で卒業生が良い顔をして帰国して行くのを見るのが、私のガソリンになっています。
▲ SIT Graduate Instituteの在学中の様子。留学中の苦労が、今、留学生からの相談に乗る際に、生きています
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