シアトルやポートランドで活躍する方々に人生の転機についてインタビュー
■ シアトルで始めたコーヒーブログが大人気となり、関連書籍が世界各国で刊行されている岩田リョウコさん。2月に日本語版書籍が出版されたばかりの岩田さんに転機を伺いました。(2017年3月)
コロラド大学大学院で日本語教育学を学び、2009年から外務省専門調査員としてシアトル領事館に勤務。12年コーヒーブログ「I Love Coffee」を立ち上げる。15年にアメリカで関連書籍を出版。17年2月に日本語版が刊行された。シアトルでオススメのロースタリーはLighthouse Roasters、オススメのカフェはMilstead。I Love Coffee
日本での学生時代、すごく英語で苦労しました。なので、英語が分からない人の気持ちがよく分かります。でも、外語大に進学すると英語の楽しさも分かるようになり、だからこそ、将来は英語の先生になって自分の経験を生かそうと思ったんです。
大学卒業後、英語教授法を学ぶために渡米したのですが、アメリカでの日本語学習者の多さに驚くと同時に、日本語教育にも興味が沸き、コロラド大学大学院で日本語教育を学ぶことにしました。そして学びながら、大学で日本語を教えるようになったんです。帰国後は外務省の日本語教育の専門職に就職。2009年、シアトル領事館に配属され、日米協会の日本語プログラムやJETプログラムなどに携わりました。
– コーヒー×ITの街で 生まれたブログ
実は子どもの頃、お茶と間違えてコーヒーをご飯にかけて食べたことがトラウマで、それ以来、コーヒーを飲んだことがなかったんです。でもせっかくコーヒーの街シアトルにいるのだから飲んでみようと思い立ちました。これが転機になってしまいましたね。ホワイトチョコレート味みたいなものから飲み始め、ラテを経て、今はブラックのドリップ派に。すっかりコーヒー好きになりました。
11年に領事館の任期を終えると、ベルビューカレッジでプログラミングなどを学び始めました。日本語教育の現場では、いまだに古い紙の教科書で教えています。シアトルでITに感化されたこともあり、若い先生や学生が使いやすいテクノロジーを使った便利な学習ツールがあるといいなと思ったんです。そして練習と趣味を兼ね、ブログ「I Love Coffee」を作りました。
当時まだ新しかったサードウェーブなどのアメリカのコーヒー文化を日本語で伝えるサイトにするつもりだったんです。ところが日本語版と英語版を作ると英語版が大ヒットしてしまいました。アメリカ人のコーヒー消費量とか、ラテとカプチーノの違いとか、コーヒーを飲みながら浮かんだ疑問を調べ、試行錯誤しながら書いて載せると大きな反響があって。夢中になり、学校を辞めてブログの運営を仕事にしたのが12年です。最高で1日18万人が訪れ、月間平均150万ページビューのサイトに成長しました。
それまで言語を教える、つまり難しいことを簡単にして伝えることをずっとやってきました。必要な情報を簡潔に伝え、理解してもらうことが教育だと思っています。ブログでは、厚い科学の本や複雑な情報を簡単にして大事なところだけを伝えていて、過去のキャリアは思いきり捨ててしまったれけど、そこでの経験は意外と役に立っていると思います。情報を噛み砕いて簡潔に伝えることの形が変わっただけですから。
– 書籍化、執筆 ブログから広がる仕事
15年には英語版のブログを書籍化し、Amazon.comで1位を獲得。韓国語、中国語、ロシア語版も出ました。最近ではコーヒーに関する仕事で日本からも声がかかるようになり、自分のブログ以外でも日本語でコラムを書く機会ができたりしたほか、2月には日本語版の書籍『シアトル発ちょっとブラックなコーヒーの教科書』も出ました。今後は日本へ向けた仕事も本格的に始動していきたいと思っているところです。
▲ 2月にはCNNの番組撮影でブラジルへ。コーヒーのドキュメンタリー番組にゲストとして呼ばれました。
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