シアトルやポートランドで活躍する方々に人生の転機についてインタビュー
■ 講演会に映画上映会、就活イベント。シアトル界隈で次々とイベントを仕掛ける、シアトルITジャパニーズ・プロフェッショナルズ(SIJP)代表の今崎憲児さんに、転機をうかがいました。(2014年5月)
兵庫県神戸市生まれ。1991年熊本電波高専情報工学科卒。96年九州大学工学部情報工学科修士修了。2004年カナダのカールトン大学博士取得。同年、Amazon.comに入社のためシアトルへ。10年Google入社。同年、シアトルITジャパニーズ・プロフェッショナルズ(SIJP)を立ち上げる。今後のイベントの予定はSIJPのウェブサイトへ。
兄の影響でITに興味を持ったのは中学生の頃で、それ以来プログラミングは好きですね。日本の大学の博士課程の途中で、大学が提携していたカナダのマギル大学へ交換留学をしました。僕は社交性を持つことや人と一緒に何かすることを重視していますが、所属していた日本の研究室の雰囲気とはそれが合わなかったんです。でも、カナダとは水が合い、1年で帰るはずが、残ることにしました。
その後、同じような研究をしていたオタワのカールトン大学博士課程へ入学。日本人会の会長をしたこともあり、友達はけっこういました。ただ、IT方面の日本人の友達がいなかったんです。1人いましたが、突然死してしまいました。そのとき、ITを分かり合える友達ってあまり得られないな、そういう友達が欲しいな、と感じましたね。それは、SIJPにつながっているかもしれません。
研究が上手くいかず、7年かかって卒業しました。人に教えることが好きで、博士を取って教授になりたかったのですが、7年も同じ所にいたらすっかり嫌になってしまい、社会へ出ることにしました。幸いAmazon.comの面接に受かり、シアトルへ引っ越したのが2004年です。
– お手本になった シリコンバレーの日本人
Amazon.comでKindleなどに携わり、10年、Googleに転職。入社直後のシリコンバレーでの研修は転機になりました。そこで、ジャパニーズ・テクノロジー・プロフェッショナルズ・アソシエーション(JTPA)という団体を教えてもらったんです。JTPAはシリコンバレーでテクノロジーに興味のある日本人が勤め先に関係なく集まる団体です。スキル上達の勉強会もあれば、蕎麦打ちなどのイベントも行います。さらにカンファレンスや、日本の若手のためのシリコンバレーツアーなど社会貢献もしていて、素晴らしいと思いました。
シアトルで同じようなものを作りたいと考えたとき、JTPAにいた方が転勤でシアトルに来たので、2人でSIJPを始めました。最初の頃は全然活動しておらず、これからどうしようと思っていたときに、会場を提供してくださる企業や学校が現れ、それを機に、13年から講演会などを定期的に開き始めました。
さまざまな方が講演をしてくださったおかげで、参加者も増え、SIJPの実行委員会も20人になり、会も軌道に乗ってきたように思います。準備は大変ですが、イベントをすればそれが新しい出会いを作ったり、誰かに影響を与えたり、波状的に広がっていくのは楽しいです。
– SIJPの将来と 広げ続けたい輪
まずはSIJPとしてシアトルできちんと基盤を作り、次のステップとして、日本に対して何か社会貢献をしたいです。カンファレンスを開いて日本から学生を呼ぶことや教育にも興味があります。できることはそんなにないかもしれないけど、日本に対して少しでもポジティブなことができればいいですね。
5月は映画『HAFU』上映会と株式会社アキュセラCEO窪田良さんの講演会。6月は大きな会場でワールドカップの日本代表戦観戦イベントをします。将来はITや団体に関係なく、いろんな人たちと何か一緒にイベントをしたいですね。そこからさらに輪が広がると思います。
▲ カールトン大学卒業式で恩師と。卒業、結婚、引っ越し、就職、2004年は公私共に激動の1年だった
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