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【私の転機】Soy Beam Jozo 共同オーナー ミガキ由利さん

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シアトルやポートランドで活躍する方々に人生の転機についてインタビュー

今年、創業から25周年を迎えるポートランドのJorinji Miso(成林寺味噌)。5年ほど前から、ここで味噌作りに携わっている由利さんに、これまでの転機を伺いました。(2020年5月)

Soy Beam Jozo 共同オーナー ミガキ由利さん
ミガキ由利(みがき・ゆり)

富山県出身。短大を卒業後、システムエンジニアとして働いた後、オーガニック系レストラン六本木農園のマネージャーに転職。2015年、ポートランドへ留学。Soy Beam JozoのオーナーでJorinji Misoを作るミガキ・アーネスト氏と出会い、2016年に結婚。現在は共に味噌の製造販売を行う。Web: www.jorinjisoybeam.comhttps://www.facebook.com/jorinjimiso

短大を卒業後、システムエンジニアとして財務会計のシステム設計に携わっていました。職人やモノ作りに憧れていたことが、技術職を選んだきっかけです。充実した日々でしたが、20年勤めたことを区切りに、オーガニック系レストラン「六本木農園」のマネージャーに転職しました。

子どもの頃、富山の祖父母の家では米や野菜、味噌を自分たちで作ることは当たり前でした。東京でも、そんな生活をしたかったことや、暮らしに根差した仕事をしたかったことが転職の決め手です。

このレストランは日本各地の農家や調味料などの生産者と東京の人をつなぐべく、農家から素材を直接仕入れ、生産者によるトークライブや食育イベント、梅干しや味噌作りのワークショップなどを行っていました。今、ポートランドでよく聞くFarm to Tableを10年くらい前に実践していたのです。

土地柄、外国人客が多く、英語のイベントの企画もしましたが、私は英語が苦手で、当日の進行は別のスタッフに任せていました。次第に、この素晴らしい日本の食文化を自分で英語で伝えたいと思うようになり、次なるステップとして、語学留学を決意。行き先をポートランドにしたのは、シアトル出身の同僚のすすめによるものです。

– 驚くほどおいしかったアメリカ生まれの味噌
ある時、ホストマザーを介して手作りスイーツを販売するMio’s Delectablesの未央さんと知り合い、食に興味があったことや、もっと英語を話す場に身を置きたかったことから、彼女のファーマーズマーケットでの販売を手伝うことになりました。

未央さんの商品の一つに「味噌ごまクッキー」があります。ある日、日系アメリカ人の男性のお客さんが来ました。未央さんが、「クッキーで使う味噌はこの人が作っている」と言うのです。アメリカで作られている味噌に興味を持ち、彼の味噌作りを手伝いに行ってみることにしました。彼は1995年からJorinji Misoを作り始め、数年前に奥さんを亡くしてからは1人で作っているというのです。未央さんが「絶対に止めないで」と言ってくれるから、これまでなんとか続けられてきたということでした。

この味噌を食べてみると、なんと衝撃的なおいしさ!これが転機となり、Jorinji Misoを手伝うことにしました。おいしくなければ、これほど一生懸命にならなかったかもしれません(笑)。レストランでの経験はもちろん、エンジニア時代に培った財務会計や会社経営の知識、私の持っていたスキルを総動員して必死でサポートしました。

– 地域で唯一の味噌屋が伝える味と食文化
今はその彼と結婚し、共に味噌を作っています。Jorinji Misoのレシピは昔ながらのシンプルな作り方。この土地の気候に合わせて作っています。お客さんの中には、味噌をそのまま白いご飯に乗せて食べる人や、お湯だけで溶かして飲む人もいるそうです。本当においしくないと、そんな食べ方はできないので、おいしい味噌を作らなければと背筋が伸びる思いです。

また、Jorinjiの麹で味噌を作る人もたくさんいます。自分の作った味噌を食べる文化がここで広がれば楽しいですよね。私たちの手で本物の味噌と文化を伝え続けたいと思っています。

Soy Beam Jozo 共同オーナー ミガキ由利さん
▲ Jorinji Misoは宇和島屋やNew Seasons Marketなど、ポートランドやシアトルを中心に約40店舗で購入できます。
 
*情報は2020年5月現在のものです

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