シアトルやポートランドで活躍する方々に人生の転機についてインタビュー
■ オレゴンのベンドから、オンラインでダンスやエクササイズを教えるアヤコ・シャインさん。運動生理学やリハビリテーションサイエンスに基づいた指導を行うアヤコさんに、転機を伺いました。(2022年5月)
東京都出身。LAでダンスを学び、1985年にジャムカンパニーを発足。バージニアコモンウェルス州立大学ダンス学科・運動生理学科・医学部進学科卒業。ペンシルべニア州立大学カリフォルニア校大学院運動科学健康増進学部リハビリテーションサイエンス科を修了後、体のケアのクラスを開始。好きな食べ物は栗。https://www.jamdancefitacademy.com
幼い頃からダンスに興味があったのですが、新宿で飲食店を営む両親は多忙で、習わせてもらえませんでした。この飢餓感が、今もダンスを続ける原動力かもしれません。高校に入ると、体操部で一緒だった友人から「LAのダンススクールに行こう」と誘われ、卒業後に渡米。ジャズダンスなどを習いました。今思えば無謀ですが、インターネットの無い80年代に、ダンスをどこでどう学べるのか分からず、「ダンスならアメリカ」と言う友人を頼るしかなかったんです。
約2年後に帰国すると、まずは今後のために運転免許を取ることに。東京より早く免許が取れるので父の実家がある沖縄の親戚の家から教習に通いました。すると、近所にオープンしたばかりのダンス教室があり、生徒として入ったつもりが、すぐに講師を頼まれ、1年後には支店を任されるまでに。しばらく勤めた後、1985年に自分の教室を開きました。
沖縄では、教室の傍ら、アクターズスタジオで教えたり、イベントで1500人の幼稚園児と700人の高校生にダンスの監督をしたり、テレビやショーなどさまざまな場所でさまざまな人に指導。2002年にエアフォースの軍人と結婚し、転勤の多い夫に帯同するため、教室を閉めることになりましたが、自分の殻にこもっていたら成長しないという思いや、外を見たい好奇心が強く、長年かけて築き上げたものを失う恐怖心はあまりなかったですね。ドイツやアメリカ各地で視野を広げ、ダンスを学んだり教えたりしながら、日本に一時帰国するたびにワークショップを開いてきました。
– 元教え子の不調で変わった視点
転機の一つは15〜17年のドイツ滞在時のこと。日本に帰ってワークショップを開くと、久々に集まった元教え子たちがすっかり大人になり、「最近、腰が痛い」「膝が痛い」と言うのです。それを機に、もっと健康やリハビリについて知りたいと、アメリカの大学院のリハビリテーションサイエンス科を修了しました。
そして、持病やさまざまな症状を持つ生徒のために、大学院で得た知識と10以上の資格を基に、首肩腰膝のコリや痛みを予防改善するエクササイズクラスも始めました。簡単な運動で筋肉バランスを整え、気持ち良く体をほぐして、調子を良くします。
もう一つの転機はコロナ禍でオンラインクラスを開講したこと。昨年、オレゴン州のベンドに引っ越し、ここからクラスを配信しています。
– 体に良いだけでなく、心が、ホッとする場に
最近、うれしかったことは、私がダンスコーチをしている生徒がNFLブロンコスの22−23シーズンのチアのチームに受かったことです。でも、通常のクラスが終わった後、受講生の笑顔を見るのも幸せな瞬間です。これからも引き続き、ダンスの楽しさを伝えていきたいです。そして、正しい運動の行い方を指導し姿勢改善やストレス解消のお役に立ちたいです。
また、私のクラスがアメリカに住む日本人に役立ってほしいと思っています。私自身、今までアメリカ各地に住みましたが、日本人とお友達になる機会があまりありませんでした。そんな人にとって、私のクラスが、体がスッキリして、日本語で話せ、ホッとする場にできたらいいですね。
▲沖縄のワークショップでの一コマ。「ダンスで上を目指す日本の若者をサポートしたい」と話すアヤコさん(右端)。