シアトルやポートランドで活躍する方々に人生の転機についてインタビュー
■ 昨年ベルビューで始まったジャパンフェア。今年は7月8、9日にメイデンバウワー・センターで開催されます。同フェアで実行委員長を務める清水楡華さんに、転機を伺いました。(2017年6月)
東京都出身。日本で英語教育に携わった後、90年代に夫の仕事のため家族で渡米。2000年、ベルビューチルドレンズアカデミーを開校。ワシントン州日米協会ボードメンバー、シアトルシンフォニー・セレブレート・アジア・コミッティーメンバーなど、地域の活動にも尽力している。2016年よりジャパンフェア実行委員長を務める。(www.japanfairus.org)
90年代後半に主人の仕事で渡米し、小さな学習塾を始めました。それが発展して2000年に開校したのがベルビューチルドレンズアカデミーです。02年に主人がガンで亡くなり、帰国も考えましたが、まずは前に一歩進まなくてはという思いでこれまで続けてきました。
現在、約700人の生徒が在籍し、生徒のルーツは約35の国と地域に及びます。生徒や保護者と関わるうち、シアトルには同じ出身国やルーツ同士が集まるしっかりしたコミュニティーがあり、子どもや家庭を支え合っていると分かってきました。翻って日本のコミュニティーを見ると、たくさんの団体があるのですが、それぞれがバラバラに活動することが多く、みんなが一緒になれる機会があるといいなと感じていたのです。
– 秋祭りの終焉と 新しい祭りの始まり
そんな折、非営利団体ENMAの秋祭りが18年目で終了すると知りました。日系社会の大イベントを、なんとか継続しなくてはと、地元のリーダーたちと何度も話し合いましたが、限られた時間では話がまとまらず、もうお祭りは消滅すると思ったことも。そこで、皆さまの強い後押しを受け、二世ベテラン・コミッティーの中本アレンさんと私で実行委員長を引き受け、ジャパンフェアとして新たなお祭りを始めることを決意しました。転機ですね。
申込書1枚作るところから始めねばならず、大変でした。あの素晴らしかった秋祭りを大きく変えてはいけないけれど、スタッフや会場が変わったことで物理的に変えざるを得ない面もあり、そのバランスをとるのは難しかったです。準備期間が短かく、ボランティアの動員でも苦労しましたし、会場の規約で食べ物の扱いに制限があったことにも悩みました。幸い、ENMAが運営面で私たちをサポートしてくださり、ありがたかったですね。
そして迎えた当日。驚くことに2日間で1万5千人もの人が訪れたのです。新会場となったベルビューのメイデンバウワーセンターは、高齢者や小さな子連れの方がコンパクトでまわりやすいと喜んでくださり、出店者からは、たくさん商品が売れたとお礼の言葉をいただきました。
ジャパンフェアが終わるとベルビュー市から「これほど大きなコミュニティーのお祭りはぜひ続けてほしい」と言っていただき、次につなげることができたのです。
– 子どもたちの未来に つながるお祭りに
用意したお弁当の質が良くないなど課題も出ましたが、今年はメイデンバウワー側が厨房に日本人シェフの監修を入れたり、日本のサンドイッチやお惣菜をデパ地下のように販売できるように手配してくれるなど、新たに道を開いてくれました。さらに会場も広くなり、セミナールームでの講演、胡弓の演奏や、ファンドレイジング・ディナーも予定しています。
日系人と新一世・二世が一緒になれるイベントにしたいですね。子どもたちの行く末を見守るのなら、こうした地域の活動も必要です。ここに住む子どもたちが巣立ち、またいつか戻ってきた時、強力な日系コミュニティーがあれば、いろいろなサポートをしてあげられると思うのです。時には難しいこともありますが、その都度、まずは前に一歩、と思って進めています。
▲ 昨年、ENMAのブルックさん(写真右、左は奥様)は旭日双光章を受賞。清水さんにもうれしい一件でした。
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