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【私の転機】コンセプトアーティスト 宮川英久さん

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シアトルやポートランドで活躍する方々に人生の転機についてインタビュー

ディズニーランドのアトラクションやディズニー映画などでコンセプトアートを手がけた宮川さん。ゲームの仕事のため、シアトルに拠点を移す準備を進める宮川さんに転機を伺いました。(2019年6月)

コンセプトアーティスト 宮川英久さん
宮川英久(みやがわ・ひでひさ)

熊本県出身。ラ・サール高等学校、ゲーム系専門学校を経てゲーム会社に就職。2009年、Art Center College of Designに入学。これまでDisney California AdventureのGuardians of the Galaxyの作画やDisneyの映画などを手掛ける。19年、オーストラリアの書籍『Pictoria vol.3』で世界の第一線で活躍する作家として掲載。Web: supratio.com

中学高校は進学校だったものの、将来何をしたいのかハッキリせず、高校卒業後はくすぶってゲームばかりしていました。ところが、ある時から、大好きなゲームの最新版が出たことを機にゲームセンターに通うようになり、そこで新しい仲間ができたのです。また、当時はオンラインゲームが出始めた頃。ゲームのおかげで、さまざまなタイプの人と知り合え、大いに刺激を受けました。これはエンターテインメント業界で働く自分の原点です。

そして、ゲームを通じた人との出会いが将来を考える転機となり、ゲームの世界で絵を描こうと、ゲームの専門学校に進学することに。昔から自治体などの写生大会で毎年のように入選し、絵を描くことが好きだったのですが、これを将来の仕事にする決心がなかなかつかず、この選択には勇気がいりました。でも、両親は「自分のやりたいことをしなさい」と背中を押してくれたのです。

– 一冊の本と一本の映画が決断させたLA行き

ゲームの3Dデザイナーは「これを作って」と絵を渡され、その絵を元にゲームを作ります。専門学校を卒業し、3Dデザイナーとして仕事をするうちに、3Dソフトで何かを作るより、制作の元になる絵を描く側、つまりコンセプトアーティストになりたいと思うようになりました。

就職から数年経ったある日、LAにあるArt Center College of Designの Entertainment Designという学科を紹介する本を見て衝撃を受けました。当時の日本のゲーム業界は、深く考えず流行を後追いする雰囲気があり、ずっと違和感がありましたが、その本にはアイデアをどのようにビジュアル化するのが正しく、成果を伴うか、考え抜かれた理屈と方法が書かれていたのです。また、ほぼ同時期に映画館で『Transformers』を観て、自分もアメリカでコンセプトアートを学び、力を試したいとアメリカ行きを決断。会社を辞め、この大学に進学することにしました。

大学で、ジェイミー・ジョーンズ(『Star Wars』などのコンセプトアーティスト)に1年半近く指導していただいたことは大きな糧です。教えていただいたことは最新技術よりも、アーティストとしての視野の広げ方やものの考え方。彼のおかげで、自分は一生絵を描いていくと覚悟が決まりました。

在学中からプロとしてさまざまな仕事をし、マーベルのアトラクションの制作に携わる機会もありました。このときの監督が、私の卒業制作を見たことで、ディズニーランドの新アトラクションの要となる映像制作用のコンセプトアートを全て任せてくれたこともありました。

– やっぱりゲームが好き。シアトルでの挑戦
これまで、テーマパーク、映画、アニメなど、幅広く仕事をしてきたことで、やっぱり自分はゲームが好きという気持ちが確信できました。今夏から、ゲームの仕事のため、シアトルに拠点を移す予定です。シアトルは世界トップクラスのゲーム制作者が集まる土地。今までのキャリアを生かせるチャンスがやってきました。憧れだった制作者たちから学びつつ、この地で頑張っていきたいです。そして少し先の目標としては、いつかゲームの企画や監督もしてみたいと思っています。

コンセプトアーティスト 宮川英久さん
▲ 宮川さんの作品。絵コンテや脚本を元に、詳細な絵を描き起こすのがコンセプトアーティスト。これが制作スタッフにとっての設計図になります。

 

 
*情報は2019年6月現在のものです

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