シアトルの生活情報&おすすめ観光情報

【私の転機】North American Nippon Educational Services 代表 神崎 めぐみさん

最新インタビュー & バックナンバーリスト »

シアトルやポートランドで活躍する方々に人生の転機についてインタビュー

30年以上、日本からの短期留学プログラムを主催しているNorth American Nippon Educational Services。パンデミックが終息し、本格的に活動を再開しました。夏のホームステイを前に、代表の神崎さんにこれまでの活動について伺いました。(2024年6月)

North American Nippon Educational Services 代表 神崎 めぐみさん
神崎 めぐみ(かんざき・めぐみ)

鹿児島県出身。日本で英会話講師として働いた後、1989年、シアトルに留学。North American Nippon Educational Servicesの立ち上げに携わり、1994年より同代表を務める。好きな食べ物はシーバスとレーニアチェリー。
naneskanzaki@gmail.com
フェイスブック

– シアトルに移住したきっかけは?
日本では英会話教室で先生をしていたのですが、新しいことを始めたく、シアトル留学を決意しました。1年で帰るつもりだったんです。ところがホームステイ先のボブ・クララ夫妻との出会いが転機になってしまいました。当時、シアトルには多くの日本人留学生がいて、トラブルも多かったんです。エージェントに助けてもらえない人や、トラブルの解決方法が分からない留学生に夫妻と私がボランティアでサポートを行ううち「これを仕事にしよう」となり、ビジネスとして立ち上げることにしました。投資コンサルタント会社の経営者だったボブが中心となり、会社の運営を行いました。

– ホームステイ先の人と仕事を始めるとは珍しいですね。
ご夫婦の人柄が良かったからでしょうね。この2人はアメリカでの父と母のような存在で、私の人間形成にも大きく影響を与えました。留学後しばらくは日米を往来しながら手伝っていたのですが、立ち上げから3年後の1994年、夫妻がリタイアし、私がシアトルで独立することに。その後も2人は私の仕事をサポートし、本業はスピーチパソロジストで日系3世のクララが日本からの留学生に英語の発音の指導をすることもありました。私のプライベート面で大変な時期もボブとクララは支えになってくれて、感謝してもしきれません。

– 仕事はどのように軌道に乗せていったのですか?
1番最初は、私の地元である鹿児島県曽於市に海外研修の案内に行くと、「隣の志布志市の方が可能性があるのでは?」と言われ、志布志市に提案すると運良くトントン拍子に話が進みました。志布志市のプログラムは1994年から現在も続いていて、今では曽於市を含む鹿児島県大隅半島全域から学生が来ます。現在は他にも札幌、四国など全国からの学生を受け入れています。

– 神崎さんのお仕事内容は?
短期・長期留学プログラムに関すること全部です。例えば日本での事前研修の準備、ホストファミリーの手配、夏の留学生には、キャピトルヒルの学校で行われるサマーキャンプに行くのでその手配も。AmazonやStarbucksの本社見学、スノコルミー滝、カヤック、博物館などのフィールドトリップ、地域のボランティア活動など滞在中に行く見学やイベントの準備全てを行います。

– これまでで印象深い出来事は? 
2004年、志布志市の留学プログラムが10周年を迎えたことを記念し、志布志市から和太鼓の一団が来て、マリナーズの球場でオープニングセレモニーとして演奏しました。この演奏は、今でも志布志市で語り継がれているそうです。

– 仕事で難しいと感じるのは、どんな時ですか。
一つは新規のホストファミリー探しです。ホストファミリーのケアは大切な仕事の一つ。毎年続けてくださるご家庭も多くあります。また、学生のコミュニケーションがうまくいかない時はもどかしいです。学生には言葉のハンデがあり、黙ってしまい、おしゃべりなホストファミリーが戸惑ってしまうことも。もちろん、そういう子の良さを引き出してくれるファミリーもたくさんいます。

– パンデミック中は3年間休止していたんですよね?
プログラムを続けたかったのですが、コロナ禍では、やはりできませんでした。シアトルに来る予定だった生徒たちはかわいそうでしたね。でも、その間も「来年こそはできるかも?」と日本で予算を確保したり、準備をしてくれる方々がいたのはありがたかったです。昨年からまた再開できました。

昔はシアトルから帰る生徒は皆、空港で泣いてたんです。「帰りたくない」って。それが年々、ドライになってきて、泣く生徒が少なくなっていたんですね。ところが留学が再開した昨年、ほぼ全員がものすごく泣いていたんですよ。見送るホストファミリーも泣いている方がたくさんいて、涙を拭くためにティッシュの箱を抱えて空港に来る人もいたくらいでした。コロナ禍が明け、初めての海外の環境の中でリアルで知らない人たちと接して、みなさん感動もひとしおだったのだろうと思います。帰る時、「神崎さんのおかげで良い経験ができました」「人生変わりました」とか言ってくださると、本当にありがたく、いい仕事だなと思います。。

– 今後の目標は?
今は、今年8月のプログラムのため、ホストファミリーの募集をしています。また、円安が続き、全額自己負担のアメリカへの留学はますます難しくなってしまいました。少しでも補助金があれば学生が来やすいと思うので、日本の奨学金制度に申請したり、教育委員会に働きかけたりしながら、これからも学生たちが来やすい留学プログラム作りに努力したいと思っています。

North American Nippon Educational Services 代表 神崎 めぐみさん
▲ある年に行われたStarbucksの本社見学。偶然にもハワード・シュルツCEO(当時)の部屋に入れてもらうことができ、皆で記念撮影(右が神崎さん)。
 
*情報は2024年6月現在のものです

アメリカ生活に関する他のコラム » 
シアトル関連の最新記事などについて »