シアトルやポートランドで活躍する方々に人生の転機についてインタビュー
■ ポートランドのファーマーズマーケットに、季節の食材を使った華やかで繊細な味のスイーツ店 Mio’s Delectables を出店する浅香未央さんに、これまでの転機を伺いました。(2018年12月)
音大卒業。BGM制作会社を経てグラフィックデザイン会社に勤務。その後、食への情熱に目覚め、ロンドンへ留学。語学と料理を学ぶ。帰国後、レストランに勤務しながら菓子専門学校へ。2004年フロリダへ移住。菓子店などで修行の後、2011年ポートランドへ。2014年PSUファーマーズマーケットに出店。Web: miosdelectables.com
ピアノが得意だったので音大に行きましたが、それが本当に自分がやりたいことかどうかずっと自問自答していました。卒業してBGMの製作会社に就職して企画制作部で働いている時にグラフィックデザインに目覚めて、デザイン事務所に転職し、その後、憧れていたデザイナーの事務所で働けることになりました。
– Chez Panisseを訪れた人生の転機の瞬間
事務所の場所は青山と原宿の間。いわば食のメッカでパン屋さんなどすごくレベルが高いんです。それを買って帰っては、先輩たちに振る舞っていました。その時の私の目の輝きが違っていたのでしょうね。先輩に「浅香さんは食の方に進むべきだ」と言われました。仕事にストレスを感じていた頃、カリフォルニアのバークレーにあるChez Panisseというレストランの特集記事を読んで心が動かされて、実際に行ってみました。見た目のシンプルな美しさ、味、季節の食材を用いるというコンセプトにすごく共感して、この時はっきりと、「自分は食の道に進むべきだ。いつかアメリカに来る」と決めたのです。人生の転機となった瞬間でした。
せめてレシピくらいは英語で読めるようになりたい。でも、もともとはアメリカには100%興味がなくて(笑)。ヨーロッパに行きたかったので、ロンドンに1年留学しました。最初、語学学校に通って、その後コミュニティーカレッジで料理とベーキングのクラスを取りました。日本の料理学校と違い、自分で材料を調達しなくてはいけないので大変でしたが、ここで作ることの喜びを知ったんです。
帰国して東京のレストランに入り、そこで師匠と仰いだシェフから教えてもらったタルトがおいしくて、鮮明に頭に焼き付いたのです。私の原点がタルトなのはそのためだと思います。その後、レストランで働きながら夜間、プロを対象にしている東京菓子学園に1年行きました。
2004年にアメリカの抽選永住権に当選し、姉が住んでいたフロリダに移住しました。7年間フロリダでいろいろな店を転々としました。独立を考え始めた頃に友人から聞いたポートランドに興味が湧き、11年の春に下見に来てみるとバークレーの雰囲気とちょっと似ていたのと感覚的に自分に合っていると思って、夏には引っ越していました。
– 夢がかなっている現在を意識して進みたい
ポートランドではBaker and Spiceという店に3年勤めた後、14年3月にポートランド州立大学内のファーマーズマーケットにMio’s Delectablesを出店できることになりました。来年の3月で5年になりますね。お客様から笑顔で「ありがとう」とか「おいしかったよ」と言われる時が一番うれしい。どんな疲れも吹き飛びます。
私は今やっていることをずっと夢に見て来たと思うんです。だから、どんなに忙しくて体力的に厳しくても、過去の自分が悲しくならないように、夢がかなっていることを意識して進んでいかないといけないな、と思っています。
▲ 商品は常に20種類以上。「これからは、柿(タルト、フレッシュタルト)、栗(モンブラン)、リンゴ(タルト、パイ)が旬ですね」
【Portland Farmers Market】
日時:毎土曜 9:00am-2:00pm(11〜3月)、8:30am-2:00pm(4〜10月)
場所:ポートランド州立大学構内
www.portlandfarmersmarket.org/our-markets/psu
その他の取り扱い先:
■Umami Cafe(Portland Japanese Garden内)
■YUZU 4130 SW. 117th Ave. Ste H, Beaverton
問い合わせ:TEL : 503-765-7012
mio@miosdelectables.com
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