シアトルやポートランドで活躍する方々に人生の転機についてインタビュー
■ 日英バイリンガルで治療を行うタイン・モニカ獣医師。カークランドの動物病院からベルビューの動物病院への転院を控えたタイン先生に、これまでの転機を伺いました。(2021年12月)
コネチカット州出身。2010年University of Connecticut卒業。14年にIowa State Universityで獣医師資格(DVM)を取得。同年、Juanita Hills Animal Hospitalで勤務を始め、19年より医長。22年1月からはベルビューのWagly Veterinary Hospital and Pet Campusに医長として勤務開始予定。ペットは猫2匹と犬1匹。好きな食べ物はすき焼き。
私の転機は、コネチカットでキンダーガーテンに通っていた5歳の時、子猫を2匹飼い始めたことです。ある日、猫を動物病院に連れて行ったら、獣医師の仕事がとても面白そうで、私もこの仕事をしたいと思ったんです。それから、小中高校とずっと獣医師を目指していました。今まで一度も、獣医師以外の仕事をしてみたいと思ったことはありません。一度決めたら貫く性格なんです。ちなみにこの猫たちは20歳まで長生きしたんですよ。
子どもの頃は、毎週土曜日にはボストン日本語学校に通い、夏休みになると母の実家のある神戸で3カ月過ごしました。おかげで日本語ができるようになりましたが、当時の母は、私と双子の妹の2人をボストンまで通わせて大変だったと思います。今、母は神戸に、父はコネチカットに暮らしています。
– 東海岸と日本の間、シアトルで獣医師に
アイオワ大学で獣医師の資格を取った後、母のいる日本と、父のいるコネチカットの両方に行きやすい西海岸に出ることに決めました。最初はロサンゼルスで仕事を探すつもりでしたが、大学卒業直前に今の夫と出会い、彼の実家のあるシアトルに引っ越したのです。
獣医師としては、エベレットの救急病院でキャリアをスタート。しばらくしてから、今の職場であるJuanita Hills Animal Hospitalでパートタイムで働き始めました。救急病院は、末期の病気や交通事故などを扱い、動物の死が日常です。胸の痛むことがたくさんありました。もちろん、多くの人から必要とされるチャレンジングな仕事でしたが…。その一方でJuanita Hillsは、チェックアップやちょっとしたトラブルでの来院が多く、飼い主や犬猫と長くお付き合いできることにやりがいを感じるようになりました。2015年には救急病院を辞め、ここで専属の獣医師として働いています。
念願の獣医師となり、毎日愛犬と出勤して、大好きな動物たちと一緒に居られるのは幸せです。ペットは猫2匹で十分と思っていたけれど、他の動物も飼い始めたらかわいくて。今はいろんな動物を飼ってみたいです。
– 病院に関わる人、皆がハッピーな場に
来院した犬や猫、全てを治療してあげたいですが、私だけでは処置できないケースでは、症状に応じてスペシャリストの元に送ります。そんな時はもどかしいですね。でも、シアトルはさまざまなスペシャリストがいるので、飼い主目線では、恵まれている土地だと思います。私の生まれ育った町には獣医師が1人しかいませんでしたから。
2019年からは、メディカルディレクター(医長)に就任。他の獣医師やスタッフたちの意見を聞きながら、どうすれば、彼らにとって、ここが、より働きやすい場所になるかを考えています。獣医師だからと言って、犬や猫の体だけを考えているわけではないんですよ(笑)。一緒に働く人間の心も大切です。
そして、1月からはベルビューのレイクヒルズにあるWagly Veterinary Hospital and Pet Campusの医長に就任が決まりました。これからも、動物たちはもちろん、一緒に働く獣医師やスタッフ、そして飼い主さんたち、皆にとって幸せな場を作っていきたいです。
▲「機会があれば日本でも働いてみたい」と話すタイン先生。なお、Juanita Hills Animal Hospitalでは犬と猫のみを診療しています。