Lesson 1. Let’s take a look at it.
初めまして。昨年末に渡米し、シアトルでの学生生活で「生英語」に囲まれて過ごしています。日本での受験勉強やラジオ講座などを通じて、基礎的な英語力は身に着けたつもりでしたが、渡米後に自分の英語力の弱点(=日常生活に根差した表現を知らない)に気付きました。
まず「Let’ s take a look at it.(見てみよう)」という表現。これは授業で先生が1時間に2、3回は使うほど頻出です。英語で「~を見る」と言いたい時、私は「look at……」しか表現の幅がなかったので、この表現を聞いた時、柔らかで感じが良いなと思いました。不思議に思ったのは、どの先生も「Let’ s look at it.」とは決して言わないこと。そこで先生に「take a look at……」と「look at……」の違いを質問したところ、前者は口語でよく使い、後者は主にライティングで用いるとのこと。
もうひとつ、先生がよく使うのが「What’ s going on?」。「最近どう?」という挨拶や、「一体どうなってるの?」と尋ねる時の表現で、必ず進行形で使うのがミソです。
Lesson 2. Thanks for the heads-up
相手に感謝の気持ちを伝えたい時、「Thank you / Thanks」だけでなく、表現の幅を広げてシチュエーションに合ったお礼をしたいと思ったことはありませんか。そんな矢先、授業で先生が面白い表現を教えてくれました。それが「Thanks for the heads-up(知らせてくれてありがとう)」です。
「heads-up」と聞いて、「うつむき加減の頭を上げる」姿を連想してしまったのですが、名詞の場合は、「advanced notice(事前通知)」や「warning(警告)」の意味があるのだそう。例えば、授業の休講、イベントの延期など、知らなかったら自分が損をしていた情報を相手から教えてもらった時に使える感謝表現です。ちなみに自分から相手に何か警告したい時には、「I’ll give you a heads-up」と、動詞のgiveとセットで使います。さらに「heads-up」は形容詞「抜け目のない~」という意味もあり、また間投詞として「Heads up!(気を付けて!)」とも使えます。
基本を土台にしつつ、応用表現を学んで、コミュニケーションを深めていきたいですね。
Lesson 3. in a nutshell
先月からシアトルのダウンタウンにある出版社でインターンシップが始まりました。職場で上司が仕事の説明をしてくれた時に耳にしたのが、「in a nutshell」というフレーズ。「木の実の殻(nutshell)? なぜ?」と、話の文脈に関係なく突如出て来た単語に戸惑ってしまいました。実は「手短に言えば」という意味の頻出イディオムだったのです。
いろいろな説明をして、最後に締めくくりたい時に使える“簡潔表現”としては、「to put it simply」「in summary」「in short」「briefly」「in a word」「to sum up」などがありますが、この言い方は知りませんでした。「木の実の殻に(話を)入れると……」が転じて、「小さく(話を)まとめると……」、つまり「簡潔に言えば……」という意味になったのですね。日本語にはない発想で興味深いです。
面白いイディオムである一方で、職場で上司が使っていた表現なので、ビジネス・シーンでも使えること請け合い。私も話のポイントを簡潔に述べる時にぜひ使ってみようと思います。
Lesson 4. Let’s keep our fingers crossed.
現在、編集インターンとして研修中。日本でも出版社で働いていたので、業務自体にはすぐなじめましたが、最大の難関が「small talk(雑談)」。私以外は皆アメリカ育ちのスタッフなので、廊下で交わされる雑談こそ、実はいちばん難しい……。新しい表現を聞いたら、すかさずノートに書き留めています。
先日、編集長が「Let’s keep our fingers crossed.」と話しているのを耳にしました。著者からの原稿が期日に届かず、来週中に送ると連絡があったそう。そんな状況での発言です。指をクロスさせましょう? 調べてみたら、「うまくいきますように」「幸運を祈りましょう」という意味を持つ常套句でした。語源を調べると、指をクロスさせるのは、古くは厄よけのジェスチャーだったようです。後ろにfor~(~のために)を付ければ、自分達以外の事柄(具体的な人物やチームなど)の幸運、状況の好転を祈る時にも使えます。同じ意味を持つ「Good Luck!」に加えて、使いこなしたい表現ですね!
Lesson 5. chip in
研修先の出版社でミーティングに参加した時のこと。現在妊娠中のスタッフがもうすぐ産休に入るので、「何か彼女に贈り物をしたいね」という話の流れだったのですが、ひとりのスタッフが「We can chip in for the gift.」と発言。「chip」と言えば「ポテトチップス(chips)」しか思い浮かばず、一瞬何のことかわかりませんでした。動詞で使われていることもとても新鮮!
さて、私が直面した場面では「お金を出し合う」という意味で使われていましたが、ほかに「butt in(人の話に割り込む)」と同じ意味合いでも用いられます。ちなみにchip単体では、名詞で「切りくず」、動詞で「~を細かく砕く」という意味があります。
また、ゴルファーにとって「チップイン(アプローチショットが直接ホールに入ること)」はおなじみの用語らしく、さらに、ポーカーなどのゲームでお金を賭ける時にも使えるとのこと! このイディオムの持つ、あまりの多機能ぶりに驚いてしまいました。
Lesson 6. give it your best shot
最終回は、相手を励ますのにぴったりな英語表現。滞米中に多くの新出イディオムに出合いましたが、いちばん励みになった表現が「Give it your best shot(最善を尽くして、頑張って)」。ここでのitは目標や課題など乗り越えるものを指しています。就職・転職活動や資格試験に挑む友達に伝えたい表現ですね。
「最善を尽くす」と言えば、「do your best」を日本で覚えましたが、shotを使った表現があると知ったのは渡米してから。名詞shotには「(銃の)発射、(ゴルフなどの)ショット」といった意味があり、直訳すると「あなたの最高のショットをそれ(=目標や課題)に与えなさい」となります。さらに「I’ll give it my best shot(最善を尽くします)」と自分の決意を述べる場合にも使えます。変化形として、滞米中に「Give it another shot(もう一度チャレンジしてみなよ)」とanotherを使った表現も耳にしました。
半年間の連載にお付き合いくださり、ありがとうございました。帰国後も、「I’ll give it my best shot」の精神で、仕事や英語習得に励みます!
■Sayaka Iwasaki |
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