第1回:入門編
「興味はあるけど、始め方がわからない」「趣味と実益を兼ねた体験じゃないと」と、これまでボランティア活動に踏み込めなかった人達へ、ノウハウと楽しさを伝える新連載。入門編の今回は主なボランティアの種類をご紹介します。
ボランティア心得
ボランティアを選ぶ際に大切なのは1週間や1カ月単位などでどれだけ自分の時間を使えるか、そして自分の興味や能力をはっきりさせることも大切。ボランティアを募集する団体の多くは応募内容を指定していますが、それ以外でもボランティア・コーディネーターが相談にのってくれるので、気軽に尋ねてみましょう。また、自分の能力は何かと考えてしまう人もいるかもしれないけれど、車が運転できる、クッキーを焼けるなども立派な能力です。でもどんな些細なボランティアも信頼を預かった以上、社会の一員として責任を果たしましょう。
【アート系】
ほとんどの美術館や博物館で募集していて、内容はフロント・デスクでの事務や展示品の管理、ギフト・ショップの手伝いやデータ入力、また化石の修復といった高度なトレーニングを要するボランティアもあります。子供を対象としたアート・クラスや文化教育を企画しているところも多いので、教育担当のボランティアも望まれています。
ボランティアとして自分の好きな美術館に出入りすると、いつもと違う楽しみ方が増えるかもしれません。
■Seattle Museum / 100 University St., Seattle, WA
206-654-3100
ウェブサイト:www.seattleartmuseum.org
■Oregon Historical Society /1200 SW Park Ave., Portland, OR
503-222-1741
ウェブサイト:www.ohs.org
【 アニマル系 】
「動物が好き」という方はこちら。虐待されたり、捨てられたペットを収容し、より良いオーナーに養子縁組させる団体では、犬の散歩などのペットの世話が必須。犬のセラピストやトレーナーの養成を行っているところもあります。
また、動物園でもボランティアは求められています。飼育係のアシスタントから、宣伝用の写真撮影をする人、ガーデニングのヘルパー、夏ならコンサートやイベントのヘルパーなど、ユニークな内容も。ボランティアになれば入場料のディスカウントなどの特典があるのもポイント!
■The Humane Society
ワシントン州:13212 SE Eastgate Way, Bellevue, WA
425-641-0080
ウェブサイト:www.seattlehumane.org
オレゴン州:1067 NE Columbia Blvd., Portland, OR
503-285-7722
ウェブサイト:www.oregonhumane.org
■Oregon Zoo / 4001 SW Canyon Rd., Portland, OR
503-226-1561
ウェブサイト:www.zooregon.org
【 ネイチャー系 】
キャンプやバード・ウォッチングなど、自然と親しむのが好きな人、また環境問題に関心のある人向き。ナショナル・パークではトレイル作り、ゴミ拾い、ビジターの通訳から生物学者のアシスタントまで、内容はバラエティー豊か。レニア山国立公園の場合は、年間5万人ものボランティアに支えられています。また、野鳥の生態系を守る団体では野鳥のカウントなどのボランティアもあります。
■Mt. Rainier National Park / Tahoma Woods Star Rt., Ashford, WA
360-569-2211
ウェブサイト:www.nps.gov/mora/
■National Audubon Society
ワシントン州:8050 35th Ave. NE, Seattle, WA
206-523-4483
ウェブサイト:www.seattleaudubon.org
オレゴン州:5151 NW Cornell Rd., Portland, OR
503-292-6855
ウェブサイト:www.audubonportland.org
【ヒューマニティー系 】
ホームレス、飢え、ドラッグ、虐待、エイズ、失業などの社会的問題に対処するNGO団体は専門化されていますが、そこで働く人々は皆「人の役に立ちたい、社会をより良い所にしたい」という使命の下に集まっているはず。ボランティア内容は、事務の手伝い、キッチン・ヘルプ、食品の仕分けのほか、CPR(救急蘇生法)や公衆衛生教育のクラスを受け(有料)、その技術を教える講師として活動することも。また、低所得者向けに家を建てる団体では、ボランティアの傍ら建築技術も学べます。
■American Red Cross
ワシントン州:1900 25th Ave. S., Seattle, WA
206-323-2345
ウェブサイト:www.seattleredcross.org
オレゴン州:3131 N. Vancouver Ave., Portland, OR
503-284-1234
ウェブサイト:www.seattle-habitat.org
■Habitat for Humanity
ワシントン州:13925 Interurban Ave. S., #A, Seattle, WA
206-292-9617
ウェブサイト:www.seattle-habitat.org
オレゴン州:1478 Killingsworth St., Portland, OR
503-287-9529
ウェブサイト:www.pdxhabitat.org
【 教育・子供系 】
親や一般市民がボランティアとして学校教育に参加するのは、アメリカでは一般的なこと。イベントの付き添いや監督、登下校時の交通整理、さらに授業についていけない子供達の手助けなど、ボランティアが教育現場を支えています。
また『YMCA』などでは、アクティビティーを通じて子供達が自尊心と生きがいを育めるプログラムを用意していて、それにもボランティアが必要です(例えば水泳のコーチやキャンプのヘルプ、本の読み聞かせなど)。子供がいる方には、親同士の交流を深める絶好のチャンスでしょう。
■YMCA
ワシントン州:909 4th Ave., Seattle, WA
206-382-5003
ウェブサイト:www.seattleymca.org
オレゴン州:9500 SW Barbur Blvd., #200, Portland, OR
503-223-9622
ウェブサイト:www.ymca-portland.org
■Boys and Girls Clubs
ワシントン州:603 Stewart St., #300, Seattle, WA
206-461-3890
ウェブサイト:www.positiveplace.org
オレゴン州:7119 SE Milwaukie Ave., Portland, OR
503-232-0077
ウェブサイト:www.bgclubportland.org
第2回:ボランティアの手が“作り出す”ヒューマニティー系ボランティア
これまでボランティア活動に踏み込めなかった人達へ、ノウハウと楽しさを伝えるこのコーナー。今回は社会派の活動の裏にあるクリエイティブなボランティアを紹介します。
家を作って社会貢献
▲レドモンド近郊にある3階建て、
24棟の住宅プロジェクトのひとこま
写真提供:
Hubitat for Humanity of E. King County
“ヒューマニティー系ボランティア”というと、ホームレスや貧困などの社会問題と絡むため「深刻すぎる」と考える人も多いはず。でも、そんなイメージの活動内容ばかりではありません。楽しく、技術も身に付けられるクリエイティブなボランティアもあります。
『ハビタット・フォー・ヒューマニティー』(Habitat for Humanity。以下HFH)は「家」というユニークな角度から社会問題に関わる団体のひとつ。「住居を必要とする人々のために適切な家を建て、劣悪な環境に住む人やホームレスをなくし、家屋建築を通して人と地域を結び付ける」という趣旨のもとに設立されたこの団体は、家を建てる時に掛かる労働力を地域のボランティアで補い、低所得者にも購買可能な家を提供しています。
▲現場では基本的な建築技術も学べる
「ボランティア(しかも素人)で家を建ててしまおう」という奇想天外な発想には驚かされますが、もちろんボランティアにはきちんとした指導が行われます。安全面に関するオリエンテーションへの参加は義務付けられていますし、建築現場ではプロの大工がいろいろと教えてくれるので、ハンマーを持ったことがない人も安心して参加できます。そしていったんハンマーを握って作り出すと「また来週も来たい!」と思うほど、家を建てる楽しさにハマってしまうでしょう。作業を通して多くの人達と親しくなれるのはもちろん、思いっきりハンマーを振ることでストレス解消にもなります。
▲こんな立派な家も建てられる
ある女性ボランティアは「ここに来ると日常とまったく違う体験ができるから、とても気分転換になるの」と話してくれました。ボランティアをするうちに釘打ちが上手になる人がいたり、窓枠の取り付け名人も登場して、日常生活で知っていて損はないスキルを身に付けられることも。必要な道具は現場に揃っているので、スニーカーとジーンズ姿で身軽に参加できます。さっそく大工気分でハンマーを握ってみてはいかがでしょうか?
*今回はミネソタ州での体験だが、基本的な内容はどの州でも同じ
自己負担度:★☆☆(往復の車)
肉体酷使度:★☆☆
知的満足度:★★☆
必要なもの:オリエンテーション時の筆記用具、弁当
・HFH of E. King County / 16315 NE 87th St.,#B-5, Redmond, WA
425-869-6007
ウェブサイト:www.habitat.org/script/link.asp?url=www%2Ehabitatekc%2Eorg
・Seattle HFH / 13925 Interurban Ave. S, #A, Seattle, WA 98168
206-292-9617
ウェブサイト:www.seattle-habitat.org
・Portland HFH / P.O. Box 11527, Portland, OR 97211
503-287-9529
ウェブサイト:www.pdxhabitat.org
キルトに綴る“助ける”気持ち
“クリエイティブ”でもこちらは芸術文化的なボランティア。アメリカ芸術を代表するアメリカン・キルトを作って病の子供達や災害などの不幸に見舞われた人々に送っている団体が『プロジェクト・ライナス』とワシントン州の『赤十字』です。
ワシントン州ピアス郡の『赤十字』では、毎週月曜の9:00 a.m.~2:00 p.m.にボランティアが集まってアメリカン・キルトを作っています。「布を切るだけのボランティアもいるし、手芸の技術なんてなくても大丈夫よ。道具もすべて揃っているから、あなたはランチを用意してね」とボランティア・コーディネーター。気軽に参加できる雰囲気が十分です。
ボランティアの多くは定年を迎えた女性達で、そこはまさに“おばあちゃんの知恵袋”。キルトの技術的な指導はもとより、人生相談からアメリカの生活情報まで話題に事欠くことなく、あっという間に楽しく時間が過ぎていきます。こうして彼女達が作ってきたキルトの数は何千にものぼります。
メンバーのひとりが「私達が作ったキルトが誰かの役に立つなんて素晴らしいことだわ。それに、ここに来るとみんなに会えてとっても楽しいの」と針の手を止めてうれしそうに話していたのが、印象的でした。
・Red Cross of King & Kitsap Counties / 1900 25th Ave. S., Seattle, WA
206-323-2345
ウェブサイト:www.seattleredcross.org
自己負担度:★☆☆(往復の車)
肉体酷使度:☆☆☆
知的満足度:★☆☆
必要なもの:弁当
・Mt. Rainier Chapter / 1235 S. Tacoma Way, Tacoma, WA
253-474-0400
ウェブサイト:www.rainier-redcross.org
*オレゴン州の赤十字はキルト作りをしていない。
今月のボランティアのまとめ
ボランティアがいてこそ家が建ち、美しいキルトも作り出される──。より良い社会への小さな一歩は“奉仕”という気負いではなく“楽しむ”ことをモットーとした、地道なボランティア達に支えられているようです。自分が楽しんで手を掛けたものが人の役に立つ、そんなボランティアにぜひ挑戦してみてください。
・S. Puget Sound Chapter / 2424 S. 315th Ln., #G-204, Federal Way, WA
253-582-5497
ウェブサイト:http://pages.prodigy.net/spslinus
・Portland Oregon Chapter / P.O. Box 1406, Lake Oswego, OR
503-534-1151
ウェブサイト:www.projectlinusoregon.org
第3回:ペットを癒し、癒される アニマル系ボランティア
これまでボランティア活動に踏み込めなかった人達へ、ノウハウと楽しさを伝えるこのコーナー。今回は動物好きにもってこいのボランティアを紹介します。
動物達を助けよう!
▲グルーミングや散歩など動物に
直接関わる内容も多い。
しつけもそのひとつ
今回はかわいい動物のために働くボランティアをご紹介。『ヒューメイン・ソサエティー』(Humane Society。以下HS)は世界最大の動物保護団体で「地球上に暮らす動物達が快適に過ごせるように」と野生動物からペットまであらゆる動物を対象に保護活動をしています。アメリカでは主に、家を失ったペットとして飼われていた動物を保護し、より良い飼い主に引き渡すことを目的として各地にシェルターが設けられています。
シェルターの動物達は愛情溢れるケアと共に、検診やしつけのトレーニングも受けているので、素晴らしいペットになると定評があります。。
ボランティアへのステップ
▲受け入れてるどうぶつはいろいろ。
『Oregon Humane Society』 にはウサギもいる。
私が参加したワシントン州ピアス・カウンティーのHSでは、ボランティアを始める前に2時間のオリエンテーションへの参加が義務付けられていました。講師は、自身もここで猫をアダプトしたベテラン・ボランティアのジニーさん。彼女が団体の歴史やポリシー、仕組みやボランティア内容などを説明する一方、参加者達も「最近愛犬を亡くしたので、動物のいる環境でボランティアをしたい」などの参加動機や自分のペットの話などをして、雰囲気は終始和気あいあい。館内ツアーへ出発すると、参加者は説明を聞きながらも目の前のかわいい犬や猫のしぐさに頬が緩みっぱなしでした。
活動内容は事務から動物に直接関わるケアまでいろいろあり、オリエンテーションが終わると希望するボランティアに必要なトレーニングを受けます。『ペット・バス』という、動物達にシャワーを浴びさせる専門のトレーニングに参加したところ、ペット・バスの意味と目的などの説明を受けてから動物の扱い方を学び、実際に専用室に入ってからは道具の位置やシャワーの手順を見学しました。「不潔だともらい手がないし、清潔でいることは衛生上大切」とボランティア歴14年のリンダさん。シャワーを浴びているかわいい子犬を見れば、多くの人が「私もやりたい!」と思うことでしょう。
今月のボランティアのまとめ
動物と接しているボランティアの人達は、どの方も目が優しく輝いていました。きっとそこには、人と動物が互いに癒し合う空間があるのでしょう。あなたも愛くるしい動物達とその空間で楽しくボランティアをしてみませんか?
・The Humane Society for Tacoma & Pierce County / 2608 Center St., Tacoma, WA
253-284-5832
ウェブサイト:www.thehumanesociety.org
・The Humane Society for Seattle/King County / 13212 SE Eastgate Way, Bellevue, WA
425-641-0080
ウェブサイトwww.seattlehumane.org
・The Oregon Humane Society / 1067 NE Columbia Blvd., Portland, OR
503 -285-7722
ウェブサイト:www.oregonhumane.org
自己負担度:★☆☆(往復の車)
肉体酷使度:★☆☆
知的満足度:★☆☆
必要なもの:オリエンテーション時の筆記用具など
■Seattle Animal Shelter
2061 15th Ave. W., Seattle, WA
206-615-0820
ウェブサイト:http://www.seattleanimalshelter.org/volunteers.htm
■Bonnie L. Hays Small Animal Shelter
1901 SE 24th Ave., Hillsboro, OR
503-846-7141
ウェブサイト:http://www.co.washington.or.us/deptmts/at/dog/shelter/anmlvol1.htm
第4回:人の結び付きが作る“アート”
これまでボランティア活動に踏み込めなかった人達へ、ノウハウと楽しさを伝えるこのコーナー。今回はアートを愛する人達にぴったりなボランティアを紹介します。
アートとは?
「創造につながるものはすべてアートである」という言葉を聞いたことがあります。美術はもちろん発明、宗教、音楽など、“無”が“有”に変われば、それらはすべて“アート”だというのですが、この解釈はアート系ボランティアにも当てはまるようです。
非営利で運営されているアメリカの多くの博物館や美術館が成り立っているのは、展示品はもちろん、地域のボランティアや来館者、アーティスト、さらに職員などの芸術を愛する人達がいるからです。そんな人達に囲まれ、運営の舞台裏やアートを違う角度から楽しめるアート関連のボランティアは、長年キャリアを積む人がたくさんいるほど、魅力がいっぱいです。
『タコマ美術館』の場合
▲『タコマ美術館』でアート・ツアーの
来館者に展示品の紹介をするDocentの
Cass Brothertonさん
© Dane Meyer
「ボランティア・スタッフの中にはアーティストもいます。職員も、過去にどこかの美術館でボランティアを経験した人が多いです」と話すタラさんは、『タコマ美術館』のボランティア・コーディネーター。彼女も学生時代から美術館でボランティアをし、いろいろな人と出会う中からこの職にたどり着いたそう。
最近、ボランティアを始めたばかりで、看護婦をしながらDocent(展示品の案内)をしているというジュリーさんはパステル画家。ボランティアをしながら自分の絵を売る機会を探しているそうです。
▲Kris O’Learyさんは、毎週行われる
アート・クラスでボランティアをしている
©Dane Meyer.
来館者が自由にアートを体験できるワークショップでアシスタントをしているローズマリーさんは彫刻家。「ここに来るとインスピレーションを感じるの。素晴らしい人達との出会いもあるし。多くの人にアートを楽しんでもらいたいわ」と話す彼女と一緒に、ワークショップに参加している人達を見回ったり、アート関係の道具を整理したりしていると、自然と絵でも始めてみようかという気持ちになります。もうひとりのアシスタントのハリーさんも「ローズマリーさんをアーティストとして尊敬しているし、ボランティアで一緒になってからずっといい友達なのよ」。2人が意気投合している姿が印象的でした。
今月のボランティアのまとめ
美術館や博物館でのボランティアが作り出すものは、“展示”にとどまらないアートの世界。ボランティアを通じて人と人の間に生まれる関係こそが、じつは“アートの結晶”なのかもしれません。
1701 Pacific Ave., Tacoma, WA
253-272-4258 内線3016(担当:Tara Young)
ウェブサイト:www.tacomaartmuseum.org
(Docentのトレーニングは9月開講予定)
自己負担度:★☆☆
肉体酷使度:☆☆☆
知的満足度:★★☆
必要なもの:特になし
■Kirkland Arts Center
620 Market St., Kirkland, WA
425- 822-7161
ウェブサイト:www.kirklandartscenter.org
■Henry Art Museum(University of Washington)
15th Ave. NE & NE 41st St., Seattle, WA
206-221-4980(担当:Laura Dowing)
ウェブサイト:www.henryart.org
■Pacific Science Center
200 2nd Ave. N., Seattle, WA
206- 443-2868
ウェブサイト:www.pacsci.org
■Oregon Historical Society
1200 SW Park Ave., Portland, OR
503-306-5226(担当:Rachael Vorberg-Rugh)
ウェブサイト:www.ohs.org
■Portland Art Museum
1219 SW Park Ave., Portland, OR
503-276-4288(担当:John Simone)
ウェブサイト:http://web.pam.org
第5回:未来を作る子供達をヘルプ 教育系ボランティア
これまでボランティア活動に踏み込めなかった人達へ、ノウハウと楽しさを伝えるこのコーナー。今回は健全な子供達を育むためのボランティアを紹介します。
夏は子供と一緒にボランティア
さあ、 ノースウエストにも夏がやって来ました。さわやかなこの時期は、思いっ切り外に出て自然に触れたいものですね。最終回は、夏休み中の子供達も一緒にできるネイチャー系ボランティアで自然を存分に楽しみましょう。
健全な心と体を作るお手伝い
▲子供達の笑顔のために、
ボランティアをしている人達も多い
© Boys & Girls Club South Pierce County Branch
子供達は未来を担う大切な存在。そんな子供達のために働く教育系ボランティアは、言い換えれば明るい未来へのお手伝いです。
最近は共働きやシングル・マザーの家庭が増え、大人の目が届かない子供達にとって孤独な時間が増える一方、喫煙や飲酒問題、子供達がギャングとのトラブルなどの危険に巻き込まれることも多くなってきました。教育系ボランティア達はそんな社会環境の中、健全な心と体を持つ子供達の育成に力を注いでいます。
子供達から元気をもらう
▲テコンドーのクラスも開催されている
© Boys & Girls Club South Pierce County Branch
『ボーイズ・アンド・ガールズクラブ(以下B&GC)』はそんな団体のひとつ。多くは学校に併設され、地域の6~18歳の青少年のために活動しています。タコマにあるトンプソン小学校は放課後を『B&GC』の生徒のために開放していて、コンピューター教室、本の読み聞かせ、ゲームなどのアクティビティーを用意しています。そこでボランティアは、自分の得意分野を生かしながら子供達と過ごします。体育館ではボランティアの先生がテコンドーを教え、ゲームで遊ぶグループは新しく寄付されたゲームの説明書を見ながら、みんなで遊び方を考えていました。「自分の子供もメンバーだから、できるだけボランティアをしたい」と言うジェシーさんは、仕事の都合が付く限りここで子供達と一緒に遊んでいるそうです。
▲宿題の手伝いもボランティアの一部
©Boys & Girls Club South Pierce County Branch
私は宿題をするグループに入って、小学1年生のジョナサン君の算数のお手伝い。「そこはどうするのかな?」「その調子!」と声を掛けると彼はさらに一生懸命に取り組んでくれるので、その姿を見るだけでこちらも励まされます。問題が解けた時のキラキラした彼の瞳と笑顔は、どんな「ありがとう」の言葉にも勝るものでした。
安心感から育つ未来
教育系ボランティアと言うと「教育的な知識がないとできないのでは?」と思いがちですが、大切なのは子供達のそばにいて安心感を与えてあげること。安心感が彼らの根気と自信を生み出し、新たなチャレンジ精神を育てるのであれば、ささやかな時間でもボランティアが未来に果たす役割は大きいのではないでしょうか。
15605 E. B St., Tacoma, WA
253-572-8440
ウェブサイト:www.bg-clubs.com
自己負担度:★☆☆
肉体酷使度:★☆☆
知的満足度:★☆☆
必要なもの:特になし
■Bellevue Boys & Girls Club
209 100th Ave. NE, Bellevue, WA
425-454-6162
ウェブサイト:www.bgcbellevue.org
■Boys & Girls Clubs of Portland Metropolitan Area
7119 SE Milwaukie Ave., Portland, OR
503-232-0077
ウェブサイト:www.bgclubportland.org
■Chief Seattle Council, Boy Scouts of America
3120 Rainier Ave. S., Seattle, WA
206-725-5200
ウェブサイト:www.seattlebsa.org
■Oregon Trail Council, Boy Scouts of America
2525 Martin Luther King Jr. Blvd., Eugene, OR
541-485-4433
ウェブサイト:www.otcbsa.org
■Girl Scouts-Totem Council
601 Valley St., Seattle, WA
206-633-5600
ウェブサイト:www.girlscoutstotem.org
■Girl Scouts of Western Rivers Council, Inc
2292 Oakmont Way, Eugene, OR
541- 485-5911
ウェブサイト:www.wrgirlscouts.org
■YMCA, Bellevue Branch
14230 Bel-Red Rd., Bellevue, WA
425-746-9900
ウェブサイト:www.seattleymca.org
■YMCA of Columbia-Willamette
9500 SW Barbur Blvd.,#200, Portland, OR
503-294-3366
ウェブサイト:www.ymca-portland.org
最終回:ボランティアで自然を楽しむ ネイチャー系ボランティア
これまでボランティア活動に踏み込めなかった人達へ、ノウハウと楽しさを伝えるこのコーナー。最終回の今回は、夏にこそ楽しみたい自然の中でのボランティアを紹介します。
夏は子供と一緒にボランティア
さあ、 ノースウエストにも夏がやって来ました。さわやかなこの時期は、思いっ切り外に出て自然に触れたいものですね。最終回は、夏休み中の子供達も一緒にできるネイチャー系ボランティアで自然を存分に楽しみましょう。
ネイティブの植物を守ろう
▲ツタの取り除き作業をする
ガールスカウトの女の子
ワシントン州は「エバーグリーン・ステート」と自称するほど、西海岸でも緑豊かな州。しかし、多種多様な植物の中でも1890年頃に西海岸に持ち込まれたツタ植物は、猛烈に生息域を広めて原生植物や木に被害を出しています。そのため、ネイティブの植物を守ろうと各地でボランティア団体が立ち上がりました。
『シエラ・クラブ』はタコマの『ポイント・ディファイアンス公園』と『スネイク・レイク公園』でツタ植物の取り除き作業をしています。「1本でも多くの木を残すことが目的」と話すのはボランティア・コーディネーターのリーアンさん。ツタは木の生育を妨げるほか、幹づたいに高く上って実を付け、それを鳥が食べることで生息域が広がっていくそうです。
▲腕の太さほどもあるツタの幹。
写真の女性は、ボランティアの
コーディネーターであるリーアンさん
写真提供:©Ivy League of
Tatoosh Group of the Sierra Club
ツタの除去方法を教わった私達ボランティアは、ハサミや鎌を手に森へ入ってさっそく作業開始。腕の太さほどもあるツタもあり、それが木を絞め殺さんばかりに張り付いているので、なかなかの力仕事です。でも、鳥の声を聞きながら、ひたすら作業に打ち込んでいると、何もかも忘れて頭の中が静まる気がします。植物はマイナス・イオンを発して心身をリラックスさせると言いますから、その効果もあるのでしょうか。ボランティアのデビーさんも「自然の中で作業しながら黙想にふけるの」と話していました。
ツタがきれいに取り除かれた森を見渡すと、なんとも言えないすがすがしい気分。「僕は100パーセントの満足感が得られるからここに来る」とボランティア仲間のケビンさんは、胸を張って言い切っていました。
今までのボランティアのまとめ
各方面のボランティアに従事する人々に共通するのは、みんながボランティアを “楽しんでいる”ことでした。社会をより良く変えていくには、まず自分の人生を楽しむことから始まるのかもしれません。それは今日からでも、今からでも、あなたが始められるボランティアなのではないでしょうか。
■Sierra Club, Cascade Chapter(Ivy League of Tatoosh Group of the Sierra Club)
253-761-2983(担当LeeAnn Perry)
www.cascade.sierraclub.org
(『Sierra Club』のツタ取り除き作業は毎月最終土曜日。7・8月は休み)
■Earth Share of Washington
環境に関する教育やボランティア精神などの促進を目的に発足した団体。加盟しているネイチャー系65団体が募集しているボランティアの種類と連絡先を紹介している。
ウェブサイト:www.esw.org
■People for Puget Sound
911 Western Ave., #580, Seattle, WA
206-382-7007(担当Jenny Aunan)
ウェブサイト:www.pugetsound.org
■Center for Urban Horticulture
3501 NE 41st St., Seattle, WA
206-543-8616
ウェブサイト:http://courses.washington.edu/rarecare
■Ivy Removal Project
2960 NW Upshur St., Portland, OR
503-823-3681
ウェブサイト:www.noivyleague.com
■Native Plant Society of Oregon
オレゴン内に13の支部がある。
P.O. Box 902, Eugene, OR
Eメール:po_president@NPSOregon.org(ポートランド支部・代表者Mandy Tu)
ウェブサイト:www.NPSOregon.org
日本では看護婦として病院に勤務。渡米後は老人ホームや教育施設などで多様なボランティア活動に従事した、ボランティア・エキスパート兼ライター。’98年に非営利団体のボランティア・コーディネーター、’01年にはホンジュラス共和国でバイリンガル幼稚園の教師を経験、現在は子供を対象に、ボランティアで初心者手話を教えている。奈良県出身。
※情報は2010年以前の時点であり、店舗情報、商品、価格など変更されている場合があります。
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