時間優先の移動手段としては、飛行機や鉄道に敵わないけど、自分の足で前に進む自転車が子どもの頃から好きだった。地球儀や世界地図を指でなぞっては、まだ行ったことのない、見たことのない道を走ることを夢見た。そして50歳になる頃から年に数回、相棒のHさんと自転車の旅をするようになった。西海岸縦断、大陸横断、そしてカナダ。気長に気まぐれに実現しようと思う。
※ライトハウス2019年5月号特集記事「自転車で走るアメリカ大陸」より。
文:ライトハウスCEO・込山洋一|情報は2019年5月時点のもの
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バンクーバー・アイランド編
熊に怯え、一目散に走るバンクーバー島
5月6日。僕らを乗せたフェリーは、カナダのバンクーバー市から南に30マイルの町ツワッセンを発ち、バンクーバー島南端の町ビクトリアに向かった。
島々の隙間を抜ける狭い航路は、秒刻みで風景が変わる。デッキには写真を撮る人、日光浴を楽しむ人、おしゃべりが尽きない女子学生。ふわふわ柔らかい空気が流れる。今回の旅は、バンクーバー市を起点に南下、バンクーバー島にフェリーで渡り、パシフィックリム国立公園保護区の真ん中を突っ切って、さらに島から島、島から本土へフェリーで渡るもの。時計回りでバンクーバー市に帰る、500マイルを自転車とフェリーでつなぐ海と森のルートだ。
▲ 空港にて。自転車はこのバッグにキレイに収まる。
▲ BC州の州都ビクトリア。
自転車の旅は、午前中にどれだけ距離を稼げるかが勝負。毎朝、夜明け前にホテルを発ち、1時間に1回休憩を入れる。海が好きな僕にとって、変化に富む海岸線のルートは、走っても、走っても、飽きることがない。また、晴れた日の森を抜けるルートは、木漏れ日が織りなす“緑の宇宙”が満喫できる。
日々の移動距離は、次の日に疲れを残さない距離(60~100マイル)の範囲で、どこで宿泊するか複数のプランを立てておく。プランAは、二人が好調ならこの宿(町)を目指そうというチャレンジプラン。プランBは、どちらか一方が不調ならこの宿(町)までという安全策。またルートによっては、無理をせずに公共交通機関でさっさと走り抜けるウルトラC、じゃないプランCも立てておく。僕らは冒険家ではなく、組織に生きる人間だから限界には挑まないし、無理も無茶もしない。余談だけど、仕事のメールは迅速に返信し、自転車を横に置いてヘルメットをかぶったまま、携帯電話でジャッジも打ち合わせもする。携帯がなかった時代なら考えられないことだ。
▲自転車と歩行者だけの道を独り占め。
▲ 湖畔でしばしの休憩
今回、唯一怖い思いをしたのが、島を横切るために国立公園の中を突っ切る区間。早朝の森は、車はおろか僕ら以外に人の気配がない。野生の熊やクーガーが生息する地域だから、相棒のHさんが、熊避けの鈴を買っておいてくれた。立派な鈴だけど、こんなもんで本当に熊が退散するのだろうか。熊の標識がふつうにあるけど。熊の幻想に怯えながら、すれ違う車もほとんどない山道を一目散に走った。
さて、今回のルートは言葉より写真の方がその素晴らしさを伝えることができるだろう。そのくらい美しかった。有名な観光ルートではなかったけれど、ローカルの人たちに愛されてきた手つかずの自然、思考を停止させるほど美しい風景の連続、ペダルを踏み込むたびに心もカラダも透明になっていった。
▲レイクカウチンから海に抜ける自転車道。
▲ポートレンフルーのシーサイドコテージにて
▲レディースミスのホテルから朝の散歩。
▲ 旅を終えて、バンクーバーから車で1時間のハリソンホットスプリングスの温泉にも寄り道。
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