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子どもの身近なルール in アメリカ

アメリカの子どもに関する法律

日米では、法律や条例が大きく異なることがあります。また、アメリカ国内でも、連邦法、州法、さらに郡や市の条例などがあり、住む場所によってルールが違うことがしばしば。今回は、アメリカの中でも日本人が多く住む西海岸とハワイにおける、子どもとペットにまつわるルールについて、各州の専門家に話を聞いてみました。

※内容は2019年8月時点の情報です。
※本特集は、特定の行動を『ライトハウス』が推奨するものではありません。
※お住まいの地域の最新の法律や条例に関しては、ご自身で確認するか専門家にご相談ください。

アメリカにおける子どもに関するルール

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Q1:子どもを駐車した車に残したまま買い物に行ってもいい? 

ハワイ州、ワシントン州、カリフォルニア州を含む19州では、自動車に子どもを残すことに関して年齢または時間を定めていますが、オレゴン州を含む26州では特に明文化されたものがありません(郡や市で定めている場合はある)。

なお、イリノイ州やルイジアナ州ではハワイ州よりもさらに長く10分までなら車内に残しても可となっています。また、ワシントン州の16歳未満という年齢制限は全米では一番高い年齢です。

【ワシントン州】

州法により、公共の場やフリーウェイでエンジンがかかった状態の車の中に、16歳未満の子どもを残して外に出ることは禁止されています。再犯の場合は運転免許証を取り消される可能性があります。また、子どもの置き去りは、子どもが車から勝手に出てしまう危険性や、誰かに連れ去られる可能性、また数分であっても虐待として通報されるケースもあります。

特に夏は車内温度が急激に高くなり、乳幼児の死亡事故が後を絶ちません。子どもを車に残して買い物に行くのは絶対に止めましょう。
(回答:長野心理カウンセラー

【オレゴン州】

オレゴン州には、10歳未満の子どもを危険な場所や健康を害する場所に置いてはいけないという州法があり、家でも車でもどこでも、これに違反するかどうかが問われます。

なお、ポートランド市の条例では、6歳未満の子どもを鍵をかけた車の中に残すこと、または鍵をかけていない車に子どもを15分以上残すことを禁止しています。さらに、車内に残された最年長者が10歳未満の場合、その車の付添人とは定義できません。このように、州法以外に自分の住む地区のルールをそれぞれ確認することが重要です。
(回答:カオリ弁護士

【カリフォルニア州】

カリフォルニア州では、次のいずれかの状況下で、6歳以下の子どもを1人で車に残すことは、違法と見なされます。
○非常に暑い夏など、子どもを非常に危険な状態にさらすような状況。
○エンジンがかかっている、もしくはエンジンキーを差したままにしている、または、その両方。

上記の状況では、12歳以上の人の同乗が必要で、それを怠ると、罰金や特別なプログラムを科されます。車に残された子どもがけがを負ったり、死に至れば、過失致死罪や幼児虐待の罪に問われる可能性もあります。
(回答:宮本弁護士

【ハワイ州】

ハワイ州では9歳未満の子どもを車内に5分以上放置することは違法です。もし、そのような状況を見かけたら911へ電話してください。このような状況に置かれた子どもを発見した当局は、子どもを自動車から出して保護するためなら、いかなる手段を使ってもいいことになっています。子どもを置き去りにした保護者が時間内に戻ってこない場合、子どもは、裁判所の命令や子どもの家族の同意がなくても、当局による保護の対象となることがあります。なお、この種の法律違反には237ドルの罰金が科されます。
(回答:ホノルル警察

 

Q2:子どもを1人で留守番させていい?

留守番について、例えばイリノイ州では14歳以下は不可、メリーランド州では8歳以下は不可としていますが、多くの州では州法で年齢を特定していないか、そもそも留守番について何も定めていません。ガイドラインを設けている郡や市では、10~12歳くらいから可としているところが多いようです。

子どもの留守番については、アメリカ合衆国保健福祉省が『Leaving YourChild Home Alone』という冊子を発行しているので、参考にするといいでしょう。

【ワシントン州】

連邦法や州法での規定はありませんが、ワシントン州のガイドラインでは10歳以上であれば1人で数時間の留守番も可、ただし兄弟の子守りをさせるのは不適切としています。また、州の社会福祉保健省では、12歳以上であれば留守番可としているものの、子どもの精神的な成熟度、それぞれの家庭の方針や事情なども考慮すべきとしています。

留守番をさせるときには、最初は短い時間から始めて、少しずつ時間を延ばしていきましょう。なお、乳幼児の場合はたとえ数分であっても家を離れることは避けましょう。
(回答:長野心理カウンセラー

【オレゴン州】

Q1で述べた通り、オレゴン州には、10歳未満の子どもを危険な場所や健康を害する場所に置いてはいけないという法律があります。留守番に特化した細かな決まりはなく、留守番も、Q1の車の置き去りも、Q3の1人での登校も、これに違反しているか否かが問われるのです。オレゴン州の法律は明白でない部分が多くあります。あとはコモンセンス、そのときの状況や環境、執行当局の裁量によって起訴されるかどうかが決まります。
(回答:カオリ弁護士

【カリフォルニア州】

カリフォルニア州には留守番に関して年齢を特定する法律はありません。過去の判例において、1人で留守番できるかどうかを見極める点は、子どもの年齢と成熟度です。なお、州内の教師などには、育児放棄をしている家庭があることに気付いたら、警察や児童福祉課に通報する義務があります。従って、幼な過ぎる子どもを1人で留守番させると犯罪と見なされる恐れがあります。

州の教育省は、子どもが留守番できるようになったら、留守番中のルールや緊急時の電話番号などを保護者が教えることを勧めています。
(回答:宮本弁護士

【ハワイ州】

ハワイ州では法律的に、子どもの留守番についての定めはありませんが、例えば自宅に残された子どもが騒いだ場合は近隣住民に警察へ通報されることも大いに考えられます。一般的には、親が、子どもを家に残し出かけても危険がないかどうか(子どもの年齢はもちろん、留守番させる時間の長さ、時間帯など)を判断して行動するべきでしょう。
(回答:ハワイ州福祉事業省

いざというとき、911に電話をして要件を伝えられるか?は留守番できるかの目安の一つ。

 

Q3:子どもが1人で歩いて登校してもいい?

登校に関しては、通学路や子どもの成熟度によって各家庭での判断が必要そうです。ワシントン州の心理カウンセラーの長野さんは次のように解説します。「米運輸省の学校安全経路プログラムでは、10歳未満の子どもが道路を1人で横断することは推奨していませんが、自宅から学校までの距離が1マイル以内で安全な歩道が確保されており、横断歩道に交通指導員がいる場合は可としています」。

【ワシントン州】

登校に関して州法での定めはありません。しかし、例えばレイクワシントン学区では、10歳以上であれば子どもが1人で歩いて登校しても問題はない、また、ほかの子どもと一緒に登校する場合は6~7歳くらいからが適切としています。また、自転車通学も、保護者の署名があれば10歳からできます。このように学区によっては条件を定めているところがあります

どの道を通るか、一緒に登校する友達がいるか、保護者が交代で見守ることができるか、緊急事態にはどうするかを子どもと事前に話し合いましょう。
(回答:長野心理カウンセラー

【オレゴン州】

Q2で述べた通り、オレゴン州では10歳未満が危険な状況に置かれていないかどうかが重要なので、それが守られていれば大丈夫でしょう。

また、登校のルールとは少し異なりますが、ポートランド市には子どもの夜間外出禁止令があり、14歳以下(ミドルスクールまで)の子どもは、夜(時刻は時期によって変動)から午前6時まで、21歳以上の保護者なしでは公道を歩けないという条例があります。
(回答:カオリ弁護士

【カリフォルニア州】

2015年に承認された連邦法「EveryStudent Succeeds Act(ESSA)」により、アメリカでは子どもが1人で学校に行く権利が保護されています。現在、カリフォルニア州には、これに異論を唱える法律がないので、この連邦法がカリフォルニア州でも有効と見なされます。

子どもを1人で留守番させる場合と同様、その子どもの年齢と成熟度を考慮し、親が安全と考えれば、1人で徒歩、自転車、バスなどで通学させることが許されています。また、一部の地域では独自にルールを設けています。まずは、学校区に問い合わせてみてください。
(回答:宮本弁護士

【ハワイ州】

何歳までは親が付き添って登校しなくてはならないなどという州の法律はありません。これも留守番の質問同様、子どもが1人で登校しても危なくないかを、子どもの年齢、学校と自宅の距離などから、親や家庭が判断する問題です。
(回答:ハワイ州福祉事業省

一般的に10歳以上から道路状況の認知、判断、予測が可能と言われています。

 

Q4:子どもと親子でお風呂に入っていい?

親子共々裸になって入浴することは、世界的に見ても珍しい日本独自のカルチャーであること、アメリカではそれを虐待と捉えたり、嫌悪感を持ったりする人がいることは、日本人として肝に銘じておいた方がいいようです。

お風呂が虐待として捉えられる一例としては「別居中の父から一緒にシャワーを浴びるよう強要され気持ち悪い」と12歳の息子から打ち明けられた母親がChild Protective Services(CPS)に電話をし、数日後には警察署が対応するなどがあります。アメリカでは性的虐待が疑われる場合の対応が非常に早く行われます。

 

【ワシントン州】

ワシントン州での法律はありません。家庭によりますが、アメリカでは一般的に一緒にお風呂に入るのは3~5歳までと言われています。

親子のどちらかが抵抗を感じるようになったときが、別々に入る時期です。子どもが着替えを恥ずかしがったり、お風呂に入りたがらないときは、「1人でお風呂に入ろうか」と促してあげましょう。この時までに、男女や大人と子どもの体の違い、体の洗い方、プライベートパーツについて教育することは、子どもが自分の体を大切にすることにつながります。
(回答:長野心理カウンセラー

【オレゴン州】

お風呂に関して、特に州の決まりはありません。また、調べた限り、オレゴン州内で、親子が一緒にお風呂に入っただけで通報されたケースはありませんでした。
(回答:カオリ弁護士

【カリフォルニア州】

カリフォルニア州には、親子でお風呂に入ってよいのかどうかを規制するような法律はありません。日本の文化では、親子で一緒にお風呂に入るのは、家族の絆を深める時間と考えますが、多種多様な文化の共存するカリフォルニア州では、親子でのお風呂を許容しない文化も存在します。また、児童虐待や性的虐待から傷付きやすい子どもを守るため、親子でお風呂に入っていることが第三者に知られると、Child Protective Services(CPS)や警察へ通報される可能性も否めません。
(回答:宮本弁護士

【ハワイ州】

ハワイの法律的にはNOではありません。例えば自分で頭や体が洗えない年齢までは一緒に入るなど、これも各家庭での判断になるでしょう。
(回答:ハワイ州福祉事業省

アメリカでは、親が服を着たまま子どもの体を洗う補助をするのが一般的。

【 アメリカのさまざまなルール】

合衆国憲法(Constitution)は国の成り立ちと基礎を示すもの。連邦法(Federal Law)はアメリカ合衆国市民とアメリカ居住者全員に適用される法を定めたもので、州法(State Law)は州内の居住者に適用される法を定めたものです。

合衆国憲法第6条第2節にある最高法規条項によれば「合衆国憲法や連邦法と州の憲法や法律が矛盾する場合には、合衆国憲法や連邦法が優先する」(出典:アメリカンセンタージャパン)が原則ですが、州法が優先されることもあります。州の労働基準法が設定する最低賃金が連邦法よりも高く設定されている場合がその良い例です。州法の下に、郡法(County Law)、市法(Municipal Law)などがあります。

監修:宮本ガン美紀子弁護士 

3111 Camino Del Rio N. #400, San Diego

【 子どもの虐待を見聞きしたら?】

以下の機関へ電話をしましょう。

Washington State of Children, Youth & Families

TEL : 1-866-363-4276(ワシントン州)
TEL : 1-800-609-8764(キング郡CPS)

the Oregon Child Abuse Hotline(CPS)

TEL : 1-855-503-7233(オレゴン州)

National Child Abuse Hotline

TEL : 1-800-422-4453

● ワシントン州
長野弘子心理カウンセラー(MA、MHP、LMHCA) 
E-mail: hiroko@lifefulcounseling.com

● オレゴン州
カオリ・タナベ・エダー弁護士(Stephens & Margolin LLP)
TEL : 503-360-9318
Web: www.stephensmargolin.com

● カリフォルニア州
宮本ガン美紀子弁護士
TEL : 858-432-6131 
Web: www.mikikomgunnlaw.com

● ハワイ州取材協力
Honolulu Police Department(Q1)
Web: www.honolulupd.org

Department of Human Services State of Hawaii (Q2、3、4)
Web: humanservices.hawaii.gov

 

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*情報は2019年10月現在のものです

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