アメリカではカリフォルニア、ワシントンに次ぐワイン生産量を誇るオレゴン。州内には650軒以上のワイナリーがあります。ワインと人生がもっと味わい深くなるワイナリーの旅に出掛けてみませんか?雑誌『ライトハウス』シアトル&ポートランド版の連載でおなじみのレッド・ギレンさんにワイナリーを案内していただきました。
(※ライトハウス2016年3月号特集記事「おいしいワインが目的地 オレゴンワイナリーの旅」より|情報は2016年3月時点)
ワイン・リージョンの特徴
各リージョンの気候やワインの特徴をレッドさんに教えてもらいましょう!
コロンビア・ゴージ |
雨が多く降る所、あまり降らない所、日差しが強い場所など、バラエティーに富んだ気候と地形があり、さまざまな品種のブドウが栽培できる土地です。コロンビア渓谷は景色がすごくキレイで、滝もたくさんあるので、ワイナリーの旅にはぴったりの場所です。(コロンビア川を挟んで、オレゴン、ワシントン両州にまたがる) ワイナリーの紹介 » |
ウィラメットバレー |
フランスのブルゴーニュと気候が似ているため、ブルゴーニュ原産のピノ・ノワールで有名です。同地のピノ・ノワールは品質も高く、本場フランスのコンクールで何度も賞を取るほど。オレゴン・ワイン=ピノ・ノワールと思っている世界のワイン愛好家は多いです。ワイナリーの紹介 » |
サザン・オレゴン |
温暖でドライな気候で、スペイン原産のテンプラニーリョや、カベルネ・ソーヴィニヨンで知られています。複数の小さなバレーから成り立ち、今回は、クレーターレイク観光の起点で歴史のある小さな街、ジャクソンビルから近いワイナリーを紹介します。ワイナリーの紹介 » |
ウィラメットバレー
オレゴン州全体のワイン生産量のうち3分の2を占めるなど、オレゴン・ワインを語るときには外すことのできないリージョン。ポートランドから車で約45分と気軽に行けるのも魅力で、高級リゾート・ホテルやレストランも多数あります。いずれのワイナリーもまずはウィラメット・バレーを代表するピノ・ノワールから試してみましょう。ワイン・リージョンの位置や特徴 »
※下記情報の地図上の位置について:
◎(MAP 丸数字)→地図上の各スポット番号
ペナー – アッシュ・ワインセラー
Penner-Ash Wine Cellars (MAP ①)
ホワイトハウスが選んだワイン
15771 NE. Ribbon Ridge Rd., Newberg|TEL : 503-554-5545|www.pennerash.com|毎日11:00am-5:00pm
オレゴン州初の女性醸造家リンさんと夫のロンさん夫妻によるワイナリー。2015年、Penner-Ash Oregon Viognier 2014が、オバマ大統領と習近平中国国家主席のディナーの席で飲まれ、ホワイトハウスが$30(当時の販売価格)のスクリュートップのワインを選んだと話題になりました。圧巻はピノ・ノワールの種類で、10種類も取り揃えています。ピノ・ノワールの飲み比べも楽しいでしょう。ワインのおいしさはもとより、Penner-Ashで素晴らしいのは眺め。テイスティングルームの目の前に谷があって、ワインを飲みながら谷を見て過ごすのが最高に気持ちいいです。
All photoes of Penner-Ash Wine Cellars: ©Andrea Johnson Photography
ケン・ライト・セラーズ
Ken Wright Cellars (MAP ②)
土壌と素材の良さを味わうならココ
120 N. Pine St., Carlton|TEL : 503-852-7010|www.kenwrightcellars.com|
日~木11:00am-5:00pm、金土11:00am-6:00pm
のどかなカールトンにあるワイナリーです。ワインは素材が命という哲学の元、単一畑(1つの区画から採れたブドウだけで作る)ワインだけを生産。土の質とブドウを良い状態に保つため他のワイナリーと比べブドウの収穫量が少ないのも特長です。これらのこだわりが、ブドウ本来の力強い香り、味わい、質感を生み出します。
● Abbott Claim
ワイン専門誌『Wine Enthusiast』の「2014年のワイン100本」で一位を獲得したピノ・ノワール。オレゴンから初選出で、バランスの良さが評価されました。(受賞ワイン:2012 Abbott Claim)
昔、駅舎だった建物をテイスティングルームとして使用しています。醸造所の建物もオシャレ!
一部の商品は日本にも輸出され、ワイン愛好家の間では人気があります
All photoes of Ken Wright Cellars: ©RJ Studio
ドメーヌ・セリーヌ
Domaine Serene (MAP ③)
本場フランスをしのぐ実力派
6555 NE. Hilltop Ln., Dayton|TEL : 503-864-4600|www.domaineserene.com|毎日11:00am-5:00pm
ブドウは全て手で収穫・選別、ポンプは一切使わないなど、できるだけ機械を使わない手作りワインを手掛けるワイナリー。ワイン専門誌やイベントで、フランスのワインをしのぐ高評価を得たピノ・ノワールで知られていますが、ピノ・グリやシャルドネも作っています。眼前に広大なブドウ畑があり、眺望も楽しめるワイナリーです。予約なしの通常のテイスティング・ルーム以外に、プライベートルームでのテイスティングやワイン講座が組み込まれたテイスティングなど、数種類のワイン・テイスティングが楽しめます。ワインメンバーに加入するとイベントの招待やテイスティング無料などさまざまな特典もあり。
イブニング・ランド・ビンヤード
Evening Land Vineyards (MAP ④)
ブルゴーニュ仕込みのワイン
1326 N. Hwy. 99W. #100, Dundee|503-538-4110|www.eveninglandvineyards.com|毎日10:00am-5:00pm
フランスのトップ生産者と言われるドミニク・ラフォン氏が有名ソムリエらとタッグを組み、初めて海外で手掛けたワイナリー。ブルゴーニュのワイン作りの伝統を生かし、ピノ・ノワールとシャルドネを作ります。2015年はSeven Springs Vineyard, La Source Pinot Noir 2012がワイン専門誌『Wine Spectator』で98Point、トップ100のうちの第3位を獲得しました。
有機・自然農法の一種、バイオダイナミック農法でブドウを育てています。知る人ぞ知る小さなワイナリーですが、ワイン専門誌では幾度となく高得点を獲得しているワイナリーです。
おすすめのホテル |
The Allison Inn & Spa 一年を通してオープンしている、公園北側の観光拠点となるリゾートホテル。1911年のオープン当初のクラシカルな雰囲気を残した100室のホテルに加えて、夏季はホテルの建物の裏手に125室のキャビンもオープン。キャビンは家族旅行に便利な2部屋のもの、安価なシャワー共用のものもあります。 |
観光スポット |
オレゴンワインカントリー&日本人ワインメーカー出逢いツアー レッドさん率いるオ州酒ブログチームでは、日本語によるウィラメット・バレーのワイナリーツアーを行っています。バスツアーだから運転の不安もなく、効率よく回れる上、日本語によるワインの解説、軽食などもあり。5時間でウィラメットバレーの3つのワイナリーを巡ります。 |
コロンビア・リバー・ゴージ
北にコロンビア川、南にマウント・フッドを擁し、古くから景勝地として知られるコロンビア・リバー・ゴージ。ワイナリー巡りの前後に滝やトレイルを楽しむのもいいでしょう。今回紹介するワイナリーはフルーツ・ループと呼ばれるエリアにあり、洋ナシ、モモ、リンゴなど季節ごとに道中の直売所で新鮮な果物が手に入るのも魅力です。ポートランドからは車で約1時間。ワイン・リージョンの位置や特徴 »
※下記情報の地図上の位置について:◎(MAP 丸数字)→地図上の各スポット番号
カテドラル・リッジ・ワイナリー
Cathedral Ridge Winery (MAP ⑥)
幅広い層から支持されるワイナリー
4200 Post Canyon Dr., Hood River|TEL : 1-800-516-8710|www.cathedralridgewinery.com|
11:00am-6:00pm(12~2月は5:00pmまで)
カリフォルニア州ソノマのワイン醸造一家の4代目が手掛けるワイナリー。庭が綺麗でフットリバーの観光やピクニックに人気があります。予約不要の通常のテイスティングの他、樽詰めのワインが飲めるテイスティングや、ブドウの収穫ツアーなど、初心者から通まで楽しめるワイナリーです。ウィラメット・バレーにもテイスティングルームがあります(974 N. Hwy. 99 W., Dundee)。
● Cabernet Sauvignon Reserve
Reserveは同ワイナリーの中でもワンランク上のライン。カベルネ・ソーヴィニヨンはフルーティーで軽い渋みにモカのような甘みも加わります。じっくり寝かして変化を楽しんでみましょう。
マウント・フッド・ワイナリー
Mt. Hood Winery (MAP ⑦)
コロンビア・リバー・ゴージの顔
2882 Van Horn Dr., Hood River|TEL : 541-386-8333|http://mthoodwinery.com|11:00am-5:00pm(3月~11月まで)
コロンビア・リバー・ゴージでは老舗的存在のワイナリー。特筆すべきは景色の美しさ。開放感のある山小屋風のテイスティング・ルームからブドウ畑越しに雄大なマウント・フッドが見えます。ピノ・ノワールやシャルドネ、リースリングなど、さまざまな種類のワインを生産していますが、中でもユニークなのは洋ナシで作ったPear Wine。甘い香りが広がります。
現オーナーで8代目。コロンビアゴージがAVA(政府公認のワイン指定栽培地域)に認定される前からワインを作ってきました。
マルケージ・ビンヤード
Marchesi Vineyards (MAP ⑧)
イタリア・ワインに特化したワイナリー
3955 Belmont Dr., Hood River|TEL : 541-386-1800|www.marchesivineyards.com|冬:金~日11:00am- 6:00pm、夏:毎日11:00am- 6:00pm(2019年は5/1~11/26)
イタリアのワイン醸造家の家に生まれたフランコさんによるイタリア・ワインに特化したワイナリーです。フランコさんは長年イタリア・ワインの輸出入に携わり、その特徴を熟知。イタリアのブドウを栽培するワイナリーはオレゴンでは非常に珍しく、とても人気があります。晴れた日はパティオでワインを飲むのが最高です。
おすすめのレストラン |
Double Mountain フッドリバーのブリュワリーで、オレゴン一のピザとレッドさんが太鼓判です。「ぼくのおすすめはトリュフのピザ。あれはうまい!もちろんビールもおいしい」。ポートランドには2号店があります。 |
観光スポット |
マルトノマ滝 ポートランドとコロンビア・リバー・ゴージの移動で通るのがHistoric Columbia River Highway Scenic Byway。道中にはいくつものトレイルや滝があり、ドライブの途中に立ち寄るがおすすめです。中でも一番有名なのはオレゴン一の落差191mを誇るマルトノマ滝。ふもとのロッジはアメリカ国家歴史登録財です。 |
サザン・オレゴン
2016年1月に発表された『Wine Enthusiast』誌では世界のベストワイン旅行先10の1つに選ばれた、今注目の土地で、テンプラニーリョなどスペインのブドウが楽しめます。ポートランドからは車で6時間ほど。シェイクスピア・フェスティバルで知られるアシュランドや歴史のあるジャクソンビル、北カリフォルニアと組み合わせた旅行も良いでしょう。ワイン・リージョンの位置や特徴 »
※下記情報の地図上の位置について:
◎(MAP 丸数字)→地図上の各スポット番号
バレー・ビュー・ワイナリー
Valley View Winery (MAP ⑪)
サザン・オレゴンの先駆者
1000 Upper Applegate Rd., Jacksonville|TEL : 541-899-8468|
http://valleyviewwinery.com|毎日11:00am-5:00pm
1800年代、サザン・オレゴンで一番最初にワインを作ったワイナリー。禁酒時代に一度は姿を消しますが、70年代に現オーナーの父親がこの土地を購入し、再度ワイナリーとして蘇らせました。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ヴィオニエなどを栽培。$10~$20台と値ごろな価格帯のワインが多いのも魅力です。
● Anna Maria Syrah
ベリーやチェリーの風味にタバコやブラックペッパーの香りが加わり大人っぽい味わい。『Portland Monthly』誌では、$25以下のベスト・オレゴンワインと評価。ラムチョップやビーフステーキと相性抜群です。
レッド・リリー・ビンヤード
Red Lily Vineyards (MAP ⑫)
スペイン・ワインならココ
11777 Hwy. 238, Jacksonville|TEL : 541-846-6800|www.redlilyvineyards.com|木~日11:00am-5:00pm、5/1~10/31は毎日営業
夫婦で経営する小さなワイナリー。繊細な味わいを持つスペイン原産のテンプラニーリョの生産に特化しています。テイスティング・ルームと庭が美しく、チーズなどの軽食が楽しめることでも人気。スペイン・ワイン好きや、長期熟成した赤が好きな方にはおすすめのワイナリーです。
© Christian Heeb
トルーン・ビンヤード
Troon Vineyard (MAP ⑬)
庭が気持ちいいワイナリー
1475 Kubli Rd., Grants Pass|TEL : 541-846-9900|www.troonvineyard.com|毎日11:00am-5:00pm
サザン・オレゴンでは古いワイナリーのひとつで、今年創業40周年。幅広い種類のワインを作っています。「庭がすごくキレイ。外で飲むと気持ちイイね」とレッドさん。サザン・オレゴンのほか、ポートランドから車で1時間ほどのウィラメット・バレーのカールトンにもテイスティング・ルームがあります(250 N. Kutch St., Carlton)。
All photoes of Troon Vineyard: © Hazel Eye Photography
おすすめのホテル |
Jacksonville Inn ゴールド・ラッシュ時代の面影を残す歴史あるホテルです。併設のレストランがおいしく、ワイン・リストも充実。店内には常時2000種類以上を揃えるワイン・ストアもあるので、お土産購入のためにぜひ立ち寄りたい場所です。 |
ワイン・テイスティングの基本
ワインの買い方、飲み方、ワイナリーでの振る舞い方、ワインは分からないことがいっぱい。レッドさんに教えてもらいました。
ワイン・テイスティング 4つの「S」
See 見る ワインの色を見ます | Swirl 回す ワインと空気を混ぜ、 |
Smell かぐ 匂いをかぎ、どんな | Sip 一口飲む 少しだけ口に含め |
初めてのテイスティング・ルーム講座
ワインのテイスティングルームは日本にはあまりないシステム。レッドさんにいくつかのキーワードを解説して頂きました。
メニュー | カウンターで好きなワイン・フライト(試飲セット)を頼みます。通常4~6種類くらいのワインが提供されます |
---|---|
順番 | 軽い味から濃い味の順に出ます。白の後に赤。最後に甘いデザートワインが出ることも。グラスが空にならないと、次のワインはもらえません。 |
シェア | 1つのワイン・フライトを2、3人でシェアしても構いません。 |
スピトゥーン | 飲みきれないときは、カウンターの上の小さなバケツ(スピトゥーン)にグラスからワインを入れます。残しても失礼にはなりません。 |
チップ | テイスティング・ルームではチップを払うことをあまり期待されていませんから、しなくても構いません。 |
金額 | ワイン・フライトはだいたい$15~20くらい。テイスティングの後にワインを1本か2本買えば、ワイン・フライト代がノーチャージになるワイナリーもあります。 |
© Ken Write Cellars, RJ Studio
ワインの疑問 ??? |
■ ワイナリー旅行にいい季節は? ※ ワイナリーのピクニックについては2015年8月号連載「Redさんがレコメンド!本当においしいお酒 in NW」で詳しく紹介しています。 ■ ワイナリーではどんなワインを買えばいいの? ■ いくらくらいのワインがいいの? |
日本語でポートランドを中心にオレゴンのワインやビール・シーンを紹介するブロガー。弊誌「レッドさんがレコメンド!本当においしいお酒 in NW」を不定期連載中。最近では、日本のTVや雑誌やイベントなどの出演も多数。ウィラメット・バレーの日本語ワイナリーツアーなども行う。
◎ブログ:オ州酒ブログ
www.oshuushu.com
※ライトハウス2016年3月号特集記事「おいしいワインが目的地 オレゴンワイナリーの旅」より|情報は2016年3月時点
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